会員証のアプリ化が加速。一元管理のメリットやシステム連携方法などを解説
従来、会員証は紙やプラスチックで発行して配布するのが当たり前でした。しかし紛失のリスクや更新の手間などを考えるとコスト面などの課題があり、デジタル化によってそのデメリットがより目立つようになっています。
そこで代わりとしてアプリで会員証を提示できるようにして、手軽に会員証を利用できるようにする動きが急速に加速しました。
会員証をアプリへ表示させる方法は複数あるので、ぜひ自店舗に一番合った方法を選択してみてください。
この記事では、会員証をアプリ化するメリットや実現する方法等を解説します。
目次
アナログの会員証はもう古い!会員証はデジタル化すべき
今までは紙やプラスチックでカードを発行して、リピーター関連の施策を実行していた店舗が大半でした。
ただし昨今のデジタル施策の普及やアナログ施策のデメリット増加といった要因によって、現在ではデジタル会員証を発行する企業は年々増えています。
では、アナログな会員証をメインに据えたままにしていると、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
まずは、アナログ会員証のデメリットを解説します。
発行・更新にコストがかかる
アナログの会員証を発行するには、
- 印刷するカード
- 印刷塗料
- 専用リーダー
といった材料・機材の準備が必要です。導入するサービスやカードタイプなどで費用感は変化しますが、発行規模によっては数十万円・数百万円は掛かってしまうでしょう。
それだけでなくアナログなカードは摩耗して次第に使えなくなってしまうので、使えなくなったタイミングで更新を行う必要があります。
カードデザインやシステムの刷新等の状況変化でも更新を実行する必要性が出てきますが、この際にもまたコストが発生してしまいます。
こういったコストはアナログ経由で発生しているがゆえに、一気に削減することができないのがデメリットです。
カードを発行したり更新したりすることが手間
ユーザー目線で考えた場合、カードを発行・更新する手間は意外に面倒なものです。手元にカードを持つ必要があるため、遠隔でのオンライン手続きができません。そのため直接来店して情報を提示し、カード発行の準備をする必要が出てきます。
しかし現在ではECサイトが発達し、またコロナ禍によって店舗で手続きをする際は衛生面を気にしないといけなくなりました。こういった変化によってカードを発行したり更新したりするのを嫌がる方もいらっしゃるでしょう。
アナログな会員証のままだと、こういった手続きを嫌がる方が離脱してしまう原因が解消されません。
カードの紛失・携帯し忘れが多い
アナログのカードはどうしても紛失・携帯し忘れのリスクが付きまといます。
まず紛失に関しては、財布でカードが複数かさばっていると起こりやすいです。どのカードがどの場所に格納されているのか把握できず、カードの利用にもたつくケースも増えています。それだけでなく最悪の場合、カードがいつの間にかなくなっているケースも珍しくありません。せっかく発行してもらったのに使いにくかったり紛失されたりしては効果がなくなってしまいます。
また携帯し忘れについては、バッグを忘れたりしてカードが手元にない場合に発生します。現在ではスマートフォンでカード提示や決済が完結するようになった、という変化により、この携帯し忘れのリスクはさらに大きくなっていると言ってよいでしょう。
デザイン変更などが難しい
アナログの会員証の場合、柔軟な施策を取ることができないのもデメリットになります。
たとえば「1か月限定でデザインを変更したい」と思っても、実現するには新規カードのデザイン考案・制作だけでなく発行等まで行う必要があります。デザイン変更のためだけにコストを掛けてまで新規カード発行を促すのは非効率です。
また従来のデザインが古臭いので刷新したいという際も、変更に多大な手間が掛かってしまいます。印刷して配布しないと使えないデメリットが、大きく出てしまっている事例です。
会員ステータスを確認しにくい
アナログな会員証の場合、
- 会員ランク
- ポイント数
- 有効期限
といった各ステータスを確認するのが面倒です。
仮にカードに直接記載するタイプの場合は、いちいち店舗へカードを持って行って情報を照会しないと最新情報が確認できません。しかも情報の1つ1つが文字で小さく表示されるので、視認性がよくないのもデメリットです。
