モバイルアプリ開発のメリット・デメリット|低コストで導入する方法を比較
業種全般
スマホが顧客への重要なタッチポイントとして機能している現代では、スマホに常駐できるアプリを活用した店舗マーケティングが有効になっています。現在アプリを開発するには
・アプリプラットフォームを活用する
・アプリ開発を1から行う(スクラッチ開発する)
という2種類の方法があり、アプリプラットフォームの普及は中小規模企業のアプリマーケティング事例の増加に大きな貢献をしています。
アプリを開発する際は社内リソースや予算などを考えて、どちらの方法で開発を行うか決定する必要があるのがポイントです。
今回はアプリ開発を検討している方向けにアプリプラットフォームとアプリ開発、双方のメリットとデメリットを分かりやすくご紹介していきます。
スマートフォンが顧客接点の中心にあることは、公的な統計からも確認できます。総務省「令和7年版 情報通信白書」によると、2024年のスマートフォンの世帯保有率は90.5%、モバイル端末全体では97.0%に達しました。買い物中も移動中も手元にある端末に情報を届けられることが、モバイルアプリ活用が広がっている最大の理由です。
そこで本記事では、開発手法の比較に入る前にそもそもモバイルアプリ開発にどんなメリットがあるのかを整理します。そのうえで2つの開発手法を費用・期間・運用体制の面から比べ、自社に合う進め方を判断できる状態を目指していきましょう。
モバイルアプリ開発のメリットとは?Webサイトとの違いから整理
開発手法を比べる前に、アプリそのものを持つ意味を押さえておきましょう。自社サイトやSNSでも情報発信はできますが、モバイルアプリにはそれらでは代替しにくい強みがあります。
プッシュ通知で能動的に情報を届けられる
最大のメリットは、こちらから顧客の画面に情報を届けられる点です。Webサイトは訪問してもらわなければ何も伝えられませんが、アプリはロック画面やホーム画面に通知を表示できます。
メールマガジンと違い、開くまでの手数が少ないぶん反応が早いのも特徴です。タイムセールや在庫僅少の案内、当日の営業時間変更など、時間の価値が高い情報ほど効果を発揮します。
参考:プッシュ通知とは?メリット・デメリットと開封率を高める活用術
顧客データが自社の資産として蓄積される
アプリを通じて得られる会員情報、来店履歴、クーポンの利用状況は、そのまま自社のデータとして残ります。SNSはプラットフォーム側の仕様変更ひとつでリーチが変わりますが、アプリの顧客基盤は外部の都合に左右されません。
蓄積したデータは、来店頻度に応じた情報の出し分けや休眠顧客への再アプローチなど、次の施策の精度を上げる材料になります。アプリ制作のメリットは販促そのものより、この土台が手に入る点にあるとも言えます。
再訪のハードルが下がりリピートにつながる
ホーム画面にアイコンが残ると、それだけで想起される回数が増えます。検索やブックマークを経由せずワンタップで開けるため、接触の回数そのものが増えるのはアプリならではの利点です。
会員証やスタンプカードをアプリにまとめれば、レジで財布から取り出す手間もなくなります。販促だけでなく来店時の体験まで改善できる点が、Webサイトとの大きな違いです。
参考:入れた方がいいお店アプリは?店舗アプリの成功事例と人気機能ランキングを解説
業務効率化とDXの土台になる
紙のスタンプカードやクーポンの発行・管理をアプリに移すと、印刷費と店舗オペレーションの両方を減らせます。中小企業庁「2025年版 中小企業白書」でも、労働生産性の向上が期待できるデジタル化に多くの中小企業・小規模事業者が取り組み、直近で大きく進展していることが示されています。
アプリは販促の道具であると同時に、現場の作業そのものを減らす仕組みとしても機能します。この二面性が、モバイルアプリ開発を検討する企業が増えている背景です。
メリットを得るために欠かせない前提
一方で、アプリは公開しただけで成果が出るものではありません。インストールしてもらう導線と、公開後に情報を出し続ける体制の2つが揃って初めてメリットが現れます。
