顧客ロイヤルティとは?小売・飲食店がアプリでリピーターを育てる施策と指標
飲食店小売店・アパレル
近年、消費者の購買行動が目まぐるしく変化する中で、小売・飲食業界はこれまで以上に「顧客との関係性」を重視する必要性に迫られています。物価高や人手不足、広告費の高騰といった外部環境の変化が続くなか、これまでのように新規顧客の獲得に頼るだけでは、持続的な成長は難しくなってきました。
そんな時代だからこそ、今あらためて注目を集めているのが「顧客ロイヤルティ」の向上です。つまり、一度来店・購入した顧客に、何度も店舗を訪れてもらうための“関係性づくり”が、企業の売上と利益を安定的に支える鍵となっているのです。
そして、その顧客ロイヤルティを高めるための手段として、多くの企業が導入を進めているのが「店舗公式アプリ」。クーポン配信やポイント管理といった機能に加え、個々の顧客行動に合わせたパーソナライズ施策が可能となるこのツールは、単なる販促手段を超えて、ブランドと顧客をつなぐ“第二の店舗”とも言える存在になりつつあります。
本記事では、なぜ今「顧客ロイヤルティ」が重要視されているのか、そしてどのようにアプリを活用してリピーターを育て、企業の売上とLTVを最大化していくのかを、最新の事例やデータとともに詳しく解説します。小売・飲食業に携わるすべての方にとって、顧客との“つながり”の質を見直すきっかけとなれば幸いです。
「常連さんは大事」と分かっていても、誰が常連で、どのくらい店に愛着を持ってくれているのかを数字で把握できている店舗は多くありません。感覚に頼ったままでは、次に打つべき手も決められません。
本記事では顧客ロイヤルティとは何かという基本から、顧客満足度との違い、数値で測る方法、小売店・飲食店がアプリで実行できる施策、そしてアプリの選び方までを整理して解説していきます。
顧客ロイヤルティとは?
企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い
顧客ロイヤルティとは、お客様が特定の企業やブランド、店舗に対して持つ愛着や信頼の度合いを指します。英語の「Loyalty(忠誠・愛着)」が語源で、ライセンス使用料を意味する「Royalty(ロイヤリティ)」とは別の言葉です。
ロイヤルティが高い状態とは、単に「よく買ってくれる」だけではありません。多少値段が高くてもその店を選ぶ、競合が近くにできても離れない、人に勧めてくれるといった状態を指します。価格だけで選ばれている状態は、ロイヤルティが高いとは言えません。
この違いは経営に直結します。価格で選ばれている顧客は、より安い店が現れた瞬間に離れます。一方でロイヤルティによって選ばれている顧客は、値上げをしても離れにくく、景気の影響も受けにくくなります。
顧客満足度との違い
混同されやすいのが「顧客満足度(CS)」です。顧客満足度はその時の体験に対する評価であり、来店したときの接客や商品に満足したかどうかを示します。
対して顧客ロイヤルティは、中長期的な関係性を表します。「今日の食事は美味しかった(満足度は高い)が、次は別の店に行く」という状態はよくあることで、満足度が高くてもロイヤルティが高いとは限らないのです。
ここを取り違えると、アンケートの点数は良いのに再来店が増えないという状況に陥ります。満足度は「点」、ロイヤルティは「線」で見る指標だと覚えておきましょう。
行動ロイヤルティと心理ロイヤルティ
顧客ロイヤルティは、大きく2つの側面から捉えられます。
行動ロイヤルティは、来店回数、購入金額、継続期間といった実際の行動に表れるものです。POSやアプリのデータで測れるため、店舗が最初に把握すべき側面になります。
心理ロイヤルティは、愛着や信頼、他人に勧めたいという気持ちで、数字には直接表れません。アンケートや口コミ、スタッフとの会話から拾い上げる必要があります。
重要なのは、行動だけが高くて心理が伴っていない状態に注意することです。「近いから」「他に選択肢がないから」通っているだけの顧客は、競合が出店した途端に離れます。逆に心理は高いのに来店が少ない場合は、来店のきっかけを用意すれば伸びしろがあるということです。
NPSとLTVで数値化する
心理面を数値化する代表的な指標がNPS(ネット・プロモーター・スコア)です。「このお店を友人や同僚にどの程度勧めたいですか」と0〜10の11段階で聞き、9〜10点を推奨者、7〜8点を中立者、0〜6点を批判者に分類します。推奨者の割合から批判者の割合を引いた値がNPSで、-100〜100の範囲を取ります。
飲食店や小売店なら、会計後にアプリで1問だけ聞く形にすれば負担なく集められます。点数そのものより、前月と比べて上がったか下がったかを追うほうが実務では役立ちます。
行動面を金額で表すのがLTV(顧客生涯価値)です。「平均客単価×来店頻度×継続期間」で概算でき、1人のお客様が生涯でどれだけ利益をもたらすかを示します。LTVが分かると、新規1人にいくらまで販促費をかけられるかを判断できるようになります。
この2つをそろえて初めて、ロイヤルティを「感覚」ではなく「経営指標」として扱えるようになります。
関連記事:LTV最大化は自社アプリ導入が決定打。現代だからこそ生きるアプリ活用法とは
なぜ今「顧客ロイヤルティ」が重要なのか?
