紙のスタンプカードをアプリにする際の注意点!計画の立て方や移引き継ぎ方を解説
スタンプカードを紙で見る機会が少なくなったように思えます。代わりにアプリを制作して、その中へ機能としてデジタルスタンプカードを組み込むケースが増えています。
アプリを使うとスタンプカードやクーポンなどをデジタル化して統合できるので、コスト削減や業務効率化、ユーザビリティ向上などへつなげられるのがポイントです。ただしスタンプカードを紙からアプリへ移行する際は、注意点があるので押さえておきましょう。
今回はスタンプカードのアプリ移行を検討している方へ向けて、その計画立ての方法や実際の移行方法、そして移行の際の注意点などを解説していきます。
目次
事前に準備を行おう!紙からアプリスタンプカードへ移行する際の計画ポイントを解説
いきなり紙からアプリスタンプカードへ移行しようとしても、お客様がスムーズに移行できないと失敗してしまいます。事前に計画立てを行い備えておきましょう。
アプリスタンプカードの詳細設定方法
アプリを導入後有効に活用してもらうには、詳細設定を事前に固めておく必要があります。
スタンプコンプリート枠数の決定
スタンプコンプリート枠とは、要するに「何個集めれば特典が入手できるか」という枠のことです。
・3個で粗品プレゼント
・5個で100円OFFクーポンプレゼント
・20個で1,000円OFFクーポンプレゼント
というように、段階的な枠を設けている店舗も多いでしょう。
既存スタンプカードと同じ枠でも通用する可能性はありますが、アプリへの移行を前提に計画を立てる場合は差別化、を意識する必要があります。詳しくは後述しますが、アプリを優遇することで移行を自然に促すのが有効な手段になりえるでしょう。
コンプリート特典の決定
特典の決定も重要です。上記のように段階的に内容を豪華にしてリピーターを増加させるのは基本的な施策になります。
アプリへ機能を移行する場合は、特典をデジタル化できるのが特徴です。
たとえばクーポンは紙で配布せずに、アプリから自動発券できると利便性が増しますしコスト削減につながります。ちなみに大手店舗ではデジタルクーポンにバーコードやQRコードを結び付け、商品提示のタイミングですぐクーポン内容を読み取れるようにしているケースもあります。
有効期限の決定
有効期限も重要です。有効期限が長いとユーザー側のメリットは大きいですが、その分お客様の再来店が促進しないというデメリットが出てきます。たとえば期限が付与後1年と3年では、3年のほうが余裕がある分再来店のスパンが空いてしまうかもしれません。
また有効期限が短いと再来店を促しやすい分、店舗側にはメリットがあるかもしれません。しかし短過ぎるとすぐ失効してしまうため、「ここのスタンプは集めたくない」というユーザーの店舗離れを加速させることにつながるでしょう。
要は有効期限を上手く調整して、ステークホルダーである店舗とお客様間双方のメリットを減らさないようにしておく必要があります。
有効期限によって双方のメリットが変わってくることを意識し、マーケティング施策として場合によっては期限を変更してみる、期限を短くする代わりにスタンプ付与のハードルを下げるといった調整を行ってみましょう。
アプリへ移行する場合は紙よりもどうやってメリットを期限で提示するかがポイントになってきます。
単に長くすればよいわけではなく、上記のように期限を短くする代わりにインセンティブを提示する、といった工夫をする必要があるでしょう。
スタンプ画像決定
スタンプ画像は細かいですが、ブランディングにもかかわってきます。
某コーヒーチェーンではプリペイドカードのデザインを地域によって変えています。これと同じように、たとえば「店舗ごとにスタンプ画像内容を変更する」といった工夫でコレクション性を向上させて、リピーターの気を引くといった施策を考え出すことができるでしょう。
既存スタンプカードとアプリスタンプカードでは、求められる画像が異なる場合があります。
紙での印字とディスプレイでのデジタル印字では、
・素材
・解像度
などが違うので適している・適していないスタンプ内容が変わるからです。
もし紙での印字に発色のよいスタンプを使っていても、アプリでは上手く色を出せないかもしれません。その場合は代替のカラー配色を考えるといった工夫が必要です。また紙よりアプリのほうが制約がないので、デザインの自由度が高い点もポイントになってきます。複数のスタンプを物理的に用意しようとすると、都度スタンプを購入して用意する分コストも手間も掛かってしまうでしょう。
既存からのスタンプリデザインでメリットが得られるならば、スタイリッシュに変更するのも有効です。
ただしブランディングに影響がある点を踏まえて、自店舗のイメージを崩さない工夫を行ってデザイン制作を行ってみましょう。