だからこそ開発費の安さだけで手法を選ぶと、運用が回らず放置される結果になりがちです。ここからは具体的な2つの手法を、運用まで含めて比較していきます。
アプリプラットフォームのメリット・デメリット
アプリプラットフォームは、企業側が提供した環境でアプリを開発していくサービスです。Webサイトで言うと「WordPress」といったCMSのように、直感的にアプリを構築していけるのが特徴となっています。
自社でサーバーを用意したり、プログラミング言語を選定したりする工程が不要で、管理画面から機能をオン・オフしながら組み立てていくイメージに近いサービスです。土台となる仕組みは提供事業者が保守してくれるため、OSのバージョンアップへの追従といった作業も任せられます。
【アプリプラットフォームのメリット】
アプリプラットフォームのメリットは次の通りです。
開発コストが安く済む
スクラッチ開発の場合、プログラミングやサーバーなどに関して一定の技術水準のあるリソースを用意する必要があります。社内で人員をかき集めるのは大変ですし、人件費もかなり掛かるのがネックです。
また「社外の企業の力を借りよう」と思ってスクラッチ開発を外注すると、数百万といった高額なコストが発生するケースが多いのもデメリットです。予算に余裕がないとスクラッチ開発は難しいのが現状となります。
一方アプリプラットフォームを駆使した開発の場合、技術水準が高くないリソースでも基本ができていればアプリ開発が可能です。
社内で専門の人員を集めたり社外にわざわざ外注してスクラッチ開発をしてもらう手間がなくなるので、低コストでアプリを提供できるようになります。
金額の感覚をつかんでおくと判断しやすくなります。フルスクラッチでアプリを外注した場合の初期費用は数百万円からが目安で、機能数によっては1,000万円を超えることもあります。対してアプリプラットフォームは初期費用が無料〜10万円前後、月額数千円〜数万円という価格帯のサービスが中心です。
この差は単なる金額の大小ではありません。小さく始めて反応を見てから投資を増やすという進め方ができるかどうかの差になります。最初の1年で顧客の反応を確かめ、手応えのあった機能にだけ追加投資するという判断が取れるのは、初期費用が軽い手法ならではの強みです。
参考:店舗アプリ作成サービスおすすめ比較8選!選び方や費用を解説
簡単でスピーディーにアプリを開発可能
アプリプラットフォームの持ち味は「ノーコード(NoCode)」によるアプリ開発が可能な点です。ノーコード開発はノンプログラマーやノンエンジニアでもサービスを開発できる手法として、「Google」といった巨大企業も注目しており市場に算入しています。
アプリプラットフォーム上では、クリックやドラッグ&ドロップなどで簡単にデザインや機能を追加可能です。パソコンやスマホを普段使っている方ならばすぐに使いこなせるようになります。またテンプレート活用により初期のデザイン制作に時間を掛けずに済むようになるのもメリットです。
スクラッチ開発では1からプログラミングを行ってデザインや機能を搭載する関係上、どうしても開発ハードルが高くなりますし開発に時間が掛かります。開発時間が経過し過ぎるとアプリが陳腐化して使えないといった事態も起こってしまうかもしれません。
しかしアプリプラットフォームを活用すれば開発ハードルは低くなり短期にアプリを開発できるようになります。
市場の流動性に素早く対応しやすいのはアプリプラットフォームのほうです。
開発期間の差は、そのまま機会損失の差になります。プラットフォームであれば企画から公開まで1〜2か月程度で到達できるケースが多く、繁忙期や季節キャンペーンに間に合わせるといった逆算がしやすくなります。
リリース後の修正を管理画面から行える点も見逃せません。「バナーを差し替えたい」「クーポンの文言を変えたい」といった細かな改善を担当者自身が即日反映できます。外注先とのやり取りを挟まないぶん、同じ期間で試せる施策の数が増えるのが実務上の大きな違いです。
カスタマイズ性も高い
アプリプラットフォームは簡単にアプリを制作できるだけでなく、簡単にカスタマイズができるのも特徴です。
