コロナ時代における飲食店の売上リカバリー方法!アプリの活用もカギになる
コロナウイルスの蔓延は、飲食店にとって特に未曾有の危機でした。売上を維持あるいは向上させた飲食店はごく一部であり、多くの飲食店はダメージを受けています。
飲食店が生き残るにはデジタル技術を利活用しながら、衛生面や営業効率などに気を遣ったマーケティングを実行していく必要があります。アプリを使えば施策を1つにまとめて運用ができるのでおすすめです。
今回はコロナウイルスの影響を受けた自店舗の売上減少などが気になる飲食店の方向けに、飲食店の現状をデータで解説しながら課題を解決する方法をご紹介していきます。
コロナでの売上状況、多くの店舗で売り上げは減少
コロナウイルスでの店舗売上状況に関しては、飲食店に特化したリサーチサービスを提供している「株式会社シンクロ・フード」のデータが参考になります。
株式会社シンクロ・フードでは自社サービスの会員を対象に、インターネット上で2020年の飲食店に関するアンケートを行いました。ちなみに対象者の67.6%が1店舗のみの店舗運営、また55.1%が東京都に本拠を構えて営業を行っています。
結果としては、
- 2020年11月の売上が昨年同月より50%以上減少した店舗は21.2%と最多
- 9月以降売上面で回復が見られていたが、11月から再び下降傾向に陥っている
- 2020年の年間総売上を昨年と比較すると、減少したと回答した店舗が約9割
といったことが判明しました。
2020年11月売上が下降しているのは、コロナウイルスの感染が再拡大した時期と重なります。「日本フードサービス協会」が出したデータでは2020年11月度の外食産業総合売上は前年同月比‐7.8%となっており、小規模店舗だけでなく大規模チェーンも集客に苦戦している様子が明確に理解できます。
ちなみにフードサービス協会のデータでは9か月連続の売上減少になっており、コロナウイルスが根本的に終息するまでは安定した売上成長は難しそうです。
実際シンクロ・フードのデータでも2019年度から売上を増加させた店舗はごくわずかであり、減少した店舗が9割になる結果となっています。
売上が減少したのには、次のような原因があります。
来店人数が減り、大規模の集客が難しい
飲食店では政府の方針により大規模の来店が自粛傾向にあります。大人数で飲食をしてしまうと感染リスクが上がり、最悪の場合クラスターを引き起こしてしまうので危険です。
飲食店では少人数での来店を呼び掛ける、席を間引くなどの対策を行って安心できる飲食体制を整備しています。
しかし飲食店にとって客足の減少はそのまま売上減少に直結するのが痛手です。政府の方針通りに経営を行うしかありませんが、本音では「大人数の集客を行いたい」と思っている方も多いでしょう。
団体の集客で収益を挙げていた居酒屋やカラオケ店などは、根本的な経営スタイルの見直しを迫られています。
夕方以降の来店を見込むのが難しくなり、夜飲み需要が減る
お酒を飲むと、人はつい気が緩んで大声でしゃべったりとコロナウイルス感染を拡大させる行動を取ってしまいがちです。政府では夜に感染者が発生している状況も踏まえて、夜8時までといった経営時間の短縮を各店舗へ要請しています。
影響が大きかったのはお酒を提供する経営スタイル、つまり居酒屋です。たとえば夜8時までの経営要請が出ていて夕方5時から経営開始する場合、3時間しか営業ができません。当然商売としては成り立ちにくくなってしまいます。
また夜飲み需要で収益を確保していた飲食チェーンで、集客するのが難しくなって苦心しているパターンがあるのもポイントです。
夜主体で経営を行っていた店舗は大胆な経営スタイル変更を迫られています。
滞在時間が減少
コロナ感染のリスクを抑えるため、長時間の飲食店利用も自粛するように求められています。この制限は長時間の滞在でゆっくりできるのが特徴のカフェといった業種に影響が出やすい内容です。
お客様の滞在時間が減少すると時間を掛けていろいろなモノを注文してくれる可能性が減るので、客単価的に不安が見えてしまいます。
衛生面を気にして現金のやり取りなどを嫌がる人が増えた
シンクロ・フードの調査ではお客様の動向変化についても質問を行っています。それによると
- 衛生面を気にする人が増えた・・・59.9%
- 1組当たりの人数が減少した・・・57%
- 夕方以降の来店が少なくなった・・・43.9%
となり、衛生面を気にする方が一気に増えたことが分かりました。
コロナ禍で発生したニューノーマルでは、政府の情報をチェックしながらマスク着用で過ごすなど衛生面を必然的に気にする場面が増加しています。特に重症化しやすい高齢者といった層では、人一倍飲食店に関するコロナ対策の度合いを調べているでしょう。
またキャッシュレス決済の利用意向も増加しています。
