自社アプリの開発費用はいくらかかる?費用相場とコストを抑える開発方法を解説
自社アプリを開発する際、コストの計算や管理は避けて通れない作業です。開発スキルがない場合は外注するケースも多く、その場合さまざまな種類のコストが発生するため、全貌の把握には結構手間がかかります。
ある程度の相場やコストの種類などをあらかじめ知っておくことで、適切なコスト管理ができるようになり、またコストを抑える積極的な姿勢を取りやすくなるでしょう。
アプリ開発の際どのくらいコストが掛かるのか、その内訳や相場、コストを抑えるコツなどを解説します。
目次
自社アプリの開発にはいくらかかるのか
例えば、自社アプリを外注して開発してもらうと仮定した場合、アプリの開発費用はどれくらいかかるのでしょうか。
実は、細かい費用内訳を出してくれているところは意外と少ないです。なぜなら、アプリ開発にはさまざまな要素がかかわっており、細かい費用を算出して最初からプランとして提示するのが難しいため。
アプリ開発の依頼時には、相見積もりを取って費用の差を考えることも重要になります。
ただし、ある程度幅はありますが、基準となる費用相場等はあります。アプリ開発で発生する費用の種類や相場を解説します。
アプリ開発費用の内訳
アプリには次のような費用が発生します。
人件費
アプリ開発の工程には、
- 要件定義
- 設計
- プログラミング
- 検証
- リリース
があり、工程を実行するために
- ディレクター
- 戦略立案者
- 実際に作業をするエンジニア
- アプリUI/UXデザイナー
といった担当者が複数関与します。
アプリ開発を外注する際は、各担当者へ払う人件費を考えなければいけません。
担当者の人数やスキルは企業によって異なり、担当者やスキルが高い人材が多いほどアプリ開発費用が増え、そうでなければ開発費用は減少します。
人件費は安ければいいというものではありません。ある程度の担当者や人材を確保できないとアプリ開発が頓挫するリスクがあるため、開発したいアプリの種類や規模を判断して適切なスケールの業者へ依頼することが重要です。
開発期間
アプリ開発費用を計算する際は「人月」という単位を使います。
人月は「開発にかかわる担当者の作業単価×開発期間」で決まるため、開発期間も費用算出時に必要です。
単純なユーティリティアプリであればそこまで開発期間はかからないでしょうが、
- 複雑な機能・決済システムを持つECアプリ
- 3DやVRといった技術を多用したゲームアプリ
といったケースでは、開発に1〜2年掛かることもあります。開発期間が長ければその分人件費も膨らむため、あらかじめどのくらい開発期間が必要なのか業者側へ確認しましょう。
固定費
人件費や開発費以外で、開発時に発生する費用として、
- ドメイン
- サーバー
- その他必要な素材の費用(検証用端末など)
などがあります。
固定費はアプリを内製で開発する場合でも発生します。
固定費に該当するドメインやサーバーといった設備の費用は、プランとして費用が提示されているケースが多く、人件費よりは大まかな費用の計算がしやすいです。
ちなみにアプリ配布の場合は、App StoreやGoogle Playといった対象サービスへの登録・配布費用も含まれます。PWAの開発など、アプリストアを通さないアプリの開発の場合は考えなくても構いません。
オプション費
使いたい機能がオプション費として割り振られている場合は、必要な分を追加で計算する必要があります。
- データの新規取得
- SNS連携の実行
- 会員データの管理
といった機能内容によって費用は変わります。機能によっては、開発期間が長くなるリスクもあるので、欲しい機能がある場合は早めに依頼しておきましょう。
アプリ開発にかかる費用の相場
アプリ開発における費用相場の計算事例を紹介します。
人件費の事例|システムエンジニアを基に解説
まず担当者に払う人件費については、たとえばシステムエンジニアの場合、
- 初級:60万円~100万円
- 中級:80万円~120万円
- 上級:100万円~160万円
といった月額の相場があります。
もしアプリ開発に、
- 初級が3人(1人60万円が発生)
- 中級が3人(1人80万円が発生)
- 上級が2人(1人100万円が発生)
のシステムエンジニアが必要だと仮定すると、1か月あたり「60万円×3人+80万円×3人+100万円×2人=620万円」がシステムエンジニアの稼働費用になります。
開発期間を3か月と仮定し組み合わせると、「620万円×3か月=1,860万円」。