リピーターが売上の安定化に貢献する理由
小売・飲食業界において、新規顧客の獲得は重要な戦略要素である一方で、実際に“売上の柱”を支えているのはリピーター、すなわち既存顧客であることが多いのが現実です。特にアプリを通じたロイヤルティ戦略が普及しつつある現在では、リピーターの価値はかつて以上に高まっています。
このことを裏付けるのが、マーケティング界で有名な「パレートの法則(80:20の法則)」です。この法則によれば、売上の約80%が上位20%の顧客、すなわちロイヤルカスタマーによって構成されるという考え方で、小売業・飲食業の現場でも多くの企業がこの原則に沿った売上構造を抱えています。
実際、ある国内の大手飲食チェーンでは、年間で月3回以上の頻度で来店するリピーター層の一人当たり売上は45,000円を超えるという調査結果が出ています。これは、1回限りの来店で終わるライトユーザーの約6倍以上にあたる売上規模であり、まさに“コアな売上源”であると言えるでしょう。
また、リピーターの持つ影響力は、単に自社への支出にとどまりません。彼らはSNSやレビューサイト、さらには口頭での紹介を通じて、周囲の人々にも店舗やサービスを推奨してくれる“自発的なアンバサダー”となります。たとえばInstagramでのシェア投稿や、Google Mapの高評価レビューなどが新たな来店を誘発する事例も多く、結果として新規顧客の獲得にも間接的に貢献してくれる存在なのです。
このように、リピーターの存在は売上に対して「直接的な貢献」と「間接的な波及効果」の双方をもたらしてくれる戦略的な資産といえます。だからこそ、多くの小売・飲食企業が「いかにリピーターを定着させ、育てていくか」という点に注力し、アプリを軸としたロイヤルティプログラムの強化に取り組んでいるのです。
ただし、ロイヤルティを高めれば必ず事業が成長するとは限らないという指摘もあります。市場シェアが小さいブランドは顧客数もロイヤルティも低くなりやすいという「ダブルジョパディの法則」が知られており、既存顧客の育成だけに偏ると成長が頭打ちになる可能性があります。
実務としては、新規獲得とロイヤルティ育成を切り離さず、両方を回すのが現実的です。新規で入口を広げ、アプリで受け止めて離脱を防ぐ。この組み合わせがあって初めて、売上は積み上がっていきます。
関連記事:小売業がアプリを導入すべき理由!売上・リピーターを増やすメリット
新規顧客獲得よりもコスト効率が高いロイヤルティ施策
小売・飲食業界における集客施策は、大きく分けて「新規顧客獲得」と「既存顧客の再来店促進」に分類できます。多くの店舗では新規集客のために広告費を投じており、例えばGoogle広告やSNS広告、チラシ、ポータルサイトへの有料掲載などに月額数十万円をかけているケースもあります。実際、1人の新規顧客を獲得するためのCPA(Cost Per Acquisition)は1,500円〜3,000円、業態によっては5,000円を超える場合もあると言われています。
一方で、既存顧客に対する再来店促進施策、特にアプリを活用したロイヤルティ施策は、1人あたり数十円〜数百円のコストで済み、費用対効果(ROI)が極めて高いのが大きな特徴です。クーポン配信やポイント付与、スタンプカード機能などを通じて、ユーザーの来店動機を強化しながら、広告よりも圧倒的に少ないコストで高いリテンション効果を得られます。
さらに、アプリを活用することで、以下のような高度なターゲティングが可能になります:
「来店3回目」のタイミングで特典クーポンを発行
「誕生月の前日」にバースデークーポンを自動配信
「30日以上未来店」のユーザーに再訪促進メッセージを送付
このように、アプリならではの顧客データと連動したマーケティング施策を行うことで、配信の無駄を排除し、的確な相手に、適切なタイミングで最適なメッセージを届けることが可能になります。これにより、ROIの最大化はもちろん、顧客一人ひとりとの関係性を深化させ、LTV(顧客生涯価値)を着実に伸ばしていくことができるのです。
