アプリマーケティングの主要なKPIはこちら|ダウンロード数や継続率以外にも見るべき数字とは
アプリマーケティングで販売力を上げていくためには、分析作業において「KPI」を活用すべきです。単に何となくこうしたいというのではなく、KPIを使いながら施策の成功可否の判断材料となる数値や実行期間などを設定することで、詳細な分析作業や評価が実現するでしょう。
アプリマーケティングで使うKPIはさまざまなので、目標に応じて優先順位や確認すべき内容が違う点にも注意してみてください。
この記事ではアプリマーケティングで使うKPIやポイントなどを解説します。
アプリマーケティングとは?KPIが重要な理由
まずはアプリマーケティングやKPIの基本を解説します。
アプリマーケティングとは
アプリマーケティングとは自社アプリなどを通じて、モバイル機器を所有しているユーザーへ販促を行う一連の活動を指します。
主にスマートフォンユーザーが多いので、アプリマーケティングでもスマートフォンを中心にモバイル機器を所有している人を呼び込む方法を検討するケースが多いです。
アプリマーケティングはゲームアプリやニュースメディアアプリなどあらゆるアプリで利用されていますが、特に実店舗用の集客アプリでは上記のようなアプリと違って異なるマーケティングが行われています。それはゲームやニュースといったジャンルではあくまでオンライン経由での課金や集客力を計測するのに対して、実店舗アプリにおける集客ではオフラインでの課金(購入)や集客力も計算して分析する必要があるからです。
そのためアプリマーケティングを店舗集客において検討する際は開発方法や運用手法も当然ですが、オフラインでのデータをどう収集して分析に活用するのか、などを検討しないといけません。
ちなみに、この課題はアプリバーコードでの会員証読み込みや電子クーポンの利用率計測といった方法で解決できます。
アプリマーケティングにおけるKPIとは
そもそもKPIとは、「重要業績評価指標」という意味です。業績を評価するためには、
- どのくらいの期間で
- どのくらいの成果を
- どのような数値で見込むのか
といった点を考える必要があります。こういった点を検討しながら文章や数値へ落とし込んでKPIは作成されていきます。
KPIはアプリマーケティングだけでなくあらゆるマーケティングにおいて使われる指標であり、利用する手法や目標などに応じて使われる内容も変わってきます。アプリマーケティングのKPIも他マーケティング手法のKPIとは少々異なるので、独自に覚えておく必要があるでしょう。
たとえばアプリマーケティングのKPIにおいて、
- アプリのダウンロード数
- 継続アクティブ率
- CPI
といった指標は基本的なものであり、ゲーム・ニュースメディア・実店舗集客といったさまざまなジャンルのアプリにおいて必要な項目です。実店舗集客の際にはこういった基本的なものに加えて、クーポンの利用率やアプリ内での店舗購買へつながるアクションなどを追加して指標に加える必要性があるでしょう。
ちなみにKPIは「KGI」、重要目標達成指標といっしょに設定するのが基本です。
KGIではKPIを設定しながら、最終的にどのゴールへ着地したいのかをKPI同様期間や数値で設定していきます。KGIの重要性等は最後のポイントでも解説します。
KPIの設定が重要な理由
KPIの設定が重要な理由は次の通りです。
- 定量的に評価を行える
- KPI同士を掛け合わせてさまざまな指標の計算が可能
- 情報共有性が増す
まずKPIではいつ・どれくらいの成果を達成できるようにするのかを数値で表現します。たとえば「3か月以内に、アプリのダウンロード数を前四半期より20%向上させる」といった具合です。これにより数値的に「今回の施策では、25%ダウンロード数を改善できたので目標を5%超えで達成できた」といった評価が可能になります。評価具合を基に施策を継続すべきか変更すべきかなどの判断が簡単に実行できるようになるでしょう。
またKPI同士を組み合わせることで、さらに別の指標を計算して表示させることが可能です。代表的なものの1つに、リテンション率があります。リテンション率の計算においては、「その日のアクティブユーザー数/指定期間の総インストール数」という計算式が活用されることがあります。こういった性質を利用して、詳細な指標の計算や判断が可能です。
さらにKPI経由で情報を共有することで、プロジェクトメンバーが簡単に現状の施策の成果などを把握できるようになります。あいまいな目標設定だとずれが出てくるケースがありますが、KPIで数値・期間等付きの情報を出すことで全メンバーへ的確に施策状況を発信できるのもメリットです。