デジタル会員証の提示
プッシュ通知によるクーポン、最新情報の発信
ECサイトとの連携
といったさまざまな機能を店舗の必要性に合わせて追加できるようになっています。
アプリ1つでユーザーが会員証提示や情報の受け取り、ECサイトでのお買い物などいろいろなことができるようになれば、店舗側の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」にもつなげやすくなります。
実際アプリを活用してDXを実現しようとしている店舗も多いので、気になる場合は自分で最新の事例をチェックしてみましょう。
追加できる機能はサービスによって幅がありますが、店舗向けであればスタンプカード、モバイルオーダー、予約、会員ランク、アンケートあたりが一般的です。必要な機能だけを選んで段階的に増やせるため、最初から全部盛りにして運用が回らなくなる失敗を避けられます。
参考:店舗アプリの主要機能と導入事例|集客・売上アップにつながる活用術を解説
マルチプラットフォームに対応しやすい
アプリプラットフォームを使うと、マルチプラットフォームに対応しやすくなります。
アプリを提供する際は、
Android
iOS
提供先でメインとなる2つのアプリストアに最適化したアプリを開発する必要があります。しかしアプリプラットフォームを使えば、両ストアに簡単に対応したアプリを開発して提供できるようになるのがメリットです。
またサービスによっては「PWA(次世代のWebアプリ)」の開発などを並行で行えるパターンもあります。
「マルチプラットフォームにコンテンツを展開して集客したい」という方におすすめです。
iOSとAndroidを別々に開発すると、単純計算で工数はおよそ2倍になります。プラットフォームは1つの管理画面から両OS向けのアプリを生成できるため、この重複をまるごと省けるのが大きな利点です。
PWAを併用すれば、アプリストアを経由せずWebから使ってもらえるので「インストールが面倒」と感じる層の取りこぼしも減らせます。
【アプリプラットフォームのデメリット】
アプリプラットフォームのデメリットは次の通りです。
自由度はスクラッチ開発と比較して低い
アプリプラットフォームでは決められたメニューから要素を選び、アプリを開発していくスタイルになります。ですから自由度はアプリプラットフォーム提供先が提供している内容に依存してしまうのがネックです。
アプリプラットフォームごとに提供している機能は異なります。事前に自社の業種に合ったプラットフォームか、そして搭載したい機能が簡単に実装できるようになっているかなどを確認した上で導入する必要があるでしょう。
判断を誤らないために、契約前にトライアルやデモ画面で「その機能が管理画面のどこにあるか」まで実際に触って確認しておくことをおすすめします。機能名の一覧だけを見て導入し、いざ運用したら自社のフローに合わなかったというケースは珍しくありません。
既存のPOSや会員システムと連携させたい場合は、API連携に対応しているかどうかも重要な確認項目です。連携できないと会員情報を二重管理することになり、現場の負担が増えてしまいます。
自社の開発規模などに対応したプランを選ぶ必要がある
アプリプラットフォームを使う場合、月額などで継続的にコストが発生します。
このため自社の開発規模などに対応したプランを選んで適切にコストを管理する必要がある点に注意です。
初期費用や月額費用はどれくらい発生するのか
電話やメールサポートなども受けられるか
1アプリを構築するごとなどにどのくらいコストが発生するか
といった観点から適切なプランを選んで導入を開始しましょう。
ちなみに企業によってはコロナ応援キャンペーンといった料金が割引になるキャンペーンも行っています。割引制度もうまく活用しながら適切にコストを削減してみてください。
見落としがちなのが、店舗数やプッシュ通知の配信通数によって料金が変わるケースです。多店舗展開を予定しているなら、将来的な店舗数まで含めて試算しておくと、後から想定外の費用が発生する事態を避けられます。
