アプリUIとは?設計のコツ5選と最新デザイントレンドを徹底解説
業種全般
アプリのUIは、ユーザーの使いやすさや継続利用に直結する重要な要素です。直感的で分かりやすいデザインを採用すれば、クーポン利用や注文、予約などの操作がスムーズになり、顧客満足度の向上につながります。しかし操作が分かりにくかったり、導線が長かったりすると、せっかくダウンロードされたアプリも使われなくなってしまいます。
本記事では、アプリUI/UXの基本から、デザインの変遷と2026年時点の最新トレンド、そして良いUI/UXを作るためのポイント5選までを、店舗アプリに活かせる形で分かりやすく解説します。これから店舗アプリを作る方や、既存アプリを改善して利用率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
あわせて、アプリUIデザインとWebデザインの違い、iOSとAndroidでの設計の前提の差、アプリUIデザインを進める手順、そして現場で起こりやすい失敗とその対策までを取り上げます。専門用語はできるだけかみ砕いて説明するので、デザインの担当経験がない方でも読み進められる内容です。
アプリのUI/UXとは
UIはユーザーとアプリの接点となるデザインや操作画面のこと
UIとは「ユーザーインターフェース」の略で、ユーザーとデバイスの接点を指します。スマホアプリの場合、アプリ全体のデザインをはじめとして、フォントサイズやボタン、アニメーションなど、アプリ画面で目にするものは全てUIに含まれます。
IT業界では何かと何かをつなぎ合わせる接点(窓口)になるものをインターフェースと呼称します。UIと同じようにインターフェースという言葉が利用されている例として、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)が挙げられます。APIは自社が制作したソフトと他社が外部サーバーにインストールしているソフト同士を連携させ、他社のソフトの機能を呼び出して利用するための接点となる技術です。このように、何かと何かをつなぎあわせる技術や概念を説明する単語には、インターフェースという言葉が入っていることが多いです。
もう少し具体的に、アプリUIを構成する要素を分解しておきましょう。大きくは「レイアウト(情報の配置)」「タイポグラフィ(文字)」「カラー(配色)」「アイコン・画像」「操作パーツ(ボタン・入力欄・タブ)」「動き(アニメーション・遷移)」の6つに整理できます。
これらは単独で成立するものではなく、組み合わさって「押せる場所が分かる」「今どの画面にいるか分かる」という理解を生みます。たとえばボタンらしい形と余白、そしてタップしたときの反応があって初めて、ユーザーは迷わず操作できるということです。
店舗アプリに当てはめると、会員証のバーコード、クーポン一覧、店舗情報、プッシュ通知の文面まで、すべてがUIの範囲に入ります。デザインの見た目だけでなく、どの情報をどの順番で見せるかという設計もUIの一部だと捉えておきましょう。
UXはアプリの利用を通じてユーザーが得る体験のこと
UXとは「ユーザーエクスペリエンス」の略で、ユーザーが商品やサービスを利用することで得られる体験を指します。スマホアプリの場合、UXはUIによって大きく変わります。たとえばフォントが美しい、ボタンデザインが分かりやすいなど、UIにデザイン性があり、それでいて使いやすいものであるほど、UXにおけるユーザーの満足度が高まります。
このようにUIなどによってUXが決まるため、UIとUXには密接な関係があります。UXはUIだけで決まるわけではありませんが、UIがUXを左右する重要な要素の一つであることは間違いありません。
UXがUIだけで決まらないという点は、店舗アプリでは特に重要です。アプリの画面が使いやすくても、クーポンの中身が魅力的でなかったり、レジでの提示にスタッフが慣れていなかったりすれば、体験全体の評価は下がります。
つまりUXは、アプリを知る前の段階から、ダウンロード、初回登録、日常利用、来店時の使用、そして解約や再インストールまでを含んだ一連の流れです。アプリの外側にある体験まで含めて設計するという視点を持っておきましょう。
UIとUXの違いを一言で整理する
混同されやすい2つの言葉ですが、UIは「どう見えて、どう操作するか」、UXは「使ってみてどう感じたか」と整理すると分かりやすくなります。UIは手段、UXは結果と言い換えることもできます。