この考え方を裏付けるものとして、マーケティングでは「1:5の法則」と「5:25の法則」がよく引用されます。前者は新規獲得には既存維持の5倍のコストがかかるという経験則、後者は離脱率を5%改善すると利益が25%改善するという考え方です。
いずれも厳密な数値というより目安ですが、離脱を1人減らすことは、新規を1人増やすより安上がりで効果が大きいという判断軸としては有効です。まずは「30日以上来ていない会員が何人いるか」を数えるところから始めてみてください。
アプリが顧客との「接点」となる時代へ
日本国内ではスマートフォンの普及率が93%を超え、生活者の行動の多くがスマホを通じて完結するようになりました。LINE、楽天、Instagram、食べログなど、すべての行動が「アプリベース」で進行しています。
このような社会環境では、紙のスタンプカードやメールマガジンだけでは、顧客との関係維持が難しくなっています。
アプリは次のような利点により、顧客との強固な接点を構築します:
ホーム画面にアイコンが常駐し、ブランド想起を日常的に促進
プッシュ通知で即時の情報発信が可能
属性情報をもとにしたパーソナライズ配信
来店履歴・購入履歴を蓄積し、CRM活用が可能
このように、アプリは販促ツールにとどまらず、「顧客体験(CX)」「顧客関係管理(CRM)」のプラットフォームとしても極めて有効です。
普及率の裏付けとして、総務省の「令和6年通信利用動向調査」ではスマートフォンの世帯保有率は90.5%、個人の保有割合も8割を超えています。世帯におけるテレビの保有割合はスマートフォンとほぼ同じ水準まで下がっており、情報が届く場所が紙やテレビから手元の端末へ移ったことが数字にも表れています。
関連記事:リピーターを増やす!美容室のアプリに入れるべきおすすめ機能とは?
関連記事:店舗アプリの導入効果とは?メリット・デメリットと成功事例を解説
ロイヤルティ向上に効果的なアプリの主な機能とは?
デジタル会員証とポイント機能
スタンプカード・ランク制度によるリピート促進
紙のスタンプカードは物理的な管理が煩雑で、ユーザーの持参忘れも多いですが、アプリに統合することで常に携帯可能な状態になります。さらに、スタンプ数に応じた会員ランク制度(例:ブロンズ→シルバー→ゴールド)を導入することで、ゲーミフィケーション要素が働き、ユーザーの「また来たい」という気持ちを喚起します。
来店・購買履歴と連動した特典設計
アプリで来店・購買履歴を蓄積することで、3回目の来店でクーポン、5,000円以上の購入で特典など、よりパーソナルで行動ベースのリワード設計が可能になります。こうした施策は、ユーザーにとって「自分だけの特典」という印象を与え、満足度を高めます。
飲食店のポイント施策で決めておきたい3つのこと
1つ目は、還元率と原価のバランスです。飲食店は原価率が高いため、還元率を上げすぎるとすぐに利益を圧迫します。目安としては会計金額の1〜3%程度に収め、還元は現金値引きではなくドリンクやトッピングといった原価の低い商品にすると負担を抑えられます。
2つ目は、ゴールまでの回数です。10回で1杯無料より、5回でドリンク1杯無料のほうが「あと少し」という気持ちを保ちやすくなります。来店周期が長い業態ほどゴールを近くするのが基本です。達成に1年かかる設計にすると、途中で忘れられてしまいます。
3つ目は、有効期限の設定です。期限がないポイントは貯まったまま使われず、来店のきっかけになりません。期限を設けたうえで、失効の3日前にプッシュ通知でリマインドする運用にすると、再来店の理由として機能します。
なお、金額に応じたポイントより来店回数で貯まるスタンプのほうが、飲食店では分かりやすく機能します。「何円でいくら貯まるか」を暗算させない設計にしておきましょう。
関連記事:店舗アプリのポイント機能でリピーターを増やす方法|成功のコツと実践ガイド
プッシュ通知とパーソナライズ配信
来店時間帯・属性に応じた個別オファー