運用代行を依頼できるかどうかも比較材料になります。専任の担当者を置けない場合は、配信文面の作成や月次レポートまで任せられるサービスを選ぶと運用が続きやすくなります。
参考:店舗アプリ作成サービスの口コミ・評判まとめ|料金や機能を比較
関連記事:【2022年版】アプリ開発プラットフォーム国内大手5つを比較!機能や費用・サポート体制など選定ポイントを解説
関連記事:アプリ開発の費用相場はいくら?内訳・人月の計算方法とコストを抑える方法を解説
クロスプラットフォームアプリ開発のメリットと注意点
iOSとAndroidの両方に対応させる方法には、OSごとに個別開発するネイティブ開発と、共通のソースから両OS向けを書き出すクロスプラットフォーム開発があります。ここは費用と期間に直結する分岐点なので、押さえておきましょう。
開発工数をおよそ半分に抑えられる
OSごとに作ると、同じ機能を2回実装することになります。クロスプラットフォーム開発なら1つのソースコードから両OS向けを生成できるため、工数と費用を大きく圧縮できるのが最大のメリットです。
アプリプラットフォームはこの考え方をさらに進め、コードを書かずに両OS対応のアプリを作れるようにしたサービスだと捉えると理解しやすくなります。
更新と保守を一本化できる
機能追加やデザイン変更のたびにiOS版とAndroid版で別作業が発生すると、更新のたびに工数が二重にかかります。共通化しておけば1回の修正が両OSに反映されるため、公開後の運用負荷が下がります。
OSのバージョンアップへの追従も、プラットフォームを利用していれば提供事業者側が対応してくれるケースが大半です。自社で毎年の仕様変更を追いかける必要がなくなります。
押さえておきたい注意点
一方で、カメラやセンサーを高度に扱う機能、描画負荷の高いゲームなどはネイティブ開発のほうが有利です。求める体験がクロスプラットフォームの範囲に収まるかを先に確認しておきましょう。
店舗系のアプリで使う会員証、クーポン、プッシュ通知、モバイルオーダーといった機能であれば、まず問題になることはありません。判断に迷う場合は、実現したい機能を一覧にして事前に相談するのが確実です。
アプリ開発(スクラッチ開発)のメリット・デメリット
スクラッチ開発とは、1からプログラミングコードを打ってアプリを開発していく手法です。プログラミングコードを打たずにアプリを開発できるノーコード手法とは対極にある存在であり、昔はスクラッチ開発でアプリを開発する必要がありました。
スクラッチ開発では自社の希望に細かく対応したアプリを制作できるのがポイントです。
スクラッチ開発は「フルスクラッチ」とも呼ばれ、要件定義から設計、実装、テストまでを自社仕様で積み上げていく方法です。土地を買って注文住宅を建てるイメージに近く、間取りも設備も自由に決められる代わりに、時間と費用と専門知識が必要になります。
【アプリ開発(スクラッチ開発)のメリット】
スクラッチ開発には次のようなメリットがあります。
自由度の高いアプリ開発が可能
フルスクラッチではデザインの設計から機能の定義、そしてプログラミングへの落とし込みなど各工程をすべて1から行います。その分自社が思い描くようにアプリを開発できるのがメリットです。
アプリプラットフォームを使う場合、自社が思い描いた通りにアプリを開発するのが難しい場面も多いです。「この機能やデザインを追加したいけど、プラットフォームが対応していないから追加できない」といった場面に遭遇してあきらめるパターンもあるでしょう。
しかしスクラッチ開発であれば搭載したい機能やデザインに妥協せず、徹底的に自社のイメージ通りにアプリを作りこんで提供可能です。
自由度が本当に生きるのは、業務そのものがアプリの中に組み込まれるケースです。独自の在庫ロジック、業界特有の資格や免許の管理、複雑な料金計算などをアプリ側で処理したい場合は、既製の枠に収めるより1から作ったほうが結果的に運用しやすくなります。
アイデアと技術があれば新しいビジネスモデルのアプリを提供可能
フルスクラッチが向いているのは、「自社で出てきたアイデアをアプリプラットフォーム開発では実現できない場合」です。
