アプリ開発の開発コストは外部システム連携で省略可能 – さらに顧客体験も向上可能
アプリ開発においては機能面でどれだけ妥協を行うのか、またどれくらい機能を搭載すればよいのかを考える必要があります。なるべく100%に近い状態で希望のアプリを開発したい場合は、アプリプラットフォームの基本機能などだけでは実現できないケースもあるでしょう。
しかしそういった場合も、API連携といった手法を使うことで外部システムから必要な機能を引っ張ってきて搭載することができます。ただしその際は連携ミスなどが起きないかチェックしないといけません。
今回はアプリ開発において重要となる、顧客体験を向上させるためのAPI活用のメリット・注意点などを解説していきます。
目次
アプリ開発における外部システム連携(API連携)とは?
アプリ開発において外部システムとの連携はよく行われます。連携においてよく利用されるのが「API」です。
APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略称であり、「外部システムの該当機能を自社システムに連携させて搭載するための技術」になっています。
たとえばあるWebサイトのログイン画面で、「Googleアカウントでログイン」というのを見た方は多いでしょう。これはGoogleの規定に基づいてAPI連携を行い、同社が提供しているアカウント連携サービスを使える状態になっているからです。Webサイトに指定のタグを入れ込むことなどでAPI機能を呼び出し、Googleアカウントでのログインを行うことができます。
アプリでも同じようにタグなどを埋め込み、こういった有名企業などのAPI機能を利用することが可能です。APIといった技術を使ってアプリと外部システムを連携させるのは、次のような理由があるからです。
定型的な機能を開発せずに済む
アプリ開発において障害となるのは、「定型的な機能をどうやって省略して開発するか」という点です。たとえばアカウントのログイン機能やカート機能などは独自性が限られており、わざわざ自社開発して搭載するとセキュリティ面などでリスクを抱えることになります。
しかしAPI連携によって各機能を呼び出して連携することで、その該当の機能は自社開発する必要がなくなります。
このように定型的な決まった機能の開発作業を省略して、独自性が必要な機能開発に時間を掛けやすくできるのがAPI連携のメリットです。
また有名な企業のAPI連携機能を利用することで、セキュリティ面でもユーザーに安心できるコンテンツ環境を提供できるという側面もあります。
外部有名ツールと連携することで利用者を増やせる
先ほど説明したように、Googleといった企業は頻繁にAPIを提供しています。
たとえばアカウントログイン機能においてメールアドレスとパスワードを設定する方法でしか登録ができない場合、面倒に感じて登録をしない層も出てきます。しかしGoogleアカウントの場合はほとんどのユーザーが持っており、またすでに情報がアカウントに掲載されているのでアカウントの登録や連携・入力に手間が掛かりません。
このように外部有名ツールなどと連携して機能を借りることで、コンテンツの利用者を増やせるという側面もAPI連携にはあります。
現状の環境だけでは搭載できない機能を追加できる
アプリ開発を行う場合、現状の開発環境だけでは搭載できない機能というものが出てくる場合があります。アプリ開発を行うのが初で基本的な機能だけ搭載すればOKという場合はそこまで不便を感じませんが、「すでにPOSレジといったシステムを導入しており連携しないと活用ができない」というケースもあります。
ということで現状の環境だけでは指定の機能を活用できない場合、API連携の出番が来ます。
連携できるかどうかはPOSレジシステムといったサービスの提供先にもよりますが、幅広い分野でアプリのAPI連携が使えるので利用するだけでリッチなアプリを作ることができるでしょう。
アプリと連携できる外部システムの例
アプリと連携できる外部システムには次のようなものがあります。
ポイントカードシステム
API連携においてよく事例が出てくるのが、ポイントカードシステムです。
アプリ連携によってAPIでポイントカードシステムを呼び出せると、1からポイントカード画面を制作しなくても該当のサービスからデジタルポイントカードを表示して提示することができるようになります。