もちろん実際の費用はディレクターなどの他担当者に払う費用や業者の提示した人件費などによって変わります。あくまで1つの計算方法の参考として上記の事例を覚えておくと良いでしょう。
固定費やオプション費の事例
固定費やオプション費用は、機能によって異なります。
代表的なものとしては、
- AppStoreを利用する際の登録費用:1万1,800円/年
- SNS連携をする際の費用:5万円
などがあり、もしAppStoreへ登録してSNS連携まで実行する場合は、初年度に「1万1,800円+5万円=6万1,800円」が発生します。
- 検証用端末の確保:5年以上前にからの発売のスマホ端末は中古でも購入しておくひつようがあります。
- サーバー費用:アクセス数やダウンロード数などによって異なりますが、1万ユーザーだと月額5万前後。 100万ユーザーだと月額50万程度は見ておく必要があります。
- 保守:システムアップデート費用、バージョンアップ、バグ対応など常にアプリのシステム保守が必要になります。アプリの作りや規模によって大きく変わりますが、相場は初期開発費の10〜20%がシステム保守費用として見ておく必要があります。
アプリジャンル別の費用相場
アプリのジャンルによって、ある程度の費用相場が決まっています。
- EC系:100万円~300万円
- カタログ・フリーペーパー系:50万円~100万円
- ゲーム系:300万円~1500万円
- チャットボット系:50万円~100万円
- 位置情報系:500万円~1000万円
高度で複雑な技術が必要なジャンルほど多額の費用が発生します。
たとえばゲーム系は費用が膨らみやすいです。大手企業では億単位で開発・リリースに費用を掛ける事例も少なくありません。
- 多数のユーザー接続に対応できるサーバー設備の用意
- キャラクターメイキングやグラフィック等の開発
- 処理速度・精度の向上
といった条件に応じてお金が発生するためです。
多額の費用が掛かりますが、実は成功しているゲーム系アプリはそう多くありません。
実際に大手ゲームアプリでも、1年経過せずアプリが終了してアイテムの払い戻しなどを行った事例があります。
自社アプリの運用開始後にかかる費用
自社アプリは開発費用だけでなく、運用開始後の費用も算出しておくことが重要です。運用開始後にかかる費用を解説します。
運用・保守費
運用開始後一番に考えなければいけないのが、運用・保守費です。
自社でアプリ運用ができない場合は開発した業者に運用や保守を任せたいと思うでしょう。そもそもアプリ開発に関するノウハウがないため外注するケースが多く、その場合は運用・保守のノウハウも不足しているため、依頼せざるを得ません。
運用・保守とは、たとえば
- 新機能の追加
- バグへの対応
- ユーザー意見のフィードバック
- OSアップデートへの対応
といった作業のことで、どれもノウハウがないと対応が難しいです。
アプリ開発時の見積書には、運用・保守費が書かれていないケースがあります。気になる方は1年単位などでどれくらい費用が発生するのか、あらかじめ聞いておくとよいでしょう。
ちなみに費用相場としては、一例として「開発費の10%〜20%」といった費用が発生するケースがあります。初期開発費が多いほど、それに比例して運用・保守費も増えることが多いです。
アプリが成長してインフラの強化が求められると、保守・運用費もその都度増加するのも覚えておきましょう。
固定費の継続費用
運用・保守費ほどではありませんが、サーバーやネットワークの運用などにも継続してコストがかかります。
仮にAppStoreに登録した上で月額1,000円のサーバーを借りていれば、年に「(1万1,800円+1,000円)×12か月=2万3,800円」が発生します。
小規模のアプリであればそれなりに負担になるかもしれません。当然複数台サーバーを借りたりアカウントを複数登録したりしていれば、コストは増えていきます。
最近では、サーバーの負担増加に対応するため、「AWS」といったクラウド上でリソースを柔軟に変更できるサービスを利用する事例も増えてきました。こういったサーバーでは必要な場合に応じて従量課金でリソースを増加して割り当てられるので、余計なコストを支払う必要がありません。
▼合わせて読みたい
アプリ運用コストはどれくらい?保守費用などにかかるコストとは
自社アプリの開発コストを抑えるための方法
自社アプリを開発する際、できるだけコストを抑えたいと考える人は多いかと思いますが、どうしたら開発コストを抑えることができるのでしょうか。
自社アプリの開発コストを抑えるための方法を紹介します。
要件や機能をあらかじめ設定しておく
