2023.02.21

アプリにブロックチェーン技術を活用するメリット|実際の導入事例をもとに解説

仮想通貨(暗号資産)は現在需要が増加しており、またメタバースと呼ばれる未来の生活・ビジネス空間にも重要な役割を果たす技術です。そして仮想通貨分野で培われた技術は、他の分野でも当たり前のように取り入れられ始めています。

「ブロックチェーン」も、そんな代表的な技術の1つです。不動産において「スマートコントラクト」といった技術で活用されているブロックチェーンは、アプリマーケティングにも使われています。

今回は最新技術でありアプリ業界でも注目されている、ブロックチェーンの概要や事例などを解説します。

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ブロックチェーンとは?ブロックチェーンの基本

 

ブロックチェーンの概要や仕組みといった、基本の部分をご紹介します。

 

ブロックチェーンとは

 

ブロックチェーンとは、「取引内容などのデータを鎖状に紐づけて管理するための技術」です。

仮想通貨においては金融機関といった取引の中央管理者が存在しないので、従来の「中央集権型」の台帳ではなく「分散型」の台帳で取引を記録していきます。分散型の台帳は、取引を行ったユーザー同士が直接取引を確認して認証、データとして保存するのが特徴です。

特定の場所や国などによらず、どこででもインターネットさえあればリアルタイムの取引管理が可能。

この分散型の台帳で取引記録を保存・管理するために、ブロックチェーンが大きな役割を果たしています。

現在では「Web3.0」の普及を推進させるといったような、中央集権型のサービス・技術の仕組みから脱しようという動きがIT業界では進んでいます。

ブロックチェーンも特定の政府や機関によらない新しいタイプのサービス・技術を開発するため、今後はより重要になってくるでしょう。

 

 

ブロックチェーンの仕組み

 

ブロックチェーンのブロックは「取引データの一式」、チェーンは「それを鎖状にすること」です。

このブロックとチェーンの関係性を理解することで、ブロックチェーンの理解を促進できます。

ブロックは通常、

  • 取引者同士が合意して保存された取引履歴
  • チェーンにするための接続情報

の2つで構成されています。

従来のデータは単体のデータを改ざんしても他のデータには特に影響が及ばないため、改ざんのハードルが低いのが特徴でした。こういった弱点をクリアするために、ブロックチェーンでは接続情報というデータがブロック中に保管されています。

この接続情報には、各ブロックの1つ前にあるブロックのデータが「ハッシュ値」という形で記録されています。

ハッシュ値とは一定の暗号方式によって求められる「45af~」といった文字列のことです。ハッシュ値は暗号化前のデータから、1パターンしか作成されません。たとえば「ブロックチェーン」という文字データが「ブロック・チェーン」といった小さい改ざんを行われても、各データを解析した際に算出されるハッシュ値が異なってくるので改ざんを容易に検知できます。

これによってBのデータが改ざんされても、Aには正しいハッシュ値が残っているので改ざん後のBのデータと照合することで改ざんを検知可能です。

こういった構造が鎖状にいくつにもつながることで、ブロックチェーンでは高いセキュリティ性が確保されています。

 

 

ブロックチェーンがもたらすもの

 

ブロックチェーンの普及は、仮想通貨の普及を後押しします。仮想通貨がどこででも使えるようになれば、現金を保有していなくてもスムーズに買い物ができる環境が促進されるでしょう。また仮想通貨に関連して、ブロックチェーンを活用した「NFT」という作品をデザインして、販売を行う事例も増えてきました。

仮想通貨以外の分野では、破壊的な改革をもたらすとまで言われています。

従来の中央集権的な管理方法が通用しなくなるため、金融機関や中央管理者を用意してサービスを提供しているような企業は、ビジネス的な方針転換を迫られる可能性も出てくるでしょう。

仮想通貨やブロックチェーンにおいては、

  • 分散型の取引でどうやって信頼性を確保するか
  • 管理者が増加するのでどうやって運用面等を効率化するか
  • いったんブロックが保管されると取引当事者も変更できない弱点をどうするのか

といった課題がまだ残っています。しかしこういった課題は時代が進むにつれて解決するものであるため、将来的にブロックチェーンの普及・一般化は間違いないものと見てよいでしょう。

今のうちにある程度の理解をしておくことが、生活・ビジネスの両面で重要になってきます。

 

 