スタンプカードの出し方
スタンプカードがすぐ確認できないと利便性低下につながります。また気づいてもらえない位置に設置してもそもそも認知されない可能性があります。
固定メニューで「スタンプ」の欄を設けてすぐ表示できるようにする、といった方法が考えられるでしょう。またスタンプ機能説明や更新内容などを確認してほしいときは、アプリのお知らせメニューやプッシュ通知などで伝達をすれば伝わりやすくなります。特にプッシュ通知は配信頻度を調整すれば、効率よくユーザーの注意をスタンプへ向けることができる優秀な機能です。
紙スタンプカードの終了事前告知方法
アプリスタンプカードへ移行するためには、ユーザーへ事前に既存のスタンプカードを終了する旨の告知を実施しないといけません。告知を行う際は以下の点に注意してみてください
終了告知の時期について
アプリをリリースしてからすぐに移行を実行するのはやめておきましょう。
急にアプリをリリースしてすぐにスタンプの移行を行おうとすると、対応できない方が出てくるからです。そこからクレームにつながったりすると問い合わせ対応に時間を取られたりして、アプリのコスト削減メリットが薄れてしまうリスクがあります。
たとえばアプリリリースが1月初旬で、そこからアプリスタンプカードへスタンプを統合したいと考える場合、1か月や2か月は移行の猶予期間が必要です。
周知を行った上でアプリへの移行シェアを都度確認して、スタンプカードの紙保有率が基準を下回ったときに完全終了のタイミングを見計らうのが望ましいでしょう。
数%でも利用できない層がいるとクレームにつながる可能性があるので、アプリ利用率をなるべく100%へ近づけるためにじっくり施策を実行してみてください。
ちなみに事例としてまず半年以上のスパンを置いて紙スタンプカード終了を告知、そして
・新規発行をまず終了
・次に半年後に捺印を終了することを告知
・捺印終了後も紙スタンプカードの引換期間猶予を半年程度設ける
と段階的に終了を実行していくケースもあります。ですから自店舗のスタンプカード利用状況やカード利用率などでどうやって終了させていくのか考えるのも有効です。
告知内容について
告知内容についても、利用者の混乱が起きないように工夫する必要があります。
盛り込むべき内容は、
・紙スタンプカードの完全終了時期
・期間が来たら全面終了するのか、段階的に終了するのか
・既存スタンプカードとアプリスタンプカードの違い
・アプリにする背景やメリット
・引き継ぎの際の操作方法
スタンプカードの内容が複雑な場合は、段階的に機能を終了させて移行したほうが混乱が少なくて済みます。
また既存スタンプカードとアプリスタンプカードがどう違うのかを説明する必要があるでしょう。その際アプリにすることで、
・スマートフォンからすぐ表示できる
・スタンプカード以外の情報確認も簡単
・アプリ限定のデザインが追加される
・アプリだと多くスタンプが付与される
といった移行メリットがあることを説明、シェアを伸ばせるように工夫することも重要です。初期導入においてシェアを一気に伸ばしたい場合は、「インストール&スタンプカード設定終了でスタンプ5個付与」といったインセンティブを付けておくとよいかもしれません。
操作方法については、
・アカウントをどうやって発行するのか
・スタンプカードをどこから表示するのか
・履歴はどこから確認できるのか
といった必要な項目を網羅しておきましょう。実際のアプリ画面を介して説明する、動画でスタッフが操作方法をレクチャーするといった方法も有効です。
手順を簡単に解説!紙スタンプカードをアプリへ引き継ぐ場合
続いては計画を立てた後、実際に紙のスタンプカードをアプリへ引き継ぐ方法をご紹介していきます。
インストールを促進しよう!はじめにやるべきこと
実際に引き継ぐ前に、いくつか準備しておきたいことがあります。
まず来店してくれたお客様がアプリをインストールしていない場合は、その場でインストールしてもらう必要があります。
ただし店舗内でのインストールではWi-Fi環境がないと、インストールにデータが消費されてしまうため快く思わない方がいらっしゃいます。
もし今後DXを実現したい場合はインターネット環境が必須になっていくので(IoT接続やITシステム連携にはインターネット環境が必須)、補助金活用なども検討しながらWi-Fi環境を整備すると安心できるでしょう。
そしてアプリの用意ができている場合は、スタンプカードの利用方法や付与方法などをその場でレクチャーしていきます。
スムーズにレクチャーできるよう各スタッフに研修を行い、違和感のない接客へ努めていきましょう。
