アプリでできるCRMとは?(個人情報を取らない以上のデータとは)
CRMは顧客管理を行う上で重要な考えです。アプリ上でもCRM機能は実装可能であり、利用することで適切なアプローチを掛けられるようになるのがポイントになっています。
ただし個人情報保護への関心が高まっている中、必要以上の情報取得は好ましくありません。アプリを利用しながら必要最低限な情報取得にとどめることで、プライバシーと精度のバランスが取れた情報利用が可能であると提唱したいです。
今回はCRMとは何か、最新の個人情報関連のニュースやアプリを使ったCRM活用方法などを交えてご紹介していきます。
目次
CRMとは?利用目的も解説
CRMとはもともと「顧客関係を効率よく管理してアプローチを行う」という考えを表す言葉です。ただし現在ではツールが普及したことに伴い、CRMが実行できるツールそのものや機能を指す場合も増えてきています。
CRMはパーソナライズドな施策、つまり1人1人のお客様へ合わせた施策を実行する際に必要とされてきました。
CRMでは顧客情報をデータベースとして管理しますが、このデータベースを介して、
・顧客情報のセグメント
・セグメントに応じたメールといったコンテンツ配信
・適切なタッチポイントやタイミングの把握
といった行動が行われてきたからです。CRMを起点として施策が膨らんでいくイメージです。
ただしこの後ご説明していきますが、昨今の個人情報の取り扱いはややこしく・難しくなってきています。法律に抵触しないように上手くスキルを身に付けながらCRMを活用する考えも重要になってきているので気を付けてみてください。
ちなみにCRMツールには、以下のような機能が搭載されています。
・顧客の氏名(会社名)や年齢、性別や利用金額などの基本情報管理
・各顧客情報の一元管理・把握
・セグメントに応じたメールの設定や配信
・対応履歴や詳細の紐づけ
・フォームといった顧客に配布する資料の作成サポート
CRMツールによって顧客へのアプローチが効率化して、無駄な商談の防止やリピーター化の施策投入などが楽になるのがポイントです。
製品によってはマーケティングや営業自動化まで含まれているケースがあるので、自社の業務への適用範囲や達成したい目的などに応じて選んでみてください。
CRMツールはなぜ必要?顧客管理の重要性は増すばかり
CRMツールの導入は次のような点から重要とされています。
顧客へのアプローチの手間・コストを軽減するため
Excelで顧客データベースを構築している場合は、
・離脱済みやリピーター、新規といったステータスが分かりにくい
・間違った情報が記載されたままになる
・情報が追加されず古いままになってしまう
といった課題が出てきます。取引先が多いとそれだけCRMの手間が増えるため、自動化を検討する必要があるでしょう。
CRMツールを導入すると一部情報取得は自動で行ってくれますし、分析や情報検索などの効率性も一気に上がります。
ツール検討・選定の手間は掛かりますが、よいツールを導入すればExcelよりも管理が楽になったと思える可能性が高いです。少人数で効率よくCRMを実践できるようになります。
また属人化を防げるのもよい点です。
もし一部の担当者のみが最新のCRMデータを持っており共有されていないと、他の担当者は古いデータや抜け漏れのあるデータで顧客管理を行う必要があります。担当者ごとに顧客対応にばらつきがあるのはよろしくありません。ツールでの共有を前提にすればスキルの平準化が狙えるので質が安定するでしょう。
結果的にコスト削減や業務効率化などが達成できるので、CRMは重要になっています。
根本的な課題を解決する施策を考えるため
現代は流動性が激しく、またユーザーが情報を自発的に集めて商品・サービスを利用するか決める時代です。そのため以前のようによいものを作るだけでは競合に負けてしまうのが現状です。
よいものを単に作るというモノ消費的な発想ではなく、コト消費的な発想が重要になってきています。つまり体験まで含めてどのような満足行く提供ができるのかを企業として真面目に考える必要があります。
その際必要なのが顧客のデータです。
・なぜ自社の商品
・サービスを購入したのか
・具体的にどのような課題があったのか
・今後どういった商品
・サービスが欲しいのか
といった内容をCRMデータから読み解き分析することで、将来的なマーケティング施策実行の布石にもできるのがポイントです。
CRMデータがないとデータの可視化が難しく、また顧客の課題・意欲にも気付きにくくなります。
LTVを考えた継続的なフォローを行うため