たとえば、ランチタイムに来店頻度の高いユーザーに向けて、11時頃にランチ限定クーポンを配信することで、実際の来店率を高めることができます。雨の日の限定クーポンなど、天候や曜日といった外部要因と連動した通知も効果的です。
クーポン配信の最適なタイミングと頻度
通知の多すぎはユーザーのストレスを招きます。週1〜2回を目安に、開封率が高い曜日や時間帯をデータから分析し、配信タイミングを最適化しましょう。誕生日や記念日などの“パーソナル記念日施策”もリテンション効果が高いです。
通知で見落とされやすいのが許諾率です。どれだけ内容を工夫しても、通知を許可してもらえなければ届きません。インストール直後にいきなり許可を求めると拒否されやすいため、「クーポンが届きます」とメリットを伝えてから求める設計にしておきましょう。
関連記事:プッシュ通知の開封率の平均は?開封率を上げる方法と配信時の注意点を解説
予約・事前注文・決済機能
利便性の提供が満足度と再訪率に直結
アプリ内で予約や事前注文が可能であれば、ユーザーは待ち時間を避けることができ、利便性が格段に向上します。飲食業では、テイクアウトやモバイルオーダーとの連携がとくに有効です。
アプリ内オーダーで待ち時間ゼロへ
来店後の注文から決済までをアプリで完結できるようにすれば、店舗のオペレーション効率も上がり、回転率が改善されます。これにより、混雑による離脱を防ぎ、収益最大化につなげることが可能です。
モバイルオーダーがリピート率に効く理由
モバイルオーダーが再来店につながるのは、注文履歴が残ることで次回の注文が数タップで済むようになるからです。「前回と同じものを頼む」という行動が一瞬で完了すると、他店に切り替える理由が減ります。
また、待ち時間という離脱ポイントを消せるのも大きな効果です。行列を見て諦めていた層や、休憩時間の限られたビジネス層を取り込めるようになります。ピーク時にレジで断念していた分がそのまま売上に加わります。
さらに、注文データが会員IDに紐づく点が見逃せません。誰が何を何回頼んだかが分かれば、「いつものメニューが新しくなりました」といった、その人にだけ意味のある通知を出せるようになります。
導入の際は、注文から受け取りまでの動線を店内で明示することが重要です。受け取り場所が分からず結局レジに並ぶことになると、利便性という利点が消えてしまいます。
関連記事:飲食チェーン店のアプリ活用法|店舗アプリの成功事例と導入のコツ
関連記事:リピート率を上げるには?アプリを使ったリピーター獲得のコツを解説します
小売店・飲食店に合うロイヤルティアプリの選び方
「どのアプリが自店舗に合うのか」を判断するときは、機能の多さではなく次の4点で比べると絞り込みやすくなります。
1つ目は、既存システムと連携できるかです。すでにPOSレジやポイントシステムを使っているなら、連携できるかどうかで運用の手間が大きく変わります。連携できない場合、レジとアプリで二重入力が発生し、現場の負担になります。
2つ目は、セグメント配信ができるかです。全員に一斉配信しかできないアプリでは、ロイヤルティ施策は組めません。最終来店日、来店回数、購買金額でグループを分けて配信できるかを必ず確認しましょう。
3つ目は、データを自社で出力できるかです。会員データをCSVなどで取り出せない契約は、乗り換えができない状態を意味します。解約時にデータをどう扱えるのかまで、契約前に確認してください。
4つ目は、現場のスタッフが操作できるかです。通知やクーポンの設定を毎週行うのは店舗のスタッフです。デモや無料トライアルで、実際に操作する人が触って判断するようにしましょう。
業態による向き不向きもあります。飲食店なら会員証・スタンプ・モバイルオーダー、小売店なら会員証・クーポン・チラシ配信・EC連携が中心になります。多店舗展開しているなら、店舗別に配信内容を分けられるかも判断材料に加えてください。
関連記事:POSレジとポイントカード・デジタル会員証を連携するメリット|手順と成功事例を解説