キャッシュレスは現金と違って店員と接触でやり取りする機会を減らして、安全な決済を実現可能です。最近では事前決済を行ってから来店する方が増加しているのもポイントです。
飲食店としては消毒を定期的に行うといった基本的なコロナ対策を行いつつ、キャッシュレス決済を経営に取り込みながら集客を行えるかがカギになってきます。
コロナ禍での売上減少リカバリー施策
コロナ禍で売上減少のリカバリーを行うためには、次のような方法が有効です。
宅配デリバリーサービスを利用する
コロナウイルスの影響で宅配・デリバリーサービスの需要は伸びています。たとえば一般の方が宅配員として登録可能な「Uber Eats」は、最近順調に提供地域を拡大させています。
デリバリーを利用すると、飲食店に来店しなくても自宅で食事を楽しめるようになるのがポイントです。
いわゆる「自宅で時間が増加したけど、おいしい食事をゆっくり楽しみたいな」といった中食需要のある層へターゲティングが可能になります。また衛生面で飲食店へ行きづらいお客様にも気軽に注文してもらえる点もメリットです。
ただしサービスへ登録して宅配を代行してもらったりすると手数料が掛かって来るので、料金配分を工夫する必要があります。
テイクアウトを利用する
テイクアウトもデリバリーと同じく需要が伸びている料理提供手段です。自店舗で料理を受け取れるようにして中食が取れるようにすることで、来店して直接飲食しにくい状況でも収益を獲得することができます。
デリバリーと比較して来店する手間は掛かりますが、安い料金で食事を提供できるのがポイントです。
容器代を上乗せするにしてもデリバリーより高い値段にはなりませんし、軽減税率が適用されるので容器代と相殺することも可能でしょう。
店舗によっては容器代を入れず、返って値段を店内飲食より下げることで集客を行っているケースもあります。
テイクアウトはサービスへ登録しなくても、自店舗で提供するスタイルも取れます。新規顧客層の獲得や認知度拡大などを行いたいときはサービスへの登録も検討材料になりますが、デリバリーと同じく利用手数料が収益を圧迫しないように注意しましょう。
サブスクリプションを導入する
「サブスクリプション」は雑誌の定期購読から来ている単語ですが、今では幅広い業態で定期課金による「コト消費(商品やサービスを借りて体験する消費スタイル)」を促進するビジネスモデルとして定着しつつあります。
サブスクリプションモデルの事例はWebサービスやアプリサービスだけでなく、飲食事業へも広がっているのがポイントです。
たとえば「coffee mafia」というコーヒー店舗では、カフェラテ無料といった内容のサブスクリプションプランを提供して集客に成功しています。
サブスクリプションモデルには、
- 定期的に料金が発生するので長期的にお客様から収益を見込める
- データを定期的に収集することでマーケティング施策に活用可能
- サブスクリプション経由でアップセルやクロスセルが狙える
といったメリットがあります。
どういった商品やサービスを提供するのか考えるといった手間は掛かりますが、一度軌道に乗ればマーケティングデータを効率よく得ながら顧客単価を上げ、長期的に売上を成長できるといった強みを活かして経営ができるようになるでしょう。
モバイルオーダーで事前決済などを提供する
飲食店の利用に関して事前決済の需要が伸びている今、検討してほしいのが「モバイルオーダー」のシステムです。
モバイルオーダーとはスマホやタブレットなどモバイル機器で、気軽にメニューを注文できる仕組みを指します。具体的には
- Webサイトやアプリからメニューを受け取りたい店舗を選ぶ
- メニューを選び受取日時や決済方法を選択する
- 決済を行った後来店し、メニューを受け取る
といった手順で注文ができるようになっています。
モバイルオーダーは店内飲食とテイクアウト両方に活用可能です。
店内飲食時に利用できるようになれば小銭の受取といった手間がなくなりますし、店員の作業負担が減ります。またテイクアウトにおいてもスムーズな注文につなげて集客数を増やせるというメリットがあるのもポイントです。
モバイルオーダーには
- クレジットカード決済
- 電子マネー決済
- QRコード決済、バーコード決済
といった決済手段が利用できます。
モバイルオーダーを導入するにはシステムを構築する必要があるので、外部システムを導入するといった方法でぜひWebサイトやアプリで注文ができる体制を整えてみてください。
キャッシュレスの導入
店舗での衛生向上を目指すためには、キャッシュレス決済の導入も重要です。
各サービスの利用者を新規ユーザーとして自店舗へ取り込めますし、キャンペーンに参加して集客効率を上げられるのもメリットになります。