アプリプラットフォームは、アプリの機能として当たり前になっている機能やデザインを簡単に実装して開発コストや時間を短縮できる部分にメリットがあります。しかし仮に自社のアプリ開発アイデアの大半が画期的なものであり当たり前になっている機能やデザインを破壊する(ディスラプションする)レベルであれば、プラットフォームを用いての開発は足かせになってきます。
もしアイデアとそれを実現できる高い技術があれば、「映像はレンタルビデオ店でCDやDVDを借りる形態から、ディスクリプションでオンラインから楽しむスタイルに変化した」というように市場の大きな変革を発生させて自社がシェアを獲得できるチャンスが回ってくるでしょう。
業務上オリジナリティ、あるいは特殊性の高い企業ではフルスクラッチ開発が適しているケースも多いです。
ただし、この方向性で成果を出すにはアイデアを検証しながら作り替え続けられる開発体制が前提になります。エンジニアを社内に抱えるか、長期的に伴走してくれる開発パートナーを確保できるかが分かれ目です。
【アプリ開発(スクラッチ開発)のデメリット】
スクラッチ開発には次のようなデメリットもあります。
とにかく開発コストが高い
スクラッチ開発においては、
Swift
Kotlin
Java
といった各種アプリに使うプログラミングコードを扱えるリソースの用意が必要です。自社にいない場合は別途採用する必要があります。また外注する場合もシステム開発を1から行う必要があるので安くは開発できません。
アプリの機能やデザイン性などの条件によっては数百万といった多額のコストが発生する可能性があります。
スクラッチ開発において費用を抑えたい場合は、「ローコード(LowCode)」のサービスを利用するとよいでしょう。ローコードを使えばノーコードのように直感的にアプリを開発しながら、必要な部分はスクラッチで開発できるようになります。自由度は犠牲になりますがコスト削減はしやすくなります。
費用は人月単価×工数で決まるのが基本です。エンジニア1人あたり月80万〜120万円程度が目安とされ、iOSとAndroidの両方に対応させれば必要な工数はさらに膨らみます。デザイナーやディレクターの稼働も別途積み上がります。
公開後も、年間で開発費の15〜20%程度が保守運用費として継続的に発生するのが一般的です。初期費用だけで判断せず、3年間の総額で比較すると実態に近い数字が見えてきます。
開発や改修のスピードが遅くなりがち
スクラッチ開発では自社オリジナルのプログラミングを行います。
つまりアプリプラットフォームを使う場合と違って中身はオリジナルティのあるものにしやすい分、トラブルが起きた時の原因究明が面倒臭くなる点がネックです。
他社の事例を基にトラブルへ対処しにくいので、原因特定から時間を掛ける必要性も出てきます。
また改修を行いたい際も、プログラミングの中身を考えながら 破錠しないように機能を追加したり除去していったりする必要があるので手間が掛かります。技術に関するスキルがないとメンテナンスが難しいのはスクラッチ開発の大きなデメリットです。
市場の流動性が高くなっている今、開発スピードや改修などで手間取っていると他社に追いつかれてアプリ内容が陳腐化してしまう危険も出てきます。スピーディーに対応できるアプリ開発環境を用意できる余裕のある企業でないと、スクラッチ開発は厳しいです。
iOSとAndroidは年に1回程度メジャーアップデートが行われます。OSの仕様変更に追従できないと、ある日突然アプリが正常に動かなくなるといった事態も起こり得るため、公開後も継続的に手を入れられる体制が欠かせません。
属人化も無視できないリスクです。開発を担当した人が退職すると、コードの内容を把握している人が社内からいなくなり、改修そのものができなくなるケースがあります。設計書やソースコードの管理ルールを最初に決めておきましょう。
関連記事:アプリ開発するなら外注か自社開発か?誰でも作れるアプリプラットフォームがおすすめ
関連記事:店舗アプリのメリット・デメリット|集客力アップだけでないその魅力
徹底比較!どちらがクライアント(企業・店舗)にとってよい方法なのか?
