ユーザーが好むアプリとは?スマホの中に自社アプリを入れてもらうその方法
ユーザーに好まれ、長く使ってもらいやすいアプリとはどんなものでしょうか?
ユーザーが好むアプリは一概には言えませんが、好まれるように最低限クリアすべき条件はあります。
- デザイン
- 機能性
- 処理速度
- 対応
といったさまざまな面に要素は分かれているため、各要素のポイントを押さえてよいアプリを制作すると良いでしょう。実際にアプリが好まれているかは、継続率等を参考にすると分かります。
アプリ継続率の説明をしつつ、ユーザーが好むアプリの特徴やインストールしてもらうポイントなどをご紹介します。
目次
アプリの継続率の平均は1日目で26%?Adjust社の調査で判明したこと
継続率とは「一定期間における、アプリの継続利用ユーザーの割合を評価するための指標」です。1日後、7日後というようにインストール直後からの経過日数に対して、どのくらい継続してアプリを利用しているユーザーがいるのかを計測します。
インストール直後から、日数が経過してもそこまで継続率が落ちていない、それでいて継続率が一定の数値で止まり維持できている状態が好ましいです。
アプリ市場の調査等で有名な「Adjust社」が、参考になる継続率のデータを提示しました。以下でポイントを見出しにまとめて解説していきます。
※2022年第1四半期の全ジャンルアプリを対象としてデータを算出・公表
アプリ1日目の継続率は平均26%
インストール翌日、1日目の継続率平均は26%でした。Androidが25%、iOSが28%です。
ジャンル別に解説すると、ソーシャルアプリは1日目の継続率が32%と平均より高い数値を維持。食事管理・マッチングアプリも同様に平均より高い数値を出しています。
ちなみにAdjust社では、「2日目に継続率が25%以下になるアプリは非常に少数であり、1日目と2日目を比較する際はこのことを念頭に置いておくとよい」と発表しました。
たとえば1日目は平均値より継続率が高かったにもかかわらず2日目に継続率が25%を下回っている場合は、重点的に問題を洗い出す必要があるということです。
アプリ7日目の継続率は平均12%
7日目の継続率平均は12%。Androidでは11%、iOSでは13%です。
Androidではソーシャルアプリが平均値より高い継続率を出しており、平均17%。iOSでは食事記録アプリが18%となっており、多少ではありますがOS間で維持率の違いが見えた結果となりました。
ちなみにアプリは、広告主が最初の週にリターゲティング施策を実行します。そこで一定のユーザーが復帰するため、継続率はキャンペーン直後に増えるのがポイントです。もしリターゲティング施策を行っている場合は、その数値も含めて正確に効果を測定してみてください。
21日目の継続率は平均7%
継続率の分岐点となるのが21日目。この時点で、離脱したユーザーがかなり増え平均値が1桁になるからです。Adjust社によると平均値は7%、Androidでは7%、iOSでは8%でした。
音楽アプリや天気アプリ、そして仮想通貨アプリは10%を平均で維持できており、これらのジャンルに属していないアプリでも「3週間リリースから経過していても10%以上の継続率があれば成功している」という基準になります。
30日目の継続率は平均6%
30日経過するとさらに継続率が下がりそうな気がしますが、実際にはそうではありませんでした。平均値は6%、Android6%・iOS7%です。
Adjust社では21日目と30日目の継続率平均にそれほど差がない点に注目しており、「3週間アプリを継続利用したユーザーは、今後もアプリを利用してくれる可能性が高い」と結論付けています。ちなみにトラベルアプリや教育アプリの30日後の継続率は4%以下であり、継続率維持が難しい実態が浮き彫りになりました。
継続率上位はソーシャルやファイナンス&ビジネスなど
Adjust社では10ジャンルのアプリ継続率を集計し、2021年の中央値および第2四半期を比較しました。その結果
- ソーシャル
- ファイナンス&ビジネス
- ゲーム
の3ジャンルが高い継続率を維持していたことが明らかになりました。
ソーシャルはAndroid・iOS双方で高い継続率を維持、1日目、7日目、30日目にトップ2に入るなど善戦。またファイナンス&ビジネスはiOSで高い継続率を維持しています。7日目に2位にランクインし、30日目は1位となりました。
ゲームはiOSの継続率を独占しているのがポイントです。1日目と7日目で1位、30日目は2位になっています。ちなみにゲームジャンルでは1日目に28%ものユーザーが復帰しており、7日目にも42%を保持していました。
