2020.09.28

今さら聞けないO2Oマーケティングの基礎を解説!O2Oマーケティングに成功した企業とは

インターネットは集客手法を大きく変えました。オンライン経由でオフラインの集客へつなげる「O2Oマーケティング」は、今では当たり前のものになっています。

しかし「今までオフラインの施策しかやってこなかった」、「店舗事業に参入したばかりで集客手法を学び始めたばかりだ」という方は、O2Oマーケティングをよく理解できていないかもしれません。トレンドを含めてO2Oマーケティングを知り活用すれば、効率よく集客ができるようになります。

今回はO2Oマーケティングの基礎を知りたい方向けにO2Oマーケティングとは何か、そして必要な理由やメリット・デメリット、事例などをご紹介していきます。

 

 

いまさら聞けないO2Oマーケティングとは?

 

O2Oマーケティングは「Online to Offline」の略で、「オンラインでユーザーにアプローチを行った上で、オフラインの店舗の来店へつなげて集客を見込むためのマーケティング施策」を指します。ちなみに英語圏では、「to」という接続詞を発音の似た「2」に掛けて略称表記することがあります。

  • 自店舗のアプリ内でクーポンを配布する
  • Web広告でセール中の商品の紹介を行う
  • ECサイトで注文した商品を店舗で無料受け取りできるようにする

といった方法がO2Oマーケティングの例です。

O2Oマーケティングが一般的に広まるようになったきっかけを作ったのは、スマホです。スマホがインフラとして機能するようになるにつれて、ユーザーは来店したい店舗の情報をその場で調べるようになりました。

そこでインターネット上でお客様にアプローチを行えば、すぐにでも集客ができる可能性が高まったのです。

たとえば「MEO対策」もスマホで利用が広がりました。「Googleマイビジネス」に登録して自店舗の情報をGoogleマップに掲載し対策を行うと、ユーザーの検索条件に応じて「ローカルパック」として自店舗情報が掲載されます。上位に掲載されるとユーザーから目に入りやすくなり、今すぐ顧客の集客になるのがポイントです。

「Abema TV」といった代表的なネットコンテンツを提供する「サイバーエージェント」では、2019年にO2Oマーケティングの市場規模を調査および発表しました。結果としては2019年度には405億円となる市場規模が、5年後の2024年には2,585億円と6倍以上にまで成長すると見られています。今後もO2Oマーケティングは、店舗のマーケティング手法として重要な立ち位置を占めそうです。
ただしO2Oマーケティングのトレンドは変わっています。

たとえば現在ではネットショッピングサイトが整備されて、利用ユーザーも増加中です。しかしその中で「店舗で商品を見るだけで購入はせず、ECサイトで購入を行う」といったショールーミング行為も増えています。またコロナウイルスの影響で店舗の来店数が減少して、ECサイトの市場が逆に成長しているのもポイントです。

ショールーミング行為でお客様が他店に流れるのを防いで店舗の来店数減少分をカバーするには、ECサイトの活用が肝心です。

先ほど挙げたO2Oマーケティング施策例の中でも、「ECサイトで注文した商品を店舗で無料受け取りできるようにする」といったECサイトに関連付けた施策は今後より重要になっていくでしょう。実際O2Oマーケティングを「オンライン→オフラインだけでなくオフライン→オンラインの施策を含む」と解釈するケースも、増加しています。

最終的にはお客様の店舗体験を最大化させ(O2E)、オンラインでもオフラインでもスムーズに同じような体験ができる「オムニチャネル」の構築が重要になっていくでしょう。

 

 

O2Oマーケティングのメリット・デメリットから必要性を考える

 

ここではO2Oマーケティングのメリットやデメリットをご紹介していきます。

 

O2Oマーケティングのメリット

 

O2Oマーケティングのメリットは、次のとおりです。

 

アナログの集客手法より効率よく集客が可能


チラシやDMといったアナログの集客手法は効率面でデメリットがあります。チラシは興味のない人にも届く可能性がありますし、DMは見られずにゴミ箱行きになる可能性もありコストも高いからです。