アプリ開発においては、最初の要件定義が重要です。多少時間が掛かっても、
- なぜ制作するのか
- 現状の課題や解決後のイメージ
- 必要な機能・デザイン
などを要件定義に落とし込めないと費用を削減できません。
また、要件定義が曖昧だと、アプリ開発会社へアプリの内容を共有するのも難しくなります。
要件定義の概要だけでも作っておいて、細かいところは業者と相談して決めていける体制を作っておきましょう。明確な要件定義をすることで、アプリ開発費用だけでなく開発期間の削減にもつながります。
外注する必要のある工程だけ依頼する
たとえばアプリデザインについては、制作用のソフトウェアがあれば自社でも制作は可能です。デザイン費を削るだけでもかなりの費用削減が可能になります。
このようにツールの力を借りながら、外注する必要のある工程だけ依頼を行うのも有効です。
ただし、どの工程を自社で行うのかあらかじめ共有しておき、開発に影響が出ないよう工夫しましょう。中途半端に切り出しを行い開発を依頼すると、リリース後に不具合が起きる危険もあります。
Webアプリにする
Webサイトを進化させた「Webアプリ」なら、Webサイトの一種なのでネイティブアプリの開発よりも費用を抑えられます。アプリストアへの登録を行う必要性もありません。
Webアプリは現在PWAへ進化しつつあり、プッシュ通知といった機能も使えるようになっています。最近では今まで対応していなかったAppleが、iOSでのプッシュ通知機能をPWAへ解禁する方針へ動いたのも話題になりました。
ただし現時点ではネイティブアプリが有利な点も多いので、無理にWebアプリだけにアプリを絞り込むのは危険です。
個人事業者に開発依頼を行う
個人事業主へ依頼を行うのもコスト削減の手法として有効です。現在ではクラウドソーシングサービスなどで、アプリ開発を専門に活動しているフリーランスも増加しています。
法人と比較して利益率が大きい個人事業主へなら、低コストで開発依頼できるでしょう。
ただし、信頼性や複数人数稼働ができないといった問題があるので、大規模なアプリの開発には向いていません。
レベニューシェアで負担を分散する
「レベニューシェア」とは、クライアントと開発業者がシステム開発に掛かる費用・利益を共有する方式です。この方式だと初期開発費用を分散できるので、アプリ開発のハードルが下がります。
ただしレベニューシェアには、
- 業者との長期的な関係構築が求められる
- 事前に利益分配の割合やルールを策定する必要がある
- 将来的な利益が100%自社へ回らなくなる
といったデメリットもあります。
細かい契約が必要になってくるため、レベニューシェアの経験がある業者へ依頼をしたほうが良いでしょう。
ただし、レベニューシェアのリスクや面倒さを考えて、依頼を受けてくれないケースもあるので注意が必要です。
アプリ開発プラットフォームを利用する
最近では、「外注するだけ」がアプリ開発の手段ではなくなってきました。アプリストアやPWAへ対応したアプリの開発が、一本でできるプラットフォームが続々登場しているからです。
プラットフォームのサポートを受けながら開発ができれば、知識・スキルが不足していても内製は可能です。内製すると自由度が高くなり、いろいろな機能を試しやすくなります。外注の場合発生する、交渉の面倒さもありません。
アプリ開発プラットフォームを利用する際は月額費用が発生します。その点に注意してプラットフォーム同士の機能やプランなどを比較してよいサービスを選定しましょう。
▼合わせて読みたい
アプリ開発プラットフォーム国内大手5つを比較!選定ポイントはどこ?
中小店舗のアプリ開発にも適したプラットフォーム!店舗アプリDX版「raiten」とは
弊社では店舗アプリDX版「raiten」を提供しております。名前の通りクライアント様のDXにもつながるアプリ開発をサポートするプラットフォームです。
中小店舗様からの支持が高いのが特徴であり、実績は8,000店舗を超えています。地元に根差したチェーン店舗様などにご利用いただいており、デザイン・機能制作が簡単にでき、PWA制作も同時可能です。
最短20日でアプリ作成・運用も可能なため、気になる方はぜひご相談くださいませ。
まとめ
今回は自社アプリの開発費用相場やコストを抑えるコツなどを解説しました。
自社アプリの開発にはさまざまな種類のコストがかかり、初期費用だけでなく継続的に掛かるコストまで考えないといけません。費用相場を理解した上で相見積もりを取り、費用を抑えられるように要件定義をしっかりする、といった対策を行うと良いでしょう。
ぜひ自社アプリを低コストで導入して事業成長へつなげてみてください。