ECサイトをアプリ化する理由|サイトやSNSでは実現できないアプリの集客力とは
近年、ECサイトをアプリ化するケースが増えています。中にはECアプリとサイトをわざわざ2つ作って導入・運用している店舗がいるほど。それは、ECサイトとアプリは似ているようで異なる点も多く、併用するメリットがあるからです。
SNSとの違いも理解して上手く併用できれば、相乗効果で売上成長もより大きく見込めるようになるでしょう。
今回はECサイトをアプリ化する理由やメリットデメリット、そしてECサイト・アプリ・SNSの役割の違いなどを紹介します。
目次
ECサイトをアプリ化する理由|サイトとアプリの違いとは
ECアプリとは、ECサービスをアプリで提供する形式のことです。ネイティブアプリとしてAndroidスマートフォンやiPhoneなどに常駐することで、さまざまな情報発信が可能となります。
ECサイトとの大きな違いとしてまず挙げられるのが、アクセス方法です。ECサイトはあくまでWebブラウザーアプリで見るものであり、Webブラウザを立ち上げてから閲覧する必要があります。
わざわざブラウザを立ち上げるのを面倒に感じる方も多く、アイコンを追加すればショートカットでECサイトへ飛べるのですが、知らない方も多いでしょう。
ECアプリだとインストール後1タップで立ち上げることができます。プッシュ通知から、該当のページへすぐ飛べる利便性も大きなメリットだと言えるでしょう。
他にも処理速度等で大きな違いがあります。
ECサイトからアプリへシフトするケースが増えているのは、次のような理由があるからです。
スマートフォンでの集客力強化の必要性
スマートフォンユーザーは年々増加しており、そしてモバイル機器でEC購入を済ませるいわゆる「Mコマース」も増えてきました。こういった状況下で、アプリの活用が重要になってきているのは言うまでもありません。
処理速度やデザイン、操作面などで、ECアプリはECサイトより有利です。最初からモバイル機器で動作することを前提に考えているので当然ですが、スマートフォンでの集客を強化する際はECアプリが効果的でしょう。
後ほど解説しますが、ECアプリには、
- バーコードスキャンによる商品情報提示
- 来店によるスタンプ付与
といった、ECサイトでは利用できない実店舗向けの機能を多く搭載可能です。
こういった機能はEC利用だけでなく、実店舗への来店を促しながらEC・実店舗双方でスムーズに連携して買い物する「オムニチャネル」の実現を促進してくれます。
自店舗ブランド力の向上
従来はモールに出店して利益を獲得しようとする店舗が多かったのですが、状況は変わりました。
モールの集客はブランド力がない店舗にとっては魅力的ですが、長期間使っていると手数料の高さやカスタマイズ性の低さなどが気になってきます。利益を上手く最大化できずに出店を取りやめてしまう事例もあり、そういった店舗は自社ECサイトの制作・運用に力を入れるようになったのです。
しかし、自店舗ECサイトの運用が成功するとは限りません。チャネル不足で思ったより利益が出ない場合もあり、自店舗ECアプリはそういった問題の解決策として使われるようになりました。
自店舗ECアプリでは、インストールさえされれば継続的にタッチポイントを持つことが可能です。検索エンジンの検索結果等に売り上げを左右されてしまうケースがあるECサイトと比較すると確実に収益を獲得できるようになるでしょう。
もちろんECアプリにも弱点はあるため、ECサイトをそのままアプリ化して、併用で運用している店舗も多いです。
リピーター促進
ECではいかにリピーターを増やして使ってくれるお金を自然と増やせるかが焦点となります。その点では従来のECサイトの場合、機能面で不足しているところがいろいろとありました。
ECアプリはリピーター促進に適しています。たとえばセグメントしてリピーターになってくれそうなお客様へ、ピンポイントにセール情報やキャンペーンなどのプッシュ通知を送信するなどの施策が可能です。データはフィードバックして次の施策へ活用することができます。
またアプリのアクティブ率や利用回数などを確認することで、ECのサービスとしてアプリが機能しているかまで容易に分析可能です。
アプリ制作が以前より簡単になった
従来ECサイトはあってもECアプリを制作していなかったところが多かったのは、スキルやコスト面でアプリ制作がしにくかったのが要因です。すでにECサイトを直感的に制作・リリースできる無料のサービスが広まっている状況で、ECアプリを制作するサービスはそこまで多くありませんでした。また外注すると高額になるのでおいそれとはECアプリを用意できなかったという側面もあります。