その点O2Oマーケティングの場合、スマホユーザーを中心としてインターネットにつながっているユーザーにアプローチできます。

  • あらかじめ設定した属性に該当したユーザーに広告を見せて、見込顧客化する

  • 自店舗周辺のお客様にクーポンを自動で配布して、集客のきっかけを作る
  • ユーザーが検索した条件を基に、ホームページやGoogleマップ情報などを表示させる

といった手法で来店してくれそうなお客様にアピールができるので、アナログの手法より効率的です。しかも紙代や印刷代といったコストも掛からずターゲットユーザーを絞れるので、結果的にコストが割安で済む場合も多いです。

 

データの測定が可能


O2Oマーケティングでは、データの測定も可能です。たとえば下記のようなことが可能となっています。

  • デジタルポイントカードの利用回数や蓄積ポイント数などから、ロイヤリティの高いお客様を探す
  • クーポンの利用数から、オンライン経由で来店してくれたお客様の数を把握する

  • アプリのアクティブ率を分析して、集客に効果があるか調べる

といったことができるようになっています。

デジタルコンテンツを基にユーザーを集客するのでデータも集めやすく、アナログの集客手法よりマーケティングの精度を高めやすいのもメリットです。

 

即効性が高い


O2Oマーケティングは、即効性も高いのがメリットになっています。

たとえば24時間限定のクーポンを配布して、その場でお客様を集客するといった手法も取れます。チラシやDMなどでも時限式クーポンは配布できますが、いつ相手に届くか分かりませんし使われないで終わってしまう可能性も高いです。

O2Oマーケティングの場合、たとえば自店舗のアプリでプッシュ通知でクーポンが届いている旨を通知して使ってもらうといった施策も利用可能です。

カウント表示でクーポンの残り利用可能期間を明示するといった方法も取れるので、即効性を高めてすぐお客様を集客したいと思った場合にも打ってつけです。

 

 

O2Oマーケティングのデメリット

 

O2Oマーケティングのデメリットは、次のとおりです。

 

集客方法を間違えると、リピーター化しない可能性もある


O2Oマーケティングで集客ができたとしても、そこで満足してはいけません。O2Oマーケティングの施策は間違えると、お客様がリピーター化しない可能性もあるからです。

たとえば単にクーポンを配布するだけでは、「1回だけ使って後は来店しない」というお客様も多く出てしまいます。継続してお客様をフォローしてリピーター化していかないと、バケツから水が漏れるようにどんどんお客様が逃げていきます。

リピーターを獲得するより新規顧客を獲得するほうがコストが高くつきますから、バケツの穴をふさぐ(来店客を効率よくリピーター客へと転換していく)施策が必要です。

リピーター増加には、アプリが有効です。たとえばアプリからデータを収集してロイヤリティの高い方に限定セールやクーポンの情報などを提供すれば、再来店の確率もアップします。

 

集客手法が多いと管理に手間が掛かる


O2Oマーケティングを行うには、下記のような方法があります。

  • 有料のバナー広告を掲載する

  • SNSで情報発信を行う

  • ポータルサイトに情報を掲載する

  • ホームページを公開する

  • 自店舗アプリで集客を行う

といったようにさまざまな方法があります。各施策は併用すると、高い効果を見込めます。

ただし人員リソースを考えないでツールを増やすと、手を付けられないツールが出てしまうでしょう。結果として管理ができずマーケティングに失敗してしまう可能性があります。

O2Oマーケティングを成功させるには、ツールを絞って使う必要も出てきます。

いくつか試しながら特に効率のよいツールを選定していきましょう。余裕が出てきたらツールを追加して様子を見るのも手です。

 

 

O2Oマーケティングの事例

 

O2Oマーケティングにおいては、次のような企業がマーケティングを成功させています。

 

ユニクロ


「ファーストリテイリング」が運営している代表的アパレル小売大手「ユニクロ」は、「ユニクロアプリ」を公式提供しています。

ユニクロはデジタルチラシをアプリ内で提供することで、紙のチラシの製造コスト削減に成功しています。アプリからチラシが閲覧できれば、必要なときにサッとスマホから情報を確認できるのもメリットです。

