アプリの継続率(リテンションレート)とは?お客様が使い続けたくなる仕組みや工夫
最初のタッチポイントやフォローの仕方によっても、アプリの継続率は大きく変わってきます。アプリに関して熱意のないユーザーはすぐ休眠してしまい、そうでない顧客に関してもフォローを怠っていると休眠、あるいはアプリをアンインストールされてしまうかもしれません。
継続率を算出して適切な対策を行うことで、休眠顧客を減らしてアプリをアクティブにできるでしょう。そのためにはツールの活用なども必要になってきます。
アプリの継続率やその重要性、継続率を上げるためのコツなどを紹介します。
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目次
アプリの継続率(リテションレート)とは
アプリの継続率とはどのようにして算出するものなのでしょうか。まずは継続率の概要や算出方法を紹介します。
アプリの継続率はインストール後の継続期間を表すもの
アプリの継続率とはアプリをインストール後、定期的に利用し続けているユーザーの割合のことです。専門的な用語では「リテンションレート」とも呼ばれます。
一般的に継続率は、利用開始日から経過するにつれて下がっていくものです。
たとえば、6月1日にアプリをダウンロードした方が100人いるとすれば、10日後には50%、20日後には30%といったように継続率が低下して顧客がどんどん減っていきます。そこへ至るまでにはさまざまな要因があり、担当者は離脱の原因を考えて対策を行う必要が出てきます。
アンインストールされるまでに上手く対応を行えば、再び継続率を上げることも可能です。また仮にアンインストールされたとしても、広告等で継続的にタッチポイントを持つことはできます。
ちなみに、継続率は満足度にも関係しています。満足度が高ければそれだけ利用頻度が増え、利用期間も長くなることが予想されるからです。継続率が低いとアプリサービスを終了しないといけないリスクまで出てくるので、早めに対策を行ったほうが良いでしょう。
アプリの継続率の算出方法
アプリの継続率の計算方法は「継続顧客数/新規顧客数×100」です。計算するためにはまず対象となる期間を定めましょう。
仮に計算期間を「2022年6月1日~6月30日」とします。初日に1万人が登録を行い、最終日には継続利用者が1,000人になったと仮定すると、
「1,000人/1万人×100=10%」
となり、継続率は「10%」だとわかります。
ここで注意したいのが、継続顧客数の定義は企業によって変わる点です。
何をもって継続したと判断するかはアプリジャンルや企業姿勢によって変わってきます。
仮にゲームジャンルのアプリである場合、1週間以内に起動しなかったら離脱したと判断したり、1週間経過せずに再起動したら継続顧客として扱ったりします。ただし、1週間以上経過していても、期間中に1回でも起動していたら継続顧客として扱うケースもあるので一概には言えません。
どれくらいの頻度で使ってもらわないと利益につながらない、といった判断基準を設けておくと計算が楽です。
また、計算期間によっても数値が変わってきます。
たとえば予算を使ってキャンペーンなどを行い新規顧客数を増加させれば、新規顧客の母数が増える分、その後の継続率が低く出るケースもあるでしょう。一方、リテンションキャンペーンを開催した前後では、継続率がいつもより増加する可能性が高いです。
このように継続顧客の定義や期間の設定などによって数値が変動することを視野に入れながら計算を行わないといけません。計算は定期的に行うようにしましょう。
アプリの継続率確保が重要な理由
アプリの継続率確保が重要なのは、次のような理由があるからです。
収益の安定に関係してくる
アプリは継続的に提供するのが基本となるコンテンツです。獲得した顧客を逃さないように囲いながら、利益を継続的に獲得していく必要があります。
顧客の継続率向上は、利益の継続獲得へつながります。もちろんマネタイズする仕組みがなければ顧客を獲得していても利益は小さくなりますが、そこさえクリアすれば収益は継続率が低い状態より圧倒的に安定するのがポイントです。