OSごとに多少の違いはあるが、平均継続率にはわずかな差しかない
Adjust社では、OSごとに人気アプリジャンルの違いなどはあるものの、全体的に2つのOSで大きな違いはないとしています。平均継続率がわずかにしか差が出ていないからです。
もし独自の分析で差が出ていた場合、特定のデバイスで機能不全が起こっている、といった問題が発生している場合があります。OSが違っても継続率に大きく差が出ない可能性が高い、ということを覚えておきましょう。
ユーザーが好むアプリとは?アプリ制作の際に最低限避けるべきこと
ユーザーが好むアプリとは何か、制作の際避けるべきポイントを中心に解説していきます。
パーソナライズ化できていない
ユーザーは自分に合った情報が提示され、対応した機能をスムーズに使えることを好みます。
- 位置情報やユーザー設定を活用しきれていない
- ユーザーを属性ごとにセグメントして対応できていない
といった場合は、上手くレコメンドができず使いにくい印象を与えてしまう可能性が高いです。
こういった事態を防ぐには、まず位置情報やユーザー設定をどう活用するのかを事前に考えて文章化しておく、セグメントの精度を上げながら定期的に見直す、といった工夫が必要になります。
要はアプリ運用時に施策をよく準備して、分析も怠らなければ問題は防げるはずです。
リエンゲージメント施策を行っていない
アプリの継続率は、残念ながら必ず下がります。ただし一時的に離脱したユーザーを一気に復帰させて、その後維持できるように工夫することは可能です。それを実現するのがリエンゲージメント施策。
リエンゲージメント施策とは、
- プッシュ通知でインセンティブを提示してアプリの再起動を促す
- 広告でゲームの紹介をしてまたプレイしてもらえるよう情報を提示する
といった方法で休眠顧客を掘り起こす施策です。
リエンゲージメント施策をすることで、確実に復帰率は向上し継続率にも影響します。さきほども説明したように、インストール後から1週間前後でリエンゲージメント施策を行うケースが多いようです。ただし実行する際は、自社のアプリの離脱タイミング等を考えていつ行うのか判断するのを忘れないようにしておきましょう。
ユーザー体験の問題個所を特定する
アプリのユーザー体験には、
- チュートリアルが分かりにくい
- 保存したデータの確認方法が不明
- アプリのフリーズ頻度が高い
といった何かしらの問題が起こります。
開発者側もすべての動作環境をテストできるわけではないので、思っていないところで引っ掛かって離脱率が下がるリスクも・・・。
そこで重要なのが、ユーザー体験をフィードバックしながら、問題個所を特定してボトルネックを解消することです。
たとえば、
- チュートリアルにテキストで補足等を追加する
- データをメニューからすぐ確認できるようにする
- フリーズ原因を特定してバグフィックスる
といった対策によってユーザー体験は向上するでしょう。
もしユーザー体験度向上を可視化したい場合は、「NPS」といった満足度可視化用の指標を使い数値化してみてください。
検証を行っていない
ここで言う検証とは、「追加前に一部ユーザーに新機能を使ってもらい、問題がないか確認してもらう」ような作業を指します。ベータテスト後問題がなければ、正式に新機能を提供する形式で、ゲームアプリといった多くのジャンルで定石となっている手法です。
検証を行っていないと、無断で不便な機能を追加したという印象を持たれることがあり、炎上することもあるので危険です。炎上は利益にも悪影響を及ぼします。
新機能の利用想定ユーザーをアプリユーザーから割り出してサンプリング、対象者をメール等で呼び出してベータテスト参加をお願いする、といった方法で検証が可能です。問題があれば訂正してからもう一度検証を行い、問題が解消するまで繰り返してみると良いでしょう。
アプリの魅力や操作性をインストール直後に説明できない
多くのユーザーはアプリインストール直後に離脱してしまいます。少しでも最初の離脱を抑えて平均値以上にしておきたいと思っている場合は、インストール直後にどういったアプローチをすれば離脱が発生しないのか考えてみましょう。
たとえば、
- アプリの利用メリットを簡単にイラスト付きで紹介する
- 初めて触る個所は軽くチュートリアルテキストをポップアップ表示して説明する
- 初回限定クーポンを配布して使えるようにする
といった方策が考えられます。