アプリマーケティングで見るべき主要KPI
ここからは、実店舗におけるアプリマーケティングで見ておくべき主要なKPIをご紹介します。
インストール数(ダウンロード数)
アプリストアから店舗アプリ等がインストールされた数を表します。
ダウンロードとインストールは厳密には違いますが、指標においてはアプリストアからダウンロードが行われた時点でインストールまで自動で行われえるので、好きなほうを使ってみてください。
インストール数は各アプリストア経由で確認できるので、簡単にチェックができます。その代わりインストール数だけではアプリの成果は確認できないので、他指標と組み合わせる視点が重要です。またGoogle PlayとApp Storeの両方でインストール数を計測する場合は、片方だけの場合より手間が増えるので注意しましょう。
アンインストール数
アンインストール数では、アプリをインストールしたユーザーのうちすでにアプリを削除して離脱した数を計算していきます。
インストール数と比較するのが必須の指標です。
たとえばインストール数が100に対してアンインストール数が50になっていたら、相当数が離脱している状況なので危険な状態であることがわかります。
改善するためにはなぜアンインストールしたのかを考える必要がありますが、
- 興味がなくなり利用がしばらくなくなった後に離脱
- 不満があり即時アンインストール
といった2パターンが多いです。
アンインストール数を計測するときはその理由やパターンごとの改善方法を検討するのが重要になってきます。
解約率(チャーンレート)
実店舗のアプリでは個人情報を入力してアカウントを作成したり、それを利用してサブスクリプションサービスの契約ができたりする場合も多いです。こういった性質のアプリでは、解約率も計算するとよいでしょう。
解約率ではアカウント作成やサブスクリプションサービス契約済みのユーザーのうち、どれくらいがアカウントを削除したのか、あるいはサブスクリプションサービスを解約したのかが分かります。
解約率が多いと不満の多いアプリとなっているだけでなく、収益性の面においても効率が下がっているので危険です。
インストール数やアクティブ数を増やしながら、その後の解約率を下げることで安定した売上やファン構築につながります。
アクティブユーザー数
アプリ運用においてはインストール後の利用割合を継続して計測する必要があります。また利用ユーザー数アップといった施策を実行した後に、効果が出ているのかを確認する必要も出てくるでしょう。こういった場合に役立つのがアクティブユーザー数です。
アクティブユーザー数の指標には、
- DAU:1日
- WAU:1週間
- MAU:1か月
といった期間に応じた種類があります。
店舗運用の場合、情報を毎日発信しているのであればDAUを確認したほうがよいですし、1か月ごとに売上成長を見たい場合はMAUが役立ちます。目標に応じて複数のアクティブユーザー数を利用することもあるので確認しておいてください。
リテンション率 / 継続率
アプリがどれくらい継続して使われているのかも確認しておきましょう。リテンション率ではこの点を確認して分析ができます。
リテンション率の計算方法はさまざまですが、「総インストール数で月ごとのアクティブユーザー数を割って出したい」といった場合は「MAU/総インストール数」で算出可能です。また指標の組み合わせを変えることで、週ごとにどれくらいリテンション率があるのかなども計測可能となっています。設定期間によって変動するケースもあるので、変動具合も確認して安定するように調整していきましょう。
プッシュ通知の開封率
実店舗のアプリでは、よくキャンペーン情報や新商品の告知・ポイント期限の発信といったアクションを行うためにプッシュ通知が活用されます。
アプリにおいてプッシュ通知は代表的な機能なので、当然そのパフォーマンスを測定する指標として「開封率」を計算しなければなりません。
プッシュ通知の開封率はメールでの情報発信より高いとされているので、どちらの施策も行っている場合は双方の開封率を比較して情報発信の比重を決めてもよいでしょう。またプッシュ通知の配信頻度や内容の変更などに応じて、どのくらい開封率が増減したのかを確認するのも重要です。
クーポンの利用数・利用率
実店舗のアプリでは割引・特典クーポンの配布もよく行われます。
紙クーポンでは計測が難しい利用率の計算ですが、アプリでオンライン化することで簡単に実行可能です。
店舗で使われた際などに利用を感知することで、具体的な利用割合を正確に把握できます。