カードに情報を印字しないカードタイプの場合は、さらに情報の照会がややこしくなります。ステータスをリアルタイムで確認できないと、ポイントがいつの間にか失効してしまうといったリスクを抱えてしまうことになります。
デジタル会員証とアプリを連携すればメリットはたくさん
デジタル会員証を発行してアプリと連携して提示ができるようにすると、次のようなメリットを得られます。
発行や紛失等に掛かるコストがなくなる
デジタル会員証を発行できれば、まずコストが大きく削減できます。
発行については紙や印刷塗料を必要とせず、あらかじめデザインデータを適用して表示できるようにしておけば簡単な個人情報入力等で提示ができるようになります。またスマートフォン自体を紛失しない限りは、カード情報がなくなることはありません。アナログなカードで発生していたカードが紛失して手間が掛かるリスクがなくなるのがメリットです。更新の必要性が出てきても、アプリ側で手続きを行いデータを反映させるだけで済みます。
アナログのときよりも工程が簡略化されるので、大幅なコスト削減につながるでしょう。
発行や更新の利用率まで上がる
アプリ経由でデジタル会員証を発行したり更新したりできるようになると、ユーザー側の負担も削減されます。
具体的には今まで店舗まで赴いて情報提示や入力・確認等を行っていた手間がなくなります。アプリとインターネット環境があれば発行準備を済ませられるので、発行時間短縮につながるでしょう。当然更新に関してもさしたる手間は掛かりません。
こうした変化により、「会員証を作る=面倒」という図式がなくなり簡単に会員証を発行できるイメージを印象付けることが可能です。そうすればアナログのときよりもカード発行の利用率を上げたり、カード更新ユーザーを増加させたりすることもできるでしょう。
カードデザイン変更といった施策が簡単に実行できる
すでに店舗のデジタルカード利用事例では、「地域といった条件ごとにカードデザインを変更して魅力を増やす」といった施策が実行されています。
従来アナログでカードを発行する場合は、デザイン変更はすぐに実現できませんでした。しかしデザインデータをアプリへ反映して一括でまとめて表示する形式へ変更することで、元のデータを書き換えて表示すれば簡単にデザインを変更できるようになります。これによって1か月だけデザインをイベント仕様に変更して販促に利用する、といった施策が実現可能です。
デジタル化によって施策の柔軟性が上がることで、さらなる店舗成長へつなげることができるでしょう。
また会員ランクやポイント数の表示フォントデザインやサイズを変更する、といった細かい変更も簡単にできます。検証もしながらデザインを改善することでより使われるカードへと変更することができるでしょう。
店舗での利用率が向上する
アナログな会員証よりも、デジタルの会員証のほうが利用率が上昇しやすいですなぜなら、スマートフォンは基本的に持ち歩いているユーザーが多いからです。
スマートフォンでいろいろな作業ができるようになり、カードを携帯し忘れるリスクも減ります。そういった状況を反映してスマートフォンから会員証を表示できるようにすることで、ユーザーの普段の行動へ「アプリを起動して店舗で会員証を表示する」を追加することが可能です。
また紛失リスクも一気に減少することで、再発行等に伴うコストまで削減できるでしょう。後述するプッシュ通知との連携によって、店舗内でカードを提示し忘れるリスクをさらに減少させられるのも魅力です。
会員情報が一元管理できる
既存のカードシステムと同じように、アプリ上の会員証システムでも、
- 性別
- 年齢
- 地域
- お気に入り店舗
- 来店頻度
といったカードに蓄積された情報を一元管理することができます。
蓄積された情報は分析ツールでいつでも分析することが可能です。「キャンペーン期間中1か月と普段の1か月の売上、来店数を比較する」といった作業を行うことで、適切な施策の調整等を実行することができるようになります。
ちなみにアプリプラットフォームの分析ツールを使えば、グラフや数値で分かりやすく多角的な状況分析が実行可能です。指標に優先順位を付けて結果を確認できるようにしておきましょう。
利用状況などに応じたプッシュ通知配信などができる