ここからはアプリプラットフォームでの開発とスクラッチ開発、双方を直接に各項目から比較していきます。
細かく見ていく前に、まずは全体像を1枚で確認しておきましょう。
|
比較項目 |
アプリプラットフォーム |
スクラッチ開発 |
|---|---|---|
|
初期費用 |
無料〜10万円前後 |
数百万円〜 |
|
継続費用 |
月額数千円〜数万円 |
サーバー費+保守費(開発費の15〜20%/年) |
|
開発期間 |
最短1か月〜 |
半年〜2年以上 |
|
必要な人材 |
専門知識がなくても運用可能 |
エンジニア・デザイナーが必須 |
|
自由度 |
提供機能の範囲内 |
制限なし |
|
両OS対応 |
1つの管理画面で同時に生成 |
個別開発またはフレームワーク選定が必要 |
|
改修のしやすさ |
管理画面から即日反映 |
都度開発が必要 |
コスト面
アプリを開発する際は
初期の導入費用
月額の費用
その他販促費用など
が発生します。
初期の導入費用については、アプリプラットフォームの場合無料になっているケースも多いです。
導入費用が気になる場合は、なぜ費用が掛かるのかまで明朗に説明してくれているところを選ぶと信頼性が高いです。
またスクラッチ開発を外注する場合は、
デザイン制作期間
アプリの開発期間
サーバーの開発期間
といった期間にデザイナーやエンジニアなどスタッフの人件費を掛け合わせたものが費用として発生します。
レンタルサーバー代といった月額費用を払う必要もあるので注意しましょう。
販促費用に関してはアプリの開発手法に関係なく、適したサービス上でターゲットユーザーにアプリの売り込みをしていけるように金額を判断する必要があります。店舗上での声掛けなども組み合わせてインストールしてくれる人や使ってくれる人を増やしていきましょう。
比較する際は、初期費用と月額だけでなく「3年間でいくらかかるか」で並べてみてください。スクラッチ開発は初期費用に目が行きがちですが、保守費と改修費が毎年積み上がるため、期間を延ばすほど差が広がります。
反対にプラットフォームは月額が続く代わりに支出が読みやすく、予算計画を立てやすいという性質があります。稟議を通す場面では、この支出の予測しやすさが判断材料になることも少なくありません。
導入面
導入面で説明すると、アプリプラットフォームの場合、
企画
デザイン制作
開発
ストア申請
といったプロセスが発生します。
早い場合は1か月もせずに提供をスタートできるケースもあります。
一方スクラッチ開発の場合も同じようなプロセスが発生しますが、各プロセスに膨大な時間が発生するのがポイントです。
遅いと2年や3年など市場が変化してしまうのに十分な時間が流れてしまう可能性がある点に注意する必要があります。
どちらの手法でも、公開前にはApp StoreとGoogle Playの審査を通す必要があります。審査には数日から2週間程度かかることがあり、初回は指摘を受けて再提出になるケースも珍しくありません。
プラットフォームの場合はこの申請作業を代行してくれるサービスが多く、審査基準に沿った作りになっているぶん差し戻しも起きにくいという利点があります。公開日を先に決めて逆算する場合は、この点も確認しておきましょう。
運用・社内リソース面
アプリプラットフォームの場合、構築やメンテナンスなどが簡単なので小規模人数でも運用が可能です。「社内にプログラミングやサーバーに明るい人材がいない」という場合はアプリプラットフォームが有効な選択肢になります。
一方スクラッチ開発の場合、構築やメンテナンスなどが難しいのである程度の技術を持ったリソースを用意する必要があります。自社で開発を行う場合は「これからアプリ開発業務も視野に入れてビジネスを行っていく」といった意気込みがないと厳しいでしょう。
運用で意外と負荷になるのが、配信する内容を考えて作る作業です。開発手法にかかわらず発生する工数なので、誰がいつ配信するかを役割として決めておかないと、公開直後だけ動いて止まってしまいます。