アプリ・仮想通貨分野以外でのブロックチェーンの事例

 

アプリや仮想通貨分野以外でも、ブロックチェーンは次のようなところで活躍しています。

 

電力会社

電力会社もブロックチェーンの仕組みを、電力の取引に活用しようとしています。

ある中国の電力会社は、大手IT企業と組んで再生可能エネルギーの固定価格取引制度へブロックチェーンを応用したシステムを導入しました。一人ひとりが蓄電して集めたエネルギーを、電力会社へ販売することが可能になります。

 

不動産

不動産ではスマートコントラクトという形で、ブロックチェーン技術を主に物件の契約へ活用しようとしています。

スマートコントラクトではスピーディーに、そして自動で物件の契約情報の保管や処理を進めることが可能です。これによって契約情報入力から入金、取引内容の承認といった各プロセスを完全自動化して確実に管理できるようになります。

スマートコントラクトによってユーザーはオンライン上から簡単に物件契約などの取引ができるようになり、また不動産会社側も業務負担削減を実現できるようになることもメリットです。

 

アパレル業界

アパレル業界ではNFTを通じて、新しいアパレル体験ができるようにサービスを提供している事例があります。

ある有名なスニーカー小売企業では、自社のスニーカーを対応のウォレットアプリでスキャンすることでNFTを発行、デジタル空間上でも取得して利用することができる仕組みを構築しました。アバターが着用できるようなスニーカーをNFT形式で提供することで、偽造されない所有物として気軽にスニーカーをメタバース上で着用できるようになっています。

 

 

アプリにブロックチェーン技術を活用した事例

 

ここからは、アプリにブロックチェーン技術を活用した事例をご紹介します。

 

上新電機

 

家電量販店大手の「上新電機」は、マーケティングのコンサルティング企業やブロックチェーンサービス提供企業などと提携して新しいプログラムをアプリで提供開始しました。

上新電機ユーザーに提供されている「ジョーシンアプリ」に、ブロックチェーン技術を活用した新たな機能を組み込んで顧客獲得へ活用しています。

  • アカウントから新規でブロックチェーンを活用したクラウドウォレットを作成可能
  • クイズに回答して正解する、といった一定のアクションでジョーシンコインを獲得
  • 貯まったコインをNFTデータと交換することが可能

といった仕組みを提供することで、さらなるリピーターの獲得やロイヤリティプログラムの利用促進へつなげようとしているのでしょう。

クラウドウォレットはスムーズに作成でき、パスフレーズを使うことで簡単に復旧することができます。またブロックチェーンでデータ管理しているので、むやみに個人データが企業へ取得されることはありません。

さらにジョーシンコインという専用の景品をゲーム等で獲得して利用することで、NFTという形で独自の資産を保有できる点もメリットです。

上新電機がアプリ内で構築してきたプログラムをNFT関連のサービスによって補強することが、今回の企業提携の目的となっています。今後は普及が見込まれるメタバースといったWeb3.0回りの技術への対応も視野に入れています。

 

 

スターバックス

 

スターバックスはさまざまなITへの投資・および活用へ積極的な企業です。中小企業向けの大手決済サービス「Square」へ投資したり、モバイルオーダー機能をアプリへ導入してスムーズな来店・決済等へつなげたりとさまざまな取組を行っています。

ブロックチェーンにおいては、「トレーサビリティへの活用」を視野に取組を進めています。スターバックスのアプリサービス内でトレーサビリティを確認できる機能を追加しました。

まだ試験段階であり改善の余地がある機能ですが、将来的にはさらに確認できる内容等が拡大する可能性もあります。

具体的にはシステム基盤を、マイクロソフト社が提供している「Azure」で構築しています。コーヒー豆の調達から製品としての提供までをブロックチェーンでデータ管理することで、顧客がそのデータを照合できるという仕組みです。

顧客はアプリからスターバックスのコーヒー製品に記載してあるコードを読み込むことで、

  • 生産元の農場
  • スターバックスとの関係性
  • 実際に焙煎されて袋にパッケージングされた場所

などを確認できます。

アプリから気軽にトレーサビリティを確認できるようにすることで、信頼性の確保などへつなげられるでしょう。またコーヒー豆の生産者といった製品提供者側から見て、自分が生産しているコーヒー豆の品質等を確認してモチベーション向上へつなげられるのもメリットだとスターバックスは説明しています。