まずは継続率を安定させて、収益が下がらないように調整することから始めてみるとよいでしょう。いきなり継続率を爆速的に上げるといった施策は、ノウハウがないと難しいです。
ちなみに、継続率はアプリだけでなく、たとえばサブスクリプションサービスでも重要です。初期準備費が高いサブスクリプションサービスでは、いかにユーザーを増加させて継続的に利益を獲得できるかがビジネスモデル構築のポイントになってくるからです。
ゲームアプリでも、以前より継続率を意識した広告が掲載されるようになりました。たとえば従来はインストールだけでポイントが獲得できるようなリワード広告が多かったですが、現在ではチュートリアルクリア、5章までクリアといった条件付きのリワード広告が増加しています。インストールだけでは継続的な利用を見込めず、代わりにプレイ条件付きでリワードを配布することで継続率を高められるように広告を出したいと思う企業が増えているからでしょう。
新規顧客獲得コストを抑えることにつながる
新規顧客獲得数が多いのに離脱率が高いのは、バケツに穴が開いているのに無理やり水を汲んで作業をするのと同じ状態です。バケツの穴をふさぐ、つまり継続率を向上させて離脱する顧客が少ない状態をキープできると、新規顧客を獲得する必要性が少なくなります。
このようにバケツの穴が小さい状態で水を汲める状態にしておくことで、新規顧客獲得に力を入れなくても顧客から利益を継続的に獲得できるようになるでしょう。
もちろん新規顧客獲得は継続的に行う必要がありますが、継続率が高ければ獲得すべき人数は減るので負担が減ります。業務効率性を考えても、継続率を上げて新規顧客獲得数の目標を小さく設定できるようにした方が良いです。
顧客ロイヤリティを成長させられる
継続率だけで判断するのは危ないですが、他の指標と組み合わせてロイヤリティが高い顧客を選定することができます。
顧客ロイヤリティが高いというのは、リピーターとして積極的に来店・自社商品・サービスを使ってくれている状態のこと。競合が出てもそちらにスイッチングするリスクが少ないので、LTVが成長して売上が継続的に見込める状態になりやすいです。
また顧客ロイヤリティが高いと、よい口コミを発信してくれやすくなります。声掛けしないとレビュー等を残してくれない可能性もあるので、必要な場合はメールやプッシュ通知などでアプローチしながらよい口コミを残してくれるよう働きかけてみると良いでしょう。
アップセルやクロスセルによる売上向上もしやすい
アプリの継続率が高ければ、タッチポイントも増えてアプローチがしやすくなります。多少プッシュを掛けても嫌がられない可能性が高いので、利益につながる行為も取りやすいです。
- アップセル:既存の商品やサービスより「質の高い」ものを購入してもらう
- クロスセル:既存の商品やサービスに「関連した」ものを購入してもらう
といった方法で、売上を確保することがしやすくなります。
継続率の特に高い顧客を特定して、アップセルやクロスセルなどを行ってみると良いでしょう。
アプリの継続率を上げるために効果的な5つの施策
ここからはアプリの継続率を上げるために効果的な施策を紹介します。
顧客に素早く確実に対応する
顧客に対応する際は、素早く確実に対応することが必要です。
仮に自社が対応に3日、競合が対応に1日しか掛からないと仮定すると、明らかに顧客は競合アプリへと移動してしまうので自社アプリの離脱率は増加するでしょう。
そのため利用で引っ掛からないようにカスタマーサクセスも行いながら、カスタマーサポート対応部署を用意してすぐ対応策を取れるように準備するのが重要です。
すべての対応を人の手で行う必要はありません。定型的で質問されやすい内容はQ&Aで対応する、あるいはチャットボットですぐ対応を引き出せるようにしておくと便利です。こうすれば定型的な質問は無人で365日24時間いつでも解消できるようになります。
アプリのフィードバックや更新などをこまめに行う
アプリのフィードバックデータはユーザーレビューや問い合わせ、アンケートなどで収集できます。そういったデータを活用することで運営側が思いもしなかった改善策が思い浮かぶことも珍しくありません。