また、

  • 新規の会員登録で500円クーポンプレゼント

  • 自宅で店舗にアパレルの在庫があるか調べられる

  • ネットショッピング機能から購入した商品は店舗で受取が可能

といった施策で、ユーザーにアプリを積極的に使ってもらえるような導線づくりを行っているのもポイントです。

 

ユナイテッドアローズ


セレクトショップとして有名な「ユナイテッドアローズ」は、さまざまなO2O施策を行って収益につなげています。

  • 試着品の品番メモを渡し、その場で購入されなくてもECサイトでの購入などにつなげる

  • ネットで取り置いた商品を実店舗でチェックして、試着できる

  • アプリから店舗住所などを検索できる

といったように、オフライン→オンラインまで含めた施策も行っているのがポイントです。

特にアプリはユナイテッドアローズの複数のブランドから気に入ったブランドだけを絞って検索できたり、デジタル会員証を表示できたりと利便性が高いのもメリットになっています。

 

GU


ユニクロの実質的な姉妹ブランドでもある「GU」は、アプリを活用してO2Oマーケティングを成功させています。

たとえば位置情報と連携させて付近店舗の情報を表示し、来店へつなげられるように工夫しています。プッシュ通知でセール情報などが表示されるので、訴求力が高いのがポイントです。

他にも、

  • 在庫を検索して確認できる

  • 会員証を提示してポイントを貯められる

といったような機能を搭載して、来店を促しています。

 

洋服の青山


ビジネススーツの販売大手である「洋服の青山」は、自分の体のサイズをオンラインにて登録できます。登録したデータは検索に活用され、オンライン上でサイズの合いそうな服だけが見つかるようになります。

そしてオンラインで気になった洋服は、実店舗で試着予約をすることで実際に確かめてから購入できるようになっているのがポイントです。

またアプリも提供されており、

  • 会員証提示でポイントが貯まる

  • スタンプを貯めると商品割引券がゲットできる

  • ルート検索で付近店舗の最短ルートが分かる

といった機能で来店促進を図っています。

 

東急ハンズ


さまざまな雑貨を取り扱っている「東急ハンズ」では、Webサイト上で商品の在庫状況をリアルタイムで確認できます。それに加えて売れた商品をレコメンド表示して、来店してもらえるような工夫もしているのもポイントです。

アプリでは、

  • 最新情報や開発者インタビューなどを確認できる
  • 期間限定クーポンを配布する

  • チェックインをすると、オリジナルのチェックインバッジがもらえる

といった機能が搭載されており、来店促進をサポートしています。

 

ジュンク堂


書籍大手の「ジュンク堂」では、公式サイトで書籍の在庫確認ができます。購入したい本の取り置きサービスも提供されており、お客様は確実にジュンク堂で欲しい書籍を購入できるようになっています。

またジュンク堂では「honto with」アプリが利用できるのもポイントです。

honto withでは、

  • 近くの店舗から本の在庫を調べられる
  • 提携書店でチェックインするとポイントがもらえる

  • デジタルポイントカードを提示できる

といった機能で提携店舗のO2O施策をサポートしています。

 

ハードオフ


デジタルジャンク品、CDやDVDの中古品などを取りそろえている「ハードオフ」では、欲しい商品が置いてある最寄りの店舗を調べられる機能をサイトに搭載しています。ハードオフは古物商取引であり、商品の在庫が同じように各店舗に用意されているとは限りません。在庫のある最寄りの店舗を自動で表示してくれる機能はユーザー目線で便利な機能です。

また商品を近くの店舗に取り寄せる機能もあるので買い逃しがありません。

またアプリではチェックインや店舗での買い取りお買い物時に「エコポ」が貯まるようになっており、継続的な来店に影響を与えています。

 

アドバンスクリエイト/保険市場


「アドバンスクリエイト/保険市場」ではモバイルサイトを見直して、インターネット上の顧客体験の改善に成功しました。店舗の予約機能や保険サービスの試算機能なども利用可能で、ユーザー目線に沿ったサイト作りが行われています。