デジタルで会員証を提示できるようになれば、利用状況やユーザー属性といった情報分析に合わせたパーソナライズな販促が実現できます。
たとえば「20代男性には指定商品無料クーポンを、30代女性には2,000円購入で10%会計で料金OFFクーポンを配布する」といった販促なども可能です。分析内容やセグメント分けによっては、さらに分割して情報を出し分けることもできます。
またポイント期限が3日後に迫っている方にプッシュ通知を送信することで、店舗での速やかなポイント利用を促進することが可能です。さらにターゲットユーザーにだけ新商品の紹介通知を送ることも可能なので、積極的で的確な情報配信を心掛けることでマーケティング効果を拡大できるようにしておくとよいでしょう。
アプリと会員証の連携方法
ここからはアプリと会員証はどうやって連携されているのか、その方法を解説します。
Webビュー
Webビューとはアプリ内において、Webサイトの一部を読み込んで連携して表示させる方法です。
アプリ経由でWebページを表示させる場合は、Webブラウザーアプリを起動させて表示する方法も取れます。しかしWebブラウザーアプリを介して読み込むのではなくWebビュー機能を使ってアプリから表示できるようにすると、会員証表示に関してスムーズな印象をユーザーへ与えることが可能です。
Webビューを通したデジタル会員証とアプリの連携は簡単なのがメリットです。Webで会員証を提示することができる状態であればすぐに連携準備を進められます。
ただし見た目上アプリで情報を表示しているだけで、内部データまで連携しているわけではありません。蓄積された会員証データはWeb側で別途表示して分析する手間が掛かります。
Webパラメーター
Webパラメーターとは「URLパラメーター」とも呼ばれるものです。
Webページを表示する際の文字列であるURLの末尾に分析用の文字データを追加することで、トラッキングを実現する手法です。
この方法もWebビューと同様簡単に実行できます。URLパラメーターの付与自体は文字列の内容を自分で考えて、末尾に入力して付与するだけなので簡単です。
ただしパラメーターを受け取るシステムの準備に必要で、Webサービス側で設定したWebパラメーターを受け取る仕組みを構築しておかないとエラーになってしまいます。
しかし、受け入れができる会員証システムが多くないので、システム内容によっては実現できないリスクもあるのがデメリットです。
API連携
APIは「自社で用意したシステムに対して、外部システムの一部機能を呼び出して利用するための技術」です。
SNSアカウントを使ったシステムログイン機能などが代表的な事例です。
APIでは機能呼び出し用のコードを用意して読み込めるように準備をします。利用するにはAPIを提供しているシステムの利用ルールをよく確認して、ルールに沿った呼び出しが必要です。APIを利用するとアプリ内でデータを一括して分析ができるようになります。
3つの方法の中で一番ユーザー体験をよくできる方法ですが、内製で実現するのは難しいのがデメリットです。
連携作業を委託すれば簡単に実現できますが、その際は依頼費が発生する点を頭へ入れておきましょう。
店舗アプリDX版 raitenなら専門知識がなくてもアプリの作成・運用ができる
デジタル会員証の用意を検討している方には「店舗アプリDX版 raiten」がおすすめです。
デジタル会員証はもちろんのこと、
- クーポン配信
- プッシュ通知配信
- デザインテンプレートの選択
といった機能も簡単に搭載できるので、店舗の販促に必要な機能・デザインをそろえたアプリを短期間で開発可能です。
またAPI連携作業に関してもオプション費用は発生しますが対応しております。
気になる方はぜひオプション内容や費用まで含めてお問い合わせくださいませ。
お問い合わせフォームはこちら
まとめ
今回は会員証をアプリ化するメリットや実現する方法等を解説しました。
会員証はアナログなままにしておくのではなく、デジタル化してアプリで提示できるようにすることでより効果的に活用することができます。アプリから会員証を提示できるようにする際はさまざまな方法が利用できるので、自社の状況に応じて適切な方法を選択してみてください。
アプリを制作して会員証を提示できるようにしたい初心者の方には、アプリプラットフォームの利用をおすすめします。