ちなみにスターバックスでは他にもNFTを通じて限定イベントの招待などを行う「スターバックス・オデッセイ」の提供も発表しており、ブロックチェーンに関係した技術を今後も活用していく予定です。

 

 

アプリにブロックチェーン技術を活用するメリット

 

アプリにブロックチェーンを活用するメリットは次の通りです。

 

企業間のデータ共有が簡単で提供できるサービスが増える

 

今までは企業間でデータ共有を行う際、仲介機関を通すなどの手間が発生していました。こういった手間はビジネスのスピードを下げるだけでなく、コストが掛かるといったデメリットもあります。

ブロックチェーンでは、仲介機関を通さなくても当事者間で直接契約といった取引が可能です。

この特徴によってビジネスのプロセスを実行するスピードが向上し、また手数料といったコストを掛けずに取引を実行できるメリットまで得られます。

また別組織・企業間で簡単にデータを共有できるため、従来よりもさらに提供できる技術・サービスが増え、分析できるデータも増加します。

こういったメリットはアプリによってシステムを開発して店舗等で利用する際にも、私たちに大きなメリットをもたらしてくれるはずです。

 

 

セキュリティ技術が向上する

 

先述した通り、ブロックチェーンではハッシュ値で鎖状にブロックを紐づけることで、高い改ざん防止性を確保しています。ハッカーが検知されずに改ざんを行うには、複数のブロックのハッシュ値などを考える必要があるため攻撃は困難です。

アプリでも重要な機能・サービスにブロックチェーンを活用して管理を行うことで、改ざんや情報漏洩といった致命的なトラブルを回避しながら安全にアプリを提供できるようになるでしょう。

さらにブロックチェーンでは「電子署名」を用いて、取引者同士が信頼性があり情報改ざんなどを行っていないことを証明する仕組みも用意されています。

ブロックチェーンと併せて活用することで、取引の正確な記録を残しながらアプリのセキュリティをさらに強固にすることが可能です。

 

 

システムの耐久性が確保される

 

ブロックチェーンでは「P2P」という仕組みが用いられています。P2Pは今までの中央機関がサーバーを用意してデータ管理や処理を行う方式とは違い、取引者が保有しているコンピューターによって主体的にデータを管理・処理するものです。複数の取引者が保有しているコンピューター同士がつながることによって大きなネットワークを形成していきます。

特定のサーバー等によらない取引ができるので、中央のサーバーが存在する方式と比較して耐久性が高くなるのがメリットです。

中央集権的なシステム構築だとメインサーバーがダウンすることで機能がまったく使えなくなるといった大きなトラブルが起きますが、P2P方式のシステム構築だと一部コンピューターがダウンしても取引の体制は維持されます。

メインサーバーが存在しない分一人ひとりの利用デバイスへ負荷が掛かりやすいデメリットもありますが、将来的に今よりマシンスペックが上がればこの問題は解決されるでしょう。

 

 

アプリのシステムを安価に構築できる

 

システム構築のコストを考えても、ブロックチェーンを活用するメリットがあります。

中央集権的なサーバー構築方式だと、アプリシステムがダウンしても体制を維持するためのサーバーの用意、また耐久性のあるシステムの確保などに対して高額なコストが掛かります。実際に、コスト面でシステム構築を断念した事例も少なくなかったでしょう。

対してブロックチェーンを活用すると、ユーザーが保有しているコンピューターがデータ保管や処理などの役割を受け持ちます。

これによってアプリシステム提供側ではサーバーを複数用意して冗長性を確保したり、耐久性のある高いスペックを有しているサーバーを用意したりする必要性を小さくすることが可能です。

結果的に従来のアプリシステム構築費がブロックチェーンを活用することで安価となり、断念していたようなアプリシステムの提供の実現に関してもハードルが下がります。

 

 

まとめ

 

今回はブロックチェーンの概要や事例などを解説しました。

ブロックチェーンは仮想通貨に限らずさまざまな分野で活用されており、将来的なITの進化においても重要な役割を果たしていくでしょう。アプリにおいても導入することで新しい機能を開発したり、セキュリティを確保したりと複数のメリットを得ることができます。

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ブロックチェーンといった最新のITに関して興味があり、今後アプリをマーケティングで活用していきたいと考えている方は、弊社がお役に立てるかと思いますので、ぜひ相談くださいませ。

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