保険業界はWebサイトから実店舗への来店が多い業界です。ですからWebサイトの改善はそのままO2Oマーケティングによい影響を与えます。

またアプリも提供されており、

  • 保険コラムの提供
  • 保険商品の比較

  • 保険に関する相談を行う

といった機能で保険サービス購入を促進しています。

 

スポーツオーソリティ


スポーツ用品を取り扱う「スポーツオーソリティ」は、早い段階からO2Oに取り組んできました。2013年にはO2Oのトライアルサービスを開始しており、スニーカーの在庫や店舗情報などを対象地域のユーザーに広告やアプリなどで流して店舗へ集客するという施策を行っています。

またオンラインショップでは店舗受取が可能であり、試着した後に購入するかしないか決めることも可能になっています。さらに会員登録すれば、サイト上からデジタル会員証を表示させて便利にポイントを貯められるのも特徴です。

 

 

アプリを活用してO2Oマーケティングを成功させよう

 

O2Oマーケティングでは施策を間違うと顧客が逃げてしまう可能性もありますが、防ぐにはアプリの活用が有効です。アプリ上はスマホに常駐しており、一度インストールされれば継続してお客様のフォローができます。

そしてプッシュ通知でお客様に目立つ形で情報を流し、再来店を促せるのもメリットです。

そこでここからは、自店舗のアプリを活用してO2Oマーケティングを成功させる方法をご紹介していきます。

 

来店のきっかけとなるフックコンテンツを用意する


アプリではお客様にインセンティブとして、直接的に利益のあるコンテンツを用意しましょう。

「来店すればお得にお買い物ができる」という流れを作り、来店までコンバージョンを行います。

  • 無料や大幅割引といったお得感のあるクーポンを配布する
  • スタンプカードを用意して長期的に来店を促す
  • イベントやフェアなどの耳寄り情報をプッシュ通知配信する

来店のきっかけとなるフックコンテンツがあれば、アプリの有用性も高まります。ただし継続して来店してもらえるよう、「初来店が間もないお客様には次回無料クーポンを、何度も来店してくれているお客様には限定のノベルティをプレゼントする特典を用意しよう」といったように顧客属性に合わせてインセンティブを変えて効果を最大化していきましょう。

 

ダウンロード数を増加させる


アプリがリピーター創出に有効なツールでも、インストールされなければ意味がありません。

このためダウンロード数が増えるように声掛けを行っていく必要があります。

  • お店で直接来店してくれたお客様に声を掛ける

  • SNSやWebサイトなどでPRを行う

といったような方法が考えられます。「インストール後登録でクーポンプレゼント」といったインセンティブを用意して、ダウンロード数をブーストするのもよいかもしれません。

すぐにダウンロードできるよう、アプリストアへ直接アクセスできるQRコードを用意しておくと便利です。店舗やWebサイトなどに貼っておくと、ユーザーが検索の手間なくスムーズにアプリをダウンロードできるからです。

 

アプリ内に多数のコンテンツを集めてオムニチャネルを狙う


アプリはダウンロードされただけでは使われない可能性もあります。

休眠顧客を減らしてアクティブ率を高めるためには、インセンティブを定期的に用意する他にもアプリ機能を充実させる方法も有効です。

  • ECサイト機能で買い物できるようにして、ポイントを実店舗と共用にする
  • 会員証をデジタルで表示できるようにしておく

  • 予約機能を付けて、スムーズに来店できるようにする

  • 商品の内容を画像や動画で分かりやすく確認できるようにしておく

といったO2Oに関連する機能を搭載してオムニチャネルを狙えば実店舗とECサイトでの相互集客効果も見込めるので、コロナ禍でも安心です。

 

 

まとめ

 

今回はO2Oマーケティングと何か、そしてメリット・デメリットや事例、アプリを使ったO2Oマーケティング成功のポイントなどを解説してきました。

O2Oマーケティングは今や、実店舗の集客手法として一般的な方法です。特にコロナ禍で店舗集客が難しくなっている状況では、ECサイトとの連携もうまく考えながらO2Oマーケティングを上手く回していくとよいでしょう。ぜひ自店舗アプリを活用して、効率よくリピーター獲得も行ってみてください。

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