1人でもスタンプ付与に戸惑うスタッフがいると、「接客がなっていない、研修がきちんとできていない」と思われて評判が悪くなるリスクもあるので注意しましょう。大手店舗でもITシステムの使い方に慣れておらず、お客様を困らせてしまうスタッフがいるので注意したいところです。
2種類から選択!紙からアプリにスタンプを移行する方法とは
ここからは2種類ある、紙からアプリへのスタンプ移行方法をご紹介していきます。
QRコードで付与
QRコードを作成する方法は簡単です。
管理画面から「5個はこのQRコード」というように必要なQRコードを作成してお客様へ提示するだけだからです。後はお客様へコードをカメラで読み取ってもらうだけになります。
ただしこの方法だとスタンプ個数によってQRコードを分ける必要があります。なるべく発行コード数を減らしたい場合は、
・1個
・5個
・10個
と段階的にQRコードを用意して、個数によって都度読み取ってもらい付与できる仕組みを構築する必要があるでしょう。読み取り回数が多いと不服を覚える方もいらっしゃるでしょうから、数回で読み取りが済むと安心です。
中途半端な付与が面倒な場合は、移行時にスタンプを調整して切りのよい数を付与できるように準備しておいてください。
管理画面でユーザーIDを検索して付与
細かい調整が必要な時は管理画面からの付与が適しています。
会計時にお客様のアプリIDをメモしておき、後ほど管理画面から検索を掛けて見つけます。そして必要なスタンプを付与して移行を完了させることが可能です。
この方法だとお客様がカメラを起動させてQRコードを読み取る必要がありません。手間を掛けずにお客様が移行を完了させたい、と思っている場合はこちらの方法が適しているでしょう。
ただし店舗側での作業量が増加してしまうリスクはあります。
またスタンプ付与を管理画面操作時に間違わないよう、付与前後でダブルチェックなどを行ってみてください。
最終的にはアプリへ統合を!紙とアプリスタンプカードを同時に提供する場合の注意点
移行期間中は、紙もアプリスタンプカードも両方提供できるようにしたほうがユーザビリティが高いです。ただし下記の注意点を踏まえて、最終的にはアプリへ統合する計画を立てておきましょう。
紙スタンプカードとアプリスタンプカードを差別化する
紙スタンプカードからアプリスタンプカードへの切り替えを促進するためには、「アプリのほうがメリットがある」と思わせる必要があります。よって、
・スタンプコンプリート枠
・コンプリート特典
・有効期限
などの項目を差別化して、アプリのほうが有利になるよう調整する必要があるでしょう。
スタンプコンプリート枠については、たとえばアプリのほうがハードルが低くなるよう設定することで移行を促せます。
移行時にキャンペーンスタンプなどを付与してみてもよいでしょう。ただし施策が移行期間中ずっと同じだと効果が薄くなるリスクもあるので、データを見ながら施策を追加したりといろいろ検討してみてください。
コンプリート特典については、アプリでデジタル化する分豪華にする、といった方針が考えられます。たとえば、
・紙では500円OFF
・アプリでは700円OFF
とすることで、アプリでゲットしたほうがお得だと訴求できます。割引額が増えた分は紙代や人件費削減などで吸収できるでしょう。
有効期限については下手に手を加えるとクレームが来る可能性が高まるので、変更する場合は周知を徹底しておく必要があります。
紙よりアプリのほうを長めに設定するといった方法で差別化を行いながら適切な期限を決めてみましょう。ただし何度も期限を変更するとユーザビリティが下がるので、事前の期限決めをしっかりしておくと安心です。
アプリへ移行するとお客様にメリットがあることを周知する
機能面で紙とアプリスタンプカードを差別化した後は、内容を周知しないといけません。
機能が周知されないとメリットが伝わらず、移行が遅れてしまうリスクがあります。店舗側ではなくお客様目線からのメリットを謳わないと、「店舗側の負担を減らしたいだけか」と思われて印象が悪くなるかもしれません。
なぜ移行する必要があるのか、そしてどういったメリットがあるのかをお客様目線でまとめてスムーズに伝えておきましょう。
まとめ
今回はスタンプカードのアプリ移行を検討している方へ向けて、その計画立ての方法や実際の移行方法、そして移行の際の注意点などを解説してきました。
数年経過するとキャリアの3Gプランが終了するので、スマートフォン利用者が増える可能性が高いです。よって今のうちにスタンプカードなどのアプリ化や啓蒙にかじを切ることで、将来的なDX実現にもなります。
ただし事前の計画決めや移行方法設計などをしっかりしておき、スムーズな移行に備えるのを忘れないでください。
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