最初のよい体験は、今後の印象作りにもよい影響を与えます。反対に最初の印象が悪いと後でよくする際に悪影響が出るので注意しましょう。
ユーザーが使い続けてくれるアプリにするために目指すこと
ユーザーの継続率を維持できるアプリにするためには、次のようなポイントも追加で押さえておくと安心です。
アプリをスモールリリースしてみる
アプリが成功するか不安な場合は、まずスモールリリースしてみるのが有効です。スモールリリースとは地域などを限定して、限定的にアプリを公開してインストールしてもらえるようにすること。要は検証も兼ねたリリースとなります。
スモールリリースの中でフィードバックやABテストなどを挟みながら、ビッグリリースの際に失敗しないようにデータを蓄積、分析できるとよりリリースの成功確率が上がるでしょう。アプリ開発にはそれなりのコストが掛かっているはずですから、大きなプロジェクトほどじっくりと検証を行う必要があります。
総合的で正しいマーケティング施策を練る
たとえば海外のゲームでは、「動画広告でアプリ紹介する際にゲームで出てこない内容を入れて宣伝する」といったよろしくない方法が使われることがあります。表示頻度は案外多いので、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
最初の興味を引けても、継続しなければ利益にはつながりません。
このため動画広告といったコンテンツでもゲームのプレイ映像を実際に流す、といったユーザー目線で分かりやすいパフォーマンスを取る必要があります。
また動画広告以外でも、
- 外部メディアで紹介してもらう
- SNSで評判を増やす
といった総合的にシナジーが見込めるマーケティング施策を並列で行う考え方も重要です。
キャンペーン前後で継続率が変わったかも調査して、適切な施策評価を行ってみてください。
ASOを実施する
広告経由ではなくオーガニック検索経由で継続確率の高いユーザーを獲得するには、ASO、アプリストア最適化が重要になってきます。
ASOはSEOのアプリストア版とも言うべき概念であり、
- アプリの名前を簡潔でシンプルにする
- キーワードをちりばめたスムーズに読める文章を作る
- 箇条書きで要点を簡潔に説明する
- スクリーンショット・動画だけですぐ内容が分かるように工夫する
といった対策で向上が見込めます。
有料広告も使いながら上手くASOを組み合わせると、新規流入と継続率維持をバランスよく行えるようになるでしょう。ただしノウハウがないと対策が難しいので、外部サポートも検討してみてください。
自社アプリをスマホに入れてもらう方法
継続率以前に自社アプリのインストール数が計画通りに行っていない場合は、次のような対策を行っているか確認してみてください。
アプリ新規DLキャンペーンの実施
アプリ新規DLキャンペーンを実施すると、新規流入率は一気に高まります。ただし継続率を今後維持したい場合は、金銭的なインセンティブばかりを強調せずアプリ自体の魅力やメリットを理解してもらえるようなキャンペーンを継続的に行うことが重要です。
たとえば実店舗来店促進アプリの場合、
- 初回限定クーポンを配布する
- インストール対象者へノベルティをプレゼントする
といったインストール特典を付けた上で、
- 継続的にクーポンを配布する
- スタンプカードを貯める特典制度を用意する
といった継続来店のフックを作ると、アクティブ率も増えますし継続率も上がります。
ジャンルによってどんな施策が継続率長期維持につながるかは変わってくるので、事例も参考にしながら自社独自の方法を編み出せると安心です。
複数メディアでの情報発信
メディアでの情報発信が足りないと、インストール数が増えません。
もし現時点で知名度が足りていない場合は、
- Webサイト
- 広告
- SNS
といった自社保有メディアをすべて使ってアプリの情報を発信してみると良いです。
その際メディアの特性に合わせて文字数を減らす、画像を変えるといった工夫もすると使い回し感がなくなり、魅力度も上がるでしょう。
まとめ
今回は継続率の説明をしながら、ユーザーが好むアプリの特徴やインストールしてもらうポイントなどを紹介しました。
継続率は30日後には10%を下回る事例も珍しくなく、こういった基準値を上回る施策を出せるかがアプリリリース成功のカギを握っています。またユーザー体験度を上げられるアプリの構築なども重要です。気になる場合はスモールスタートでアプリをリリースして検証、といった工夫もしてみてください。
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