クレジットカードや電子マネーなどを導入するには、専用のリーダーを用意したりといった手間と費用が掛かります。ただし高齢者などの層はクレジットカードをよく用いるので、導入しておくと利便性が向上してよい印象を与えられる可能性が高いでしょう。
QRコード・バーコード決済サービスは現在手数料無料といったキャンペーンを開催しているので導入しやすいです。自店舗にQRコードを設置して管理用のソフトウェアをタブレットなどへ入れるだけでサービス提供体制が整備できるのもメリットになります。
ちなみに「PayPay」といったサービスは、自店舗アプリに決済システムを組み込める技術を提供しているのもポイントです。
客単価の向上を目指す
団体の来店などは政府から自粛を受けているので、集客手法で大人数の来店を目指すのはよくありません。
ただし来店人数が減っても、客単価を上げられれば減った売上をカバーできる可能性が高まります。
実際に客単価の向上により来店数減少をカバーしようとしているチェーンも多いです。客単価を上げるだけであればコロナ感染リスクを上げずに収益向上が可能になります。
客単価の向上にはスムーズな注文体制の整備、お客様のリピーター化などが欠かせません。アップセルやクロスセルなどが狙える状況を作りながら、リピーター化を進めていきましょう。
アプリの導入で売り上げ確保!継続ある運用方法
飲食店においてコロナ禍でも売上を確保するためには、さまざまなコンテンツを用いて集客を行う必要があります。各集客手法がバラバラだと施策の実行効率が落ちてしまいますが、自店舗アプリにまとめて施策を実行できるようになると1つにまとまるので施策をスムーズに打ちやすいです。
最終的には「オムニチャネル(オフラインとオンラインを通じて、顧客がスムーズな購買体験ができるようにすること)」を目指してみてください。
アプリでできるコロナ対策には次のような種類があります。
サブスクリプションチケットを制作して配布する
サブスクリプション提供を考える場合は、まずは定期購入をしてもらう商材(メニュー)を準備しましょう。利幅の高いドリンクメニューなどが狙い目です。
次に検討したメニューを利用できる料金体制を整備して、プランを考えます。
プランが決定した後はサブスクリプションチケットとしてアプリ内で情報開示し、購入ができる体制を構築しておくと便利です。
来店頻度に応じてクーポン付与
アプリではクーポンを配布して集客を行えます。さらにプッシュ通知でクーポンを配信することで、リピーター創出にも効果のある施策が打てるようになります。
プッシュ通知によりリピーターを増加させるためには、アプリから集めたデータを基にユーザーの店舗やアプリ利用状況を確認して、ステータスに応じたクーポンを配布する必要があります。
商品・サービスの無料や値引きを行うパターンが多いですが、それ以外のクーポンでも内容が配布者に合っていれば使ってもらえるのがポイントです。
実際にクーポンを配布しながらパフォーマンスを見極め、最適な配信環境を構築してみてください。
事前決済機能を導入する
アプリには事前決済機能も導入可能です。
- サブスクリプション提供において事前決済を導入する
- EC機能を導入するとともに事前決済でスムーズな決済を実現する
といった手法で活用できます。
提供する決済手段は自店舗ターゲット層に応じて決定してみてください。
テイクアウト機能を実装する
テイクアウトを導入する場合、
- 品質がお持ち帰りでも落ちない
- 店舗の設備がないと食べられないメニューではないか
- よく注文されているか
といった観点からメニューを検討する必要があります。
それからテイクアウト容器を準備してオペレーションの構築、実施を行っていきましょう。
アプリにテイクアウト機能を実装して、電話などで注文を行うより気軽に注文ができる体制を整えておくと安心です。
モバイルオーダー機能を実装する
アプリメニューへモバイルオーダー機能を実装して、テイクアウトや店内飲食時の事前決済と連携させるのも効果的です。
カフェといった料理のカスタマイズが多い業種では、プルダウンやチェックなどで簡単にスマホからでも注文の希望を入力できる体制を整えておくとよいでしょう。
また受取日時指定をできない店舗もありますが、日時指定ができるように準備しておいたほうがユーザビリティ上では有利なので設定をしておいてください。
まとめ
今回は飲食店の現状をデータで解説しながら課題を解決する方法をご紹介してきました。
コロナウイルスの影響によって飲食店は大打撃を受けています。従来の経営手法を取っていると潰れてしまうかもしれません。
ただしモバイルオーダーを導入する、サブスクリプション提供を行うといったデジタル技術を利活用した戦略を取れば将来的にも生き残れる経営環境を構築することができます。ぜひ店舗経営を改革してみてください。
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