たとえばTポイントは提携先の小売店舗などにポイントカードシステムのAPI連携を提供しています。利用することで手軽に既存のTポイントカードをデジタル化してユーザーが提示できるようになるのがメリットです。
CRM、MAツール
アプリとCRM、MAツールを連携させると、マーケティングの利便性が向上します。
たとえばCRMと連携させると、CRMの顧客管理画面にアプリの利用履歴が掲載されます。購入頻度や来店頻度といった各アプリ関連のデータを既存のデータと連携させることで、高い分析効果を実現できるのがポイントです。
またMAと連携させるとCRMで分析したデータを基にセグメントを行ったり、アプリと連携したメールの配信設定を行ったりできます。アプリだけだとマーケティングの効率化に限界が来る可能性がある恐れを、CRMおよびMAでサポートすることで解消できます。
SNS
SNSとのAPIで主に使われるのは、投稿のアプリ内表示とアカウント連携です。投稿のアプリ内表示では、指定のタグを埋め込むことによってアプリ内でSNS投稿を埋め込んで表示できます。またアカウント連携ではLINEやXといった対象のアカウントでアプリのアカウント登録をすることができるように調整が可能になっています。
これによってSNSを同時運営している場合も管理が楽になり、相乗効果が得られるメリットがあります。またアカウント登録のスムーズ化によって利便性向上も狙えるでしょう。
ECサイト
ECサイト分野ではカートや決済などの場面でAPI連携が活用されます。
カート機能では指定のサービスと連携することで、自社ECサイト内にカートに商品を入れてキープする機能を追加可能です。サービスによっては単にかごに入れるだけでなく、指定期間が過ぎるとメールを送ってかご落ちを防いでくれる機能が搭載されている場合があります。
また決済システムと連携すると、PayPayやLINE Payなどの有名決済サービスを一括して自社ECサイト内で使えるようにできるので便利です。
このようにECサイトにおいてはさまざまな場面でAPI連携がされており、顧客の購買行動における利便性向上を達成するために使われています。
予約機能
予約機能のAPI連携は、美容室や飲食店といった店舗で使われています。
予約機能をAPI連携すると、たとえば美容室で指定の担当者に3日後の16時に切ってもらいたいといった設定をアプリ内だけで行えるようになります。
これによってスタッフが電話等で注文を聞く際に起こる、聞き間違いや予約登録のミス防止が可能です。
また飲食店の場合は単に来店日時を登録するだけでなく、事前決済機能まで連携させることでモバイルオーダーが実現します。
モバイルオーダーが実現すると後は店舗で受取するだけで注文が完了するため、スタッフの負担削減や回転率向上などが達成できるのがメリットです。
プッシュ通知
現在はプッシュ通知のみをAPI連携で機能提供している事例もあります。メールマーケティングの効果が限定的になっている方には、開封率等が高いプッシュ通知の利用がおすすめです。
プッシュ通知をAPI連携して搭載することで、開発の手間を省いて提供先の通知に伴う関連機能を利用することができます。また場合によってはアプリと連携せずに、Webブラウザーがあればプッシュ通知を送信できるAPIもあるのでおすすめです。
アプリと外部システムを連携するメリット
アプリと外部システムを連携すると、次のようなメリットを得られます。
顧客体験を向上できる
先ほども説明しましたが、アプリと外部システムをAPI等で連携することで機能が拡張されます。
拡張されて多機能なアプリになるとさまざまな操作がアプリ1つで行えるようになり、顧客体験の向上が達成しやすくなります。
ただし必要ない機能までAPI連携すると使いにくいアプリになって顧客体験が悪くなってしまうのがネックです。連携し過ぎるとアプリの挙動が遅くなるリスクもあるのでしっかり優先度合いの高いものからAPI連携しましょう。
顧客情報管理の手間がかからなくなる
POSレジのような顧客情報を集計・管理できるシステムと連携することで、顧客情報が管理しやすくなります。
こういった管理システムは大体がCRM機能を搭載しており、効率よくアプリで収集したデータを総合分析できる環境を構築可能です。
またCRMによっては、ホットな顧客とそうでない顧客をスコアで数値表示する、といった機能が搭載されているケースがあります。こういった機能を利用することで数値による確実なマーケティングがアプリにおいても実現するでしょう。