実際アプリに限らず、UGC(ユーザー発信のコンテンツ)を基にサービスを改善したり、キャンペーンを開催したりして成功している事例はたくさんあります。
ただし素早いフィードバックや戦略立案、更新にはある程度の人員が必要です。兼任で1人しか担当者がいないような環境だと、全対応するのが難しいかもしれません。
なるべく人員を確保できるように、時によっては外部にアウトソーシングを依頼して保守・管理を担当してもらうことも視野に入れてみても良いでしょう。
アプリの顧客体験をアップデートする
アプリの継続率を最初に下げないためには、起動直後のアクションがスムーズに取れるようにしておくことが重要です。
たとえばログインに関しては、生年月日や名前を入れると面倒なケースがあります。そこでSNS連携などでアカウントを同期させて入力を省略できるようにすると体験度が向上するでしょう。
またチュートリアルが必要な場合は、直感的に内容を進めるだけで基本的な操作が分かるようになっているか検証するのも重要です。アプリによっては一部の操作説明が抜けているようなチュートリアルを見かけることがあります。そのような事例に該当しないように、必要な要素の入ったチュートリアルを作成して提供できるようにしましょう。
休眠・離脱顧客にも適切なフォローを行う
休眠・離脱顧客に対応できるツールが増加して、対応の施策は以前より行いやすくなりました。施策を行わないと競合に差を付けられる可能性があるので危険です。
- 1か月以上起動をしていないユーザーへ自動プッシュ通知を出す
- 期間限定ポイントなどを付与して期間内に店舗を再利用してもらう
- その他休眠顧客専用のキャンペーンを用意して通知する
といった対策によって、離脱してしまう前に休眠顧客を掘り起こしてロイヤリティを高められます。
またリテンション広告によってユーザーへのタッチポイントを増加させて、理由付きで再起動を促すという方法も取れるようになっています。コストは掛かりますが効果的なので、ぜひいろいろと対応策を試してみてください。
必要な分析・自動化ツールを導入する
継続率を分析できるツールはさまざまあります。これに加えてメール配信といったリテンション施策まで自動化できるツールも導入すると、よりよい継続率向上戦略が出せるようになります。
たとえば「MA(マーケティングオートメーション)」ツールでは、CRM機能で顧客との関係状態を把握した上で、セグメントに合ったメールを送り再利用を促すといった施策が取れます。ホットな顧客に効果的なアプローチを掛ける際にも使えるでしょう。
メール送信やプッシュ通知送信などを自力で行うには限界があります。アプリが成長して分析データ量が増加した場合は、MAなどを導入して担当者の手間を少しでも削減するのが重要です。
こんなアプリは嫌われる?継続率を下げてしまうアプリの特徴
たとえば
- チュートリアルや情報入力時に、余計な会員登録などの手間がかかる仕様になっている
- バグが頻発して思うように動かせない
- 必要以上にリテンションの通知が届く
といった特徴のあるアプリは、ユーザーから嫌がられやすく離脱率も上がってしまう傾向にあります。
アプリ検証といった当たり前の工程を挟みながら、リテンションの回数やタイミングを工夫するといった対策が必要です。
また最初は継続率が高くても、アップデートが少なく古臭くなると一気に継続率が下がる可能性があります。いつも新鮮さが感じられるようにアップデートを行い、継続率を維持するのも忘れないようにしてみてください。
先ほども解説しましたが、定期的に継続率をさまざまな方法で計算するのも重要です。解約率といった他の指標も組み合わせて問題が発生していないか確認するようにしましょう。
まとめ
今回は継続率やその重要性、上げるためのコツなどを紹介しました。
コストを削減して効率よく継続的に利益を得るためにも、継続率の確保・成長は必要です。人手が足りないと思う場合は外注したりツールを導入したりして、少しでもリテンション等のできる体制を整備しておきましょう。
ただし、リテンション回数が多過ぎたりすると離脱率が増えてしまうので施策を実行する際は注意しておいてください。
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