しかし、クラウド化やアプリ開発プラットフォーム登場で状況は変化しました。
クラウド上でアプリ開発プラットフォームを操作することで、WebサイトライクにECアプリを制作、リリースが可能に!制作コストもそこまで発生せず、ECアプリの利用門戸を中小規模の企業にまで広める結果につながりました。
現在はアプリによる検証や結果測定も簡単になり、誰でもアプリ運用ができる時代となっています。そのため、自社独自のコンテンツとしてECアプリを制作して配布する事例も増えてきたのです。
ECサイトをアプリ化するメリット・デメリット
ECサイトをアプリ化するメリット、そしてデメリットを紹介します。
ECサイトをアプリ化するメリット
ECサイトをアプリ化するメリットは次の通りです。
ユーザーの購買までのアクションが減る
ユーザーは購買までのアクションが増えることを嫌がります。ECサイトではまずWebブラウザーアプリを立ち上げる必要がありますが、そのひと手間すら面倒と思われてしまうことも・・・。
その点ECアプリは1タップアクションでページを表示できるので便利です。購買までのアクションが1つ減るだけでも効果を実感できるでしょう。
その上でなるべく情報をスムーズに提示して購入まで移動できるアプリになっていると、最大のコンバージョン効果が見込めます。
スピード面でユーザビリティが向上する
ローカルのスマートフォンにデータがあるECアプリは、読み込み速度でECサイトより有利です。1から情報を読み込むことが多いECサイトと最初から保存されているデータを読み込んで表示を行うECアプリとでは、体感速度でも表示時間が違うのが分かります。
多機能なECサービスであればなおさら差が出てくるでしょう。ECサイトにもデータを保存してローカルで読み込むキャッシュという仕組みがありますが、効果は限定的です。
スピード面を改善し、少しでも購入確率を上げたいのならば、ECアプリを用意して配布することをおすすめします。ECサイトだと速度向上に限界がありますが、ECアプリだとその制限が減るからです。
プッシュ通知やカメラ機能などのネイティブ機能が使える
ECアプリだと、ECサイトでは導入できない機能を搭載できます。スマートフォンの端末へアクセスして利用する、「ネイティブ機能」という名称で呼ばれる機能です。
たとえば、
- プッシュ通知の発信
- カメラとの連携読み取り
- GPS連動による位置情報検知
といった操作はどれもネイティブ機能によって実現できます。
現在ではPWAによってWebサイト上でもプッシュ通知が発信できるようになりましたが、他の機能は搭載するのが依然として難しい状況です。
ネイティブ機能が簡単に使えるのはECアプリの大きなメリットであり、この後解説する実店舗来店促進にも役立つでしょう。
実店舗来店も促進可能
ECアプリには実店舗来店促進に関する機能も搭載可能です。
- 店舗でバーコードスキャン機能を使って商品情報を細かく見る
- ビーコンで付近に来てくれたお客様へ情報発信する
- 来店時に位置情報で確認を行いスタンプを付与
- アプリクーポンをEC・実店舗双方で使えるようにする
といった施策によって、実店舗集客で課題を持っていても簡単に解決策を取ることができます。
せっかくアプリとしてECを提供するのなら、実店舗の来店も促進できるとより効果的な施策が打てるようになるでしょう。
在庫等もECアプリ・実店舗双方で共有しておくと「実店舗でECアプリ注文の商品を受け取り、送料をなくす」といったことができるようになります。準備が必要ですが、DXのためにもぜひオムニチャネルの仕組みを導入しておいてくと良いでしょう。
インストール目的の広告を出すことも可能
各SNS等のWeb広告では、アプリインストールを目的とした広告を出すことが可能です。広告をタップするとそのままアプリストアの該当ページへ移動するので、ユーザーは素早く気になったアプリをインストールできます。
当然ECアプリもWeb広告で宣伝可能です。もし最初のインストール数確保で悩んでいる際は、Web広告サービスでアプリインストールフォーマットの広告を出して、結果をフィードバックしてインストール数増加へつなげてみてください。
ECサイトをアプリ化するデメリット
ECサイトをアプリ化するメリットは多数ありますが、次のようなデメリットも出てきます。
インストール数やアクティブ率などを考える必要がある
ECアプリを運用する際は、ECサイトとはまた違った指標を確認する必要があります。
まず気にしたいのがインストール数です。最初の宣伝が上手くいっていないと、上手くインストール数が増加しません。インストール数が最初の鬼門になるでしょう。
そしてアクティブ率も無視できません。インストールされても定期的に立ち上げが発生しておらず、失敗する事例も多いです。
インストール数を増やしながらその後のアクティブ率を維持、購買につながるように誘導できるかがアプリ成功のカギを握っています。
コストがある程度掛かる
仮にECアプリをプログラミングベースで制作した場合、高額になると数百万円近くかかるケースもあります。中小規模の店舗ではアプリ開発プラットフォームを使うことをおすすめしますが、本格的にプラットフォームを運用する場合はクラウド版でも、月額最低でも数万円といった費用が発生する点には注意しましょう。
この価格には保守・運用費などが入っている場合が多いですが、そうでない場合もあるので運営側に事前確認を取っておいてください。オプションでどこまで対応できるのか、対応できない機能やサービスがあるかなども確認しておきましょう。
簡単に制作できる分、カスタマイズ性に問題が出る場合がプラットフォームの場合はあるからです。
保守・運用が面倒な場合もある
ECアプリを運用する場合は、保守・運用に注意する必要があります。これも確認する指標がECサイトとECアプリで異なる場合があるのと同じく、ECアプリ独自の注意点があります。
たとえばOS問題では、アップデートがOSサービスであった場合は不具合が出ないか検証して、必要なアップデート対策を行う必要があるでしょう。またOS等の不具合でアプリがフリーズする場合は、対応を考えて発表する必要性もあります。
不安な場合はアプリプラットフォーム運営側等へ相談して、サポートを受けることも必要です。
アプリ・サイト・SNS|それぞれの役割
EC分野において、アプリとサイト、そしてSNSがそれぞれどのような役割を果たしてくれるのかを紹介します。
アプリ
アプリの役割はスマートフォンユーザーへの施策促進と、リピーター増加です。
スマートフォンユーザーに適したデザイン・機能、体験を用意するにはアプリがもっとも適しています。またECアプリにおいて定期的な商品購入やアップセル・クロスセルの提案などがしやすいのもメリットだと言えるでしょう。
SEOを含めたEC施策の導入やUGCの獲得などは、「ECサイト」や「SNS」といったコンテンツで行います。
ECサイト
ECサイトはSEO上で新規顧客を獲得したり、ECアプリを補助する役として機能します。
ECサイトは普段使っていない方の目にも検索エンジン経由で目に入る可能性があり、利用を促進することが可能です。ただしリピーター化できるように情報を提案していく必要があります。ECアプリへの導線作りも行っておきましょう。
またいわゆる「SEO対策」として随時ページを追加するなど「質のよいコンテンツだ」と検索エンジン上に認識させる工夫も必要です。オウンドメディア用の記事を用意して商品購入へつなげる、といった施策を行ってみると良いでしょう。
SNS
SNSはオウンドメディアではなくユーザーからUGCを獲得できるアーンドメディアです。よってアーンドメディアとしてまずはファンを増やして、そこからUGCを獲得、よい口コミを広げられるのが理想となります。
購買獲得が目的というよりは、自店舗を認知してもらって気持ちのよいお店だと認識してもらうための広場のような印象をもつとわかりやすいです。もちろんある程度認知度が広まり、よいお店だとイメージを印象付けられれば、投稿で商品の提示を行っても良いでしょう。
ただし、ECアプリ・ECサイト以上に販促感が出てしまっていないか気を付ける必要があります。SNSではファンを増やして口コミを広げることを主目的としたほうが良いです。
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まとめ
ECサイトをアプリ化する理由やメリット・デメリット、そしてECアプリ・ECサイト・SNSの各役割を紹介しました。
ECサイトをアプリ化すると、さまざまなメリットが得られます。気になる方はぜひ今回の記事をもう一度読み込んでさらに理解をしてみてください。
またECサイトやSNSにもそれぞれECアプリとは別の役割があります。シナジーで相乗効果が出るように、担当者を準備して各コンテンツを連携・運用できるようにしておくと良いでしょう。