アプリ導入・運用時に注意すべきポイント
初回ダウンロード時の体験設計(オンボーディング)
ユーザーがアプリを初めて起動したときの体験は、その後の継続利用を大きく左右します。特に小売・飲食業では「その場で使ってすぐメリットがあるかどうか」が重要な判断基準になります。たとえば、初回ログインで即時に使えるクーポンの提示、画面上部に「今だけ!」という訴求バナーの表示、3ステップで完了する簡単な初期設定など、最初の30秒間でユーザーに“得した感”と“使いやすさ”を提供できるかが鍵です。
オンボーディングでは、アプリの主要機能(ポイント履歴確認、クーポン利用、店舗検索など)をアニメーションやモーダルチュートリアルで自然に誘導する構成が効果的です。さらに、プロフィール登録時に好みの店舗カテゴリやアレルギー情報などを収集すれば、パーソナライズ施策にも活かせます。つまりオンボーディングは、「最初の利用導線」としてだけでなく、「その後のCRM精度を左右する重要工程」でもあります。
更新・配信頻度とユーザーのストレスバランス
アプリの更新が少なすぎると「放置されているアプリ」と誤認されるリスクがあり、多すぎるとユーザーのストレスになります。目安としては、月1回のアプリバージョンアップ(新機能追加、UI調整、バグ修正)と、週1〜2回のプッシュ通知が適正とされます。
ただし、配信内容の“質”は量以上に重要です。通知タイトルが魅力的であること、開封後の導線が明確であることが、継続利用とCVR(コンバージョン率)に直結します。通知タイミングも、ユーザーの属性や行動履歴に応じてABテストを重ね、「月曜日の夕方に開封率が高い」などの傾向を分析し、最適化しましょう。加えて、ユーザーが通知の頻度や種類を自ら選択できる“通知カスタマイズ機能”を導入することで、ストレスの最小化と満足度向上の両立が可能になります。
店舗スタッフとの連携がロイヤルティ施策の鍵
アプリがいかに高度な機能を備えていても、店舗スタッフの協力なしには運用は成立しません。たとえば、クーポンの提示時にスタッフが操作方法を理解していなければ、顧客は戸惑い、アプリに対する不信感を抱く可能性があります。
まず、店舗スタッフに対しては「アプリの役割」「使い方」「よくある質問への対応」などをまとめた業務マニュアルを作成し、定期的な研修を実施することが重要です。また、スタッフ自らがアプリの利便性を体感しておくことで、顧客に対して自然な言葉で利用を促せるようになります。
さらに、現場の声をフィードバックとして本部に集約し、UI改善やキャンペーン内容の修正に反映する「現場発の改善サイクル」を構築することで、アプリは単なる販促ツールではなく、店舗と顧客をつなぐ双方向のコミュニケーション基盤へと進化します。
あわせて決めておきたいのが、ダウンロードを案内する声かけの文言です。スタッフによって案内の仕方が違うと、登録率に大きな差が出ます。「今登録するとスタンプが1つ貯まります」といった一文を全店で統一しておくだけでも数字は変わります。
そのうえで、店舗別・時間帯別に登録数を記録して共有すると、うまくいっている店舗のやり方を横展開できます。多店舗展開しているなら、この横展開が最も費用対効果の高い改善になります。
関連記事:再来店につながる施策とは?アプリで実現するリピーター集客
アプリを「使われ続ける」存在にするために
ロイヤルティ施策は「継続的な改善」が鍵
アプリの導入はゴールではなく、むしろスタートです。ユーザーの利用動向や反応を常にモニタリングし、「どの機能が使われているか」「どの施策が成果につながっているか」をデータで明確に把握したうえで、改善を重ねていく必要があります。
たとえば、新機能をリリースしたものの利用率が低ければ、UIの導線や説明不足が原因かもしれません。逆に、クーポンの利用率が高い施策は、他のセグメントにも展開するなど、成果の再利用も有効です。成果が出ていない施策は潔く廃止し、改善・検証のプロセスを“高速かつ柔軟に”繰り返すことが、長期的な成果に直結します。