関係としては、UIはUXの中に含まれる一要素です。優れたUIは良いUXを生みやすくしますが、UIを整えれば必ず良いUXになるとは限りません。逆に、UIがシンプルでも課題を的確に解決できていれば、UXの評価は高くなります。
現場で判断に迷ったときは、「この変更でユーザーの目的達成が早くなるか」を基準にしてください。見た目の好みではなく目的達成のしやすさで判断すると、社内での議論もまとまりやすくなります。
アプリUIデザインとWebデザインの違い
同じ画面設計でも、アプリUIデザインとWebデザインでは前提が異なります。最大の違いは操作がタップ中心であることです。マウスカーソルのような細かいポインティングができないため、ボタンやリンクには指で押せるだけの大きさと間隔が必要になります。
もう1つの違いは、画面の狭さです。スマートフォンの縦画面で一度に見せられる情報量は限られるため、Webサイトのように横並びで情報を並べる設計は成立しません。優先順位をつけて、上から順に重要な情報を配置していく形になります。
さらに、アプリは片手で操作される場面が多い点も考慮が必要です。画面上部は親指が届きにくいため、よく使う操作は画面下部のタブバーやフローティングボタンに配置するのが基本です。
最後に、アプリは繰り返し使われることが前提です。初回だけ分かりやすいデザインではなく、100回目でも迷わず最短で操作できる構成になっているかを確認しましょう。
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アプリデザインのトレンド(誕生〜現在)
ここからはアプリデザインがどのように変化してきたのかを追っていきます。過去の流れを知っておくと、なぜ今のデザインがこの形になっているのかを理解でき、自社アプリの方向性を決める判断材料にもなります。
スキューモーフィズム
出典:株式会社ベーシック
「スキューモーフィズム」とは、現実世界にある動物や風景などをアプリデザインに落とし込もうという考え方で、「リッチデザイン」とも呼ばれます。スキューモーフィズムという言葉自体は19世紀末あたりから使われはじめ、2013年のiOS7登場まではこの考え方に沿ったアプリデザインが一般的でした。
当時はiPhoneやAndroidが登場して間もないスマホの黎明期であり、アプリという概念自体にユーザーがなじめていなかったため、開発者側でもユーザーの理解を促進する工夫が必要でした。そこで利用されたのがスキューモーフィズムです。アプリアイコンであれば鳥や花の実画像に似せたり、ボタンには光が当たっているようにデザインして実在感を出したりと、現実にあるものをモチーフにしてアプリデザインが制作されました。
しかしスキューモーフィズムに基づいたデザインのアプリはごちゃごちゃした印象で使いにくいものが多く、UIとして最適とは言えませんでした。また現実世界のモチーフを色濃く反映するため、機能が現実世界のものに合わせて制限されるなど、より使いやすくなるようなカスタマイズが行いにくい弱点もありました。
フラットデザイン
2013年にiOS7が登場しフラットデザインが採用されたことを皮切りに、フラットデザインの考え方がアプリデザインにどんどん取り入れられるようになりました。フラットデザインとは、シンプルな要素や図形を明るい色を中心に組み合わせてわかりやすさを強調したデザインのことです。TwitterやGoogle Chromeなどの有名アプリも、アプリアイコンから操作画面デザインまでイラストチックな印象があるのではないでしょうか。こうしたイラストチックで余計なものを省いた分わかりやすいデザインであることが、フラットデザインのメリットです。
フラットデザインならばすっきりとしたアプリデザインになり、ユーザーが操作画面を見やすくなります。またスキューモーフィズムよりスマホの機能を活かした実装がしやすくなります。ユーザーがアプリの概念について理解し始めたことも手伝い、現在ではスキューモーフィズムは廃れ、フラットデザイン系のアプリデザイン開発が主流となっています。
フラットデザイン2.0
最近はフラットデザインのデメリットを改良した「フラットデザイン2.0」のデザインが増えています。従来のフラットデザインでは立体感のない平面のアプリデザインが主流でしたが、それが原因で直感的に操作しづらい点もあり、より直感的に操作できるようにフラットデザイン2.0の概念が提唱されました。