DX・OMOマーケティングを促進できる
DXやOMOマーケティングを今から開始する場合、手間がかなり掛かります。
- 情報をペーパーレスに管理したい
- 最新の機能を導入して競合と差別化したい
- オンラインストアと実店舗の在庫を共有させたい
といったDX・OMOマーケティングにおいて達成したい項目をノウハウがない企業が1からアプリ制作して実現するのは無理があるでしょう。
しかし外部システムと連携させてこういった項目を解決できる機能を導入することで、スピーディーにDX・OMOマーケティングをアプリをベースに実現できます。
新しい機能をアプリに実装しやすくなる
外部システムを連携しやすい作りのアプリは、さまざまな外部システムと連携しやすいので、便利な機能を新しく実装することができます。
API連携等によって拡張性を確保することで、急に必要となった機能もスムーズに導入可能です。
ちなみにアプリプラットフォームの場合、API連携をしなくてもサービス側のアップデートによって新技術等が使えるようになることがあります。こういったAPIを介さない機能もうまく利用することで、動作面でも安定したアプリを作ることができるでしょう。
アプリと外部システムの連携を行う際の注意点
アプリと外部システムの連携を行う際は、次の点に注意する必要性があります。
これから説明する課題・注意点を回避するには、API技術について詳しくシステム面でのアフターサポートも充実しているようなアプリ開発会社に制作を依頼するとよいでしょう。
サービスが利用できるかどうかがAPIの提供元に依存しており、APIの提供が打ち切られるとシステムが使えなくなる可能性がある」ということを解説する。
連携エラーが起きるリスクがある
APIは特殊なタグなどを使って外部システムと自社アプリを連携させます。
この手順や設定情報が間違っていると、正しく連携がされず画面が表示されなかったりといったエラーが起きる可能性があります。
たとえばAPIキーという情報がタグに含まれることがありますが、このAPIキーの文字列情報が間違っているだけでも正常にアプリが使えなくなってしまうのがポイントです。自社でAPI連携を手作業で行う場合は、ある程度ITやAPI関連の詳しいスタッフに依頼をするのが安心です。
API連携元のサービスがシステムエラーを起こすと使えない
APIで呼び出す外部システムは、提供先の企業が管理しています。よってエラーが起きて使えなくなったといった状況が起きても、提供元が対応しないと使えるようになりません。
このように自社で完全なシステム管理ができない点が、API連携のデメリットとして挙げられます。
たとえば決済システムがエラーを起こした場合は、紐づいているすべての決済方法がECページ内で使えなくなってしまう恐れがあります。このようにAPI連携で各機能を搭載するとどのような問題が発生するのかを事前に理解しておいてください。
サポートが急に終了する危険性がある
API連携を行っているシステムが、この先も提供継続されているとは限りません。
残念ながら大手の外部システムでも、急にAPIの連携サポートが終了する危険性があります。
たとえば旧TwitterであるXでは、対象のAPI連携が打ち切られてサービス内で使えなくなってしまう事件が起こりました。またXのアカウント連携についてもAPI関連でエラーが発生して使えなくなった事例があります。このように大手システムでも経営状況等によっては急に対応が変わってしまうリスクを頭へ入れておきましょう。
外部システムとの連携を取り入れたアプリ開発なら「店舗アプリDX raiten」
外部システムとの連携まで検討する場合は、「店舗アプリDX 版 raiten」がおすすめです。
- ポイントカード
- 予約
- ECサービス
といった各システムを当サービスで自作したアプリと連携できるので、さまざまな機能を搭載したアプリが手軽に作れます。
気になる方はぜひ弊社へご連絡ください。アフターサポートも充実させております。
まとめ
今回はアプリ開発における外部システム連携について解説してきました。
アプリ開発では工程省略や機能追加などのために、APIといった技術で外部システムを連携させる事例が多いです。ただしシステムエラーや提供終了といったリスクがあるので、利用の際は注意しましょう。
またアプリプラットフォームを利用する際は、運営元がどこまでAPI連携のサポートをしてくれるのかまで確認しておきましょう。