週1回の配信でも、テンプレートと配信カレンダーが用意できていれば1回あたり15分程度で回せます。属人化させないためにも、運用ルールは口頭ではなく文書として残しておきましょう。
参考:プッシュ通知の効果とデメリット|開封率・許諾率を上げるコツとNG例を解説
機能・マーケティング面
集客に直結する機能がどこまで用意されているかも比較軸になります。プッシュ通知、クーポン、スタンプカード、会員証、モバイルオーダーといった機能は、プラットフォームであれば標準搭載またはオプションで追加できます。
スクラッチ開発では同じ機能をすべて実装対象として見積もることになるため、機能数が増えるほど費用と期間が伸びます。すでに一般化している機能はプラットフォームに任せ、自社独自の部分だけに投資するという考え方が現実的です。
セキュリティ・法対応面
アプリで会員情報や購買履歴を扱う以上、個人情報保護法への対応は避けて通れません。取得する情報の利用目的を明示し、プライバシーポリシーとして掲示する必要があります。
プラットフォームを利用する場合、サーバーやデータの管理は提供事業者側が担うため、脆弱性への対応やバックアップの負担を自社で抱えずに済みます。スクラッチ開発ではこれらをすべて自社の責任範囲として設計・運用することになり、セキュリティ人材の確保まで含めた検討が必要になります。
関連記事:アプリプラットフォームとは?メリット・デメリット、おすすめ3選を比較
アプリ開発の手法を決める前に確認したい5つのポイント
自社に合う手法は、次の5点を確認すると絞り込めます。
1つ目は予算です。初期投資に数百万円を確保できないのであれば、選択肢は実質的にプラットフォームに絞られます。2つ目は公開希望時期で、3か月以内に出したいならスクラッチ開発は現実的ではありません。
3つ目は社内にエンジニアがいるかどうかです。いない場合、スクラッチ開発は外注一択となり、改修のたびに費用と時間が発生します。4つ目は必要な機能が一般的なものかどうかで、プッシュ通知やクーポンなど既製機能で足りるならプラットフォームが有利です。
5つ目は既存システムとの連携要件です。POSや基幹システムとつなぐ必要がある場合は、API連携に対応したプラットフォームを選ぶか、連携部分だけを個別開発できるかを確認しておきましょう。
このうち3つ以上がプラットフォーム寄りであれば、まずプラットフォームで公開し、必要になった段階で作り込みを検討する進め方をおすすめします。
まとめ
今回はアプリプラットフォーム上での開発とスクラッチ開発、双方のメリットやデメリットを比較してきました。
どちらにもメリット・デメリットはありますが、やはり中小企業としてはコストも安くアイデアを初心者でも形にしやすいアプリプラットフォームの活用が適しているでしょう。開発スピードも速いのですぐ新しいアプリビジネスを開始できます。
アプリ導入をする上ではどちらの開発手法が望ましいかメリットやデメリットを検討して、適切な手法で開発を進めていきましょう。
あわせて押さえておきたいのは、開発手法の選択はゴールではないという点です。モバイルアプリ開発のメリットは、公開後に情報を届け、データを蓄積し、改善を重ねて初めて形になります。
そのため比較の際は、開発の手軽さだけでなく「公開後に自社の担当者が自力で回せるか」という視点も加えてみてください。この一点を基準にするだけで、選ぶべき手法はかなり絞り込めます。
弊社ではアプリプラットフォーム「店舗アプリpro版 raiten」を提供中です。
アイデアをスピーディーにアプリとして実現させたい方は、ぜひ下記からお問合せしてみてください。
この記事を監修した人
店舗アプリ公式。累計1,000社以上の導入実績を誇る店舗アプリ構築プラットフォーム。 単なる集客に留まらず、リピーター創出による売上最大化を得意としている。
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