フラットデザイン2.0ではメニューボタンなどに影(シャドウ)を付けることで従来のフラットデザインより立体感を強調しています。「これはボタンだ」とユーザーがより直感的に理解できるようになり、操作しやすいデザインを実現しています。
マテリアルデザイン
マテリアルデザインはGoogleが2014年にガイドラインで発表した考え方で、現実世界の立体感を従来のデザインより強調し、動的な仕組みを多用したデザインです。たとえば紙上のデザインは「重ねたときに影が下の紙にできる、そして紙からは絶対に文字や絵がはみ出さない」など、現実世界の物質の特性をUIデザインに落とし込みます。
そして現実世界のように、画面でドラッグした項目が画面上で動いて指定の場所に移動できるなど、動的な要素を多用することで、フラットデザインの分かりやすさを活かしながら現実世界で日常動作をするように直感的なアプリデザインを実現できるのがマテリアルデザインの特徴です。今回紹介したデザインの中でもっとも直感的なUIデザインですが、マテリアルデザインをベースにした開発にはコストがかかります。今後マテリアルデザインの考え方が広まれば、ユーザーにとって一般的になり、開発コストも自ずと下がっていくでしょう。
ニューモーフィズムやグラスモーフィズムといった近年の潮流
フラットデザイン2.0以降も、表現の幅を広げる試みは続いています。代表的なのが「ニューモーフィズム」と「グラスモーフィズム」です。
ニューモーフィズムは、背景と同系色のパーツに柔らかい影とハイライトを付け、画面から浮き出たように見せる表現です。上品な印象を作れる一方で、背景との明度差が小さくなりやすく、ボタンかどうかが判別しにくいという弱点があります。
グラスモーフィズムは、すりガラスのように背景を透かしてぼかす表現で、iOSの通知パネルやコントロールセンターでも使われています。奥行きを出しやすい反面、背景の色によって文字が読みにくくなるため、テキストとの重なりには注意が必要です。
こうした表現は雰囲気づくりに効果的ですが、店舗アプリのように毎日使う実用寄りのアプリでは、装飾よりも判読性を優先するのが無難です。取り入れる場合も、ヘッダーやカードなど限られた範囲にとどめておきましょう。
iOSとAndroidでデザインの前提が異なる
アプリUIデザインでは、OSごとの作法の違いも押さえておく必要があります。iOSにはAppleの「ヒューマンインターフェースガイドライン」、AndroidにはGoogleの「マテリアルデザイン」という設計指針があり、それぞれ推奨される画面構成が異なります。
具体的な違いとしては、前の画面に戻る操作が分かりやすい例です。iOSは画面左上の戻るボタンや左端からのスワイプ、Androidは端末側の戻る操作が基本になります。この前提を無視すると、片方のOSのユーザーだけが操作に迷う状態になります。
とはいえ、店舗アプリで両OSのデザインを完全に作り分けるのは現実的ではありません。共通のデザインを基本としつつ、戻る動線やタブの位置など操作に直結する部分だけOSの作法に合わせるという進め方が扱いやすいでしょう。
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アプリはWebサイトよりUI/UXの点で優位性がある
アプリはワンタップで起動でき利便性が高い
Webサイトをスマホで閲覧する場合、ウェブブラウザーを立ち上げて検索を行わなければなりません。一方アプリであればインストール後にホーム画面にアイコンが作成され、そこをタップするだけですぐにアプリを起動して情報を確認できます。こうした手軽さはUI/UXの点でWebサイトよりアプリの方が優れていると言えます。
この差は操作回数で考えると分かりやすくなります。Webサイトは「ブラウザを開く→検索する→結果から選ぶ→ページを読む」と4手かかりますが、アプリなら「アイコンをタップする」の1手で目的の画面に到達できます。
スマホに最適化されたレイアウトで操作しやすい
Webサイトの中にはカラム(列)が3行以上あるなど、スマホの縦画面ではどうしても見にくいサイトも存在します。アプリであれば1列のすっきりとしたレイアウトで、ユーザーがスマホで操作するときも全く困りません。このようにスマホで操作する場合のデザイン的なUI/UXの点でも、Webサイトよりアプリの方が有利です。