数値分析とユーザーの声を活かすPDCA運用
効果的な改善には、定量と定性の両面からの分析が欠かせません。
PDCAサイクルをチームに根付かせるために、以下のような指標とフィードバック手段を活用しましょう:
DAU(Daily Active Users)/MAU(Monthly Active Users)比率:日常的にアプリを使っているユーザーの割合を確認し、エンゲージメントの度合いを測定
継続率(7日・30日など):新規ユーザーの定着度を確認し、オンボーディングの有効性を評価
クーポン利用率・通知開封率:施策ごとの反応の差異を把握し、配信のタイミングや文言を最適化
ストアレビュー・アンケート・店舗スタッフ経由の声:数値に表れない“使いにくさ”や“感情的な不満”を拾い上げる
これらを用いて、月次でレポートを作成し、改善策の仮説・実行・検証・見直しのサイクルを明確にすることが重要です。また、必要に応じてダッシュボードツールなどを用いて関係者全員が数値をリアルタイムで把握できる体制を整えましょう。
これらの指標に加えて、アプリ会員と非会員の来店頻度・購入単価を比較する視点を持つと、アプリが利益を生んでいるかを判断できるようになります。会員のほうが年間来店回数が多い状態をつくれていれば、投資は回収できていると考えてよいでしょう。
関連記事:店舗の顧客管理(CRM)はアプリが最適。来店履歴などのデータを有効活用
未来の顧客体験をつくる“育てるアプリ”戦略
アプリは“便利な道具”であるだけでなく、“ブランド体験を拡張する場”でもあります。単なるポイント付与やクーポン配布ではなく、「このアプリを使っている自分が好き」「このお店を応援したい」と感じてもらう仕組みをデザインすることが、ファンベースの構築につながります。
具体的には:
来店回数に応じたバッジ機能や称号表示:ユーザーの達成感と所属意識を刺激し、ゲーミフィケーション要素で継続利用を促進
地域イベントとの連動や投票機能:地元密着の企画を通して、顧客参加型の体験を提供
スタッフの顔写真付きのおすすめコメントや直筆メッセージ画像:人間味ある接点を増やし、ブランドへの親近感を醸成
このように、アプリを“育てる資産”と捉え、施策の一つひとつを「顧客との関係性を強めるタッチポイント」として捉えることが、真の顧客ロイヤルティを高める近道です。
最後に:アプリは「作って終わり」ではなく「共に育てる資産」
アプリは企業と顧客をつなぐインターフェースであり、「成長する資産」です。以下の3点を意識した運用が重要です:
定期的にアップデートし、飽きさせない工夫を凝らす
ユーザーの声に耳を傾け、柔軟に改善を重ねる
店舗スタッフや現場と連携し、一貫した体験を提供する
これらが整えば、アプリは単なる販促ツールを超えて、ブランドそのものの体現となり、リピート率の向上とLTVの最大化に大きく貢献する存在となるでしょう。
アプリを通じて、より深く、より継続的に顧客とつながる時代へ──その第一歩を、ぜひ今踏み出してください。
あらためて整理すると、顧客ロイヤルティを高める流れは「会員IDで行動を記録する」「NPSで気持ちを聞く」「対象を絞って施策を打つ」「会員と非会員を比べて効果を測る」の4段階です。この順番を守れば、値引きに頼らない集客の土台をつくれます。
まずは自店舗の会員が年間何回来店しているかを数え、その回数をあと1回増やすには何が必要かという視点で施策を組み立ててみてください。導入をご検討の方は、下記からお気軽にお問い合わせください。
参考記事:ビジネスの持続的な成長にもはや必須!?『ロイヤルティ』| 株式会社SBSマーケティング
この記事を監修した人
店舗アプリ公式。累計1,000社以上の導入実績を誇る店舗アプリ構築プラットフォーム。 単なる集客に留まらず、リピーター創出による売上最大化を得意としている。
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