クーポンの特典内容はユーザーによって変わることも多いです。また同じ内容のクーポンでも配信内容を変えることがあるでしょう。こういった状況によってクーポンの利用数・割合を測定することで、適切な配信ができているのかを判断できます。
アプリストアやSNS等での評価
アプリの実際の評判や改善点を理解するためには、アプリストアやSNSなどに書き込まれる評価内容を確認する必要があります。
この際、定量的に状況を判断できるように、
- 評価内容によってNPSで0~10の評価を付ける
- 余計なデータを除外しながら、全体やユーザー属性ごとの平均星評価を確認する
といった工夫が有効です。また実際の感想を分析してどこに問題があるのか、どこが評価されているのかをフィードバックすることで機能の調整・新機能の開発にもつなげられるでしょう。
アプリマーケティングのKPIを達成するためのポイント
アプリマーケティングのKPIを達成するには、次のような点も確認しておきべきです。
KGIもしっかり設定する
KPIの設定前に必ずKGIを設定しましょう。KGI設定→KPIを各所に設定というプロセスにしないと、そもそものKPIを決定して設置することができません。
またKGIにおいてもKPIと同様に、具体性を意識した内容を作成して共有する必要があります。
たとえば「1年後の決算までに、アプリ経由での売上を自社全体の10%から30%にまで成長させる」などです。実際にはもっと具体的に期間設定等をしてもよいですが、達成できる確実な目標になっているかを検討しながら決めていきましょう。
そして上記の場合は売上が主な目標となるので、単純にインストール数だけでなくアプリ内ECでの購入率やデジタル会員証の提示率などもKPIとして指標に入れ込んでいく必要性があります。このようにKGIで目標設定が明確になることで、どのKPIの優先順位が高くなるのか、またどういったKPIが必要なのかが絞られてきます。KPIの種類は膨大ですから、効率よく絞るためにもKGIをしっかり設定しておきましょう。
解析ツールを使う
1から筆記での手作業やExcelの集計で、KPI分析を実行するのは難しいです。余計な人手が発生しますし、ミスも増えるので効率的ではありません。
そこで、クラウド等で提供されている解析ツールを活用していきましょう。
代表的なものだとGoogleアナリティクスなどが挙げられます。こういった解析ツールには、
- 主要KPIの選択・設定
- 独自KPIの入力・設定・調整
- 施策結果におけるKPI達成具合のグラフ表示
などの機能が備わっており、分析を一気に効率化可能です。
ただしアプリで必要な指標を設定して分析するのが得意か・そうでないかはツールごとに違います。無料でも利用できるツールは多いですが、機能性や使いやすさ・料金等で総合的に判断して導入ツールを決めるのがおすすめです。
ちなみに実店舗利用を想定したアプリプラットフォームでは最初から実店舗用の分析機能が備わっているケースが多いので、すぐに分析を開始できます。
実店舗では通常のアプリマーケティングのKPIとは違う指標の計算も求められるので、こういったアプリプラットフォームでの分析機能はありがたい機能だと言えます。
PDCAを回す
上記のようなKPI設定や分析作業等は、1回だけでは終わりません。3か月や半年・1年といった設定された期間に応じてサイクルを回していく必要があります。
一番基本的なサイクルの考え方が、製造業等で使われ始めてから現在では一般的になった「PDCA」です。PDCAのサイクルでは、
- Plan:KPI・施策の策定
- Do:施策の実行
- Check:施策状況の計測
- Action:改善点の洗い出しや解決方法の模索
などという順番でプロセスを回していきます。サイクルという名前の通り、循環しながら改善が継続的に行われ、店舗成長が達成できる状況になるのが理想です。
PDCAの循環方法や期間はプロジェクトの目標や規模によっても異なります。たとえば小規模な店舗では1か月や3か月で回しやすいですが、中規模・大規模になってくると1か月といった期間でこまめに状況判断するのが難しくなるでしょう。
適切な期間設定を行えるように、自店舗の経営規模等も確認しておいてください。
まとめ
今回はアプリマーケティングの主要なKPIをご紹介しました。
アプリマーケティングにおいてはインストール数やアクティブユーザー数、プッシュ通知開封率などを計算する必要があります。アプリプラットフォームを導入していれば、簡単に各指標を分析して評価へつなげられるでしょう。
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