現在ではサブスクリプションサービスといった継続するのが前提のサービスが登場しています。
こういった継続性が重要視される中で、顧客が自社と関係性を持った期間を表す「LTV」も重要になってきています。
サブスクリプションサービスではLTVは重要であり、伸びれば伸びるほど長期的にサービスを使ってくれる優良顧客と判断可能です。
サブスクリプションサービスに限らず、LTVの概念は重要になってきています。短期間で離脱されてまた新規顧客を見つけるよりも、1人1人のLTVを延長させて売上を確保したほうが効率がよいですし、コストも削減される可能性が高いです。ただしLTVの向上にはCRMデータを使った満足度を上げられるアプローチが必要になっています。
顧客との関係性をCRMによって強化することで優良顧客を獲得してLTVまで成長させていきましょう。
個人情報保護法が改正されることに!顧客情報取り扱いには注意しよう
CRMでは必要な顧客情報を抽出して取得・管理するのがコツです。ただし必要以外の情報まで抽出してデータと紐づけるのはよくありません。
現在個人情報の取得に関する規制は厳しくなってきており、多くの機密情報を持っていると取扱いを間違えて罰せられるリスクもあるからです。
規制が厳しくなっている事例としては、たとえば法律面では、
・ヨーロッパ圏内でGDPRが施行、Cookieによるターゲティングが困難に
・カリフォルニアでCCPAが施行、個人情報取り扱いが制限される
・日本政府が個人情報保護法を改正、インターネットでの情報取得に制限を掛ける
といった動きが有名です。
GDPRの適用範囲はヨーロッパ圏内のユーザーが少しでもいる日本企業までに及ぶので、日本では念を入れて「Webサイト読み込み時にポップアップを表示、前もってCookieを取得することを許可してもらうようユーザーに依頼する」といった方法で対策を行うところが相次いでいます。
またカリフォルニアでも同じような法律が施行され、個人情報の取り扱いが以前より厳しくなっているのもポイントです。
特に日本政府が企業の不祥事などを受けて、個人情報保護法を改正したことは国内で話題となりました。
取得自体が禁じられるわけではありませんが、Cookieを介した情報取得と個人を確実に特定できるような情報を結び付ける際は本人許可が必要といった条文が追加されています。不祥事でもCookie情報と企業が保有していた個人データを結び付けて他企業へデータとして提供していたのが問題となっており、今後別の不祥事が起きればそれに対応した条文が追加される可能性はあります。
Cookieの利用制限は広告に影響がある点も押さえておきましょう。
今まではサードパーティーCookieという広告同士で共用できる情報でターゲティング広告が表示されていましたが、今後はそれが難しくなり広告精度が落ちると予想されています。そこでGoogleではブラウザーからCookie情報を取得しない「FLoC」という技術体系を実装しようと研究を続けています。
現在広告業界では、
・FLoCの実装を待つ
・リスティング広告でキーワードをベースにターゲティングする
・自社のみが扱えるファーストパーティーCookieを利用する
・その他Cookieに頼らないターゲティングを行う
といった対応を取る必要が出てきており、Cookieを利用してターゲティングするという常識が通用しなくなりました。
アプリでも同様に、個人情報やそれに類する情報を取得する際に気を付ける必要があります。
たとえばCookieでなくともアプリ識別子を利用して、ユーザー行動を会員氏名や趣味・趣向と結び付けると罰せられるリスクはゼロではありません。必要でない情報を取得していると感じる場合はすぐ取得を取りやめる柔軟性を持ちましょう。
店舗アプリDX版raitenにおけるCRM
アプリプラットフォームを利用して自店舗アプリを制作する際は、「作ったアプリが余計な個人情報に該当するようなデータを取得しないか」を確認する必要があります。もし個人情報規制に対応していなさそうなアプリを見つけた場合は、利用しないほうが無難です。
ちなみにアプリプラットフォームとして中小店舗様に利用いただいている「店舗アプリDX版raiten」では、詳細な個人情報を取得しておりません。
これだけ聞くと「情報の出し分けといった行動の精度が落ちそうで心配だ」と思われるかもしれませんが、安心してください。
個人情報を詳しく取得しなくても、上手く必要最低限のデータを取得・管理することでプライバシーと精度の両立を実現しているからです。
アプリにおいては、名前・住所といった個人を特定できてしまう情報によるマーケティングは必要ないとraitenでは考えております。
具体的にはアプリを介してIDを取得することでターゲティングできる環境を確保、
・いつどこで ・どのようなアクションをしたか
といったデータをトラッキング可能です。
ちなみに、アプリでユーザーに登録していただく情報はこれだけで充分でしょう。
・ニックネーム(気軽に設定可能)
・誕生日(誕生月のみでも十分)
・お気に入り店舗(店舗ごとの情報を通知できる)
またユーザーがアプリを使っていると、以下のようなデータも自動で蓄積されていきます。
・ユーザーID(識別・管理に必要)
・登録日時(LTV計算などに必要)
・所有クーポン(クーポン管理用)
・利用日時(クーポンの利用日時を把握できる)
・スタンプ保持数(スタンプの取得日時や合計保持数を把握可能)
他にもプッシュ通知といったアプリ機能を利用することでさまざまなアプローチ・戦略が実現可能になっています。統合的にマーケティングデータを分析・施策を実行して回すツールとしてぜひご利用ください。
アプリを利用することで「個人名・住所などを取得してDMなどを送る」といった作業で必要だったデータ取得の手間・紙代の発生などが防げるでしょう。
ここからはアプリを利用してどのようなCRM施策が実行できるのかを確認していきます。
プッシュ通知と組み合わせる
CRMデータはアプリのプッシュ通知機能と親和性が高いです。プッシュ通知を配信する際の事前設定にデータが役立ってきます。
ユーザーの情報をアプリで取得した後に、
・性別や年齢ごとにセグメントする
・個別に配信を行う
・CSVで一括配信する
といった方式を目的に応じて変えて配信することで効果が得られます。
・最終クーポン利用日から〇〇日
・最終スタンプ取得日から〇〇日
・アプリ登録日から〇〇日
といった設定でサンクスメールやクーポン配布もできますし、「1ヵ月以内に、A店に2回来店」といった条件でもプッシュ通知は配信可能です。
休眠顧客へリテンション施策を実行する
アプリ内のCRMデータを利用すると、「このお客様は数か月アプリを利用していない」といった情報も分かります。
アプリをアンインストールされる前に顧客維持のため、リテンション施策を実行してみましょう。
たとえば、
・久しぶりですね!キャンペーン中に来店してみませんか?
・しばらく使っていない方限定!一品無料クーポンを使ってみてください
といったメッセージを流すことで再起動を促し離脱を防ぐことが可能です。
ただし離脱がいったん防げても根本的にアプリ機能に問題があっては意味がありません。継続的な機能・サービスの改善を前提としてリテンションを行ってみてください。
施策を続けてリテンション率が上がり安定すれば一安心です。リテンション率が問題ないか確認するには「リテンションカーブ」が便利です。利用期間を見ながらリテンション率の推移を確認して、途中から横ばい(離脱率が減少して一定になり、急増したりしない状態)になれば効果が出ています。
既存のCRM情報とAPIで連携する
もし既存のCRMデータがWebなどに用意されている場合は、APIを使ってアプリの情報と連携させることでより密度の高いデータを取得可能です。
顧客管理ツール上の、
・この人が
・いつ
・自店舗と
・このような話をして
・このような商品
・サービスを購入した
といったデータが、
・この人はアプリを使っている、あるいはいない
・いつから使っている、あるいは休眠している
・自店舗の情報をこういう風に調べながら
・商品・サービス購入を検討している
いったアプリデータを組み合わさることで、「既存のお客様がアプリを有効に活用できているか」などを把握してさらなる施策へつなげられるでしょう。
ただしCRMデータの個人情報をアプリと組み合わせて特定できるようにすると、法律に抵触する可能性があります。
組み合わせる際は、アプリやWeb内で事前に許可を取ってOKというお墨付きを得てからにしてみましょう。
アプリだけでも十分なマーケティングができるので、無理に既存CRMデータと結び付ける必要性がないケースもあります。
まとめ
今回はCRMの概要やアプリを使ったCRM活用方法をご紹介してきました。
個人情報を取得し過ぎると危険な時代になってきました。情報流出や不適切な取扱いによる罰則適用などが怖い方は、代替となる方法を探して対策してみてください。
弊社では店舗アプリDX版 raitenというアプリ制作プラットフォームを提供しております。アプリ施策を考えている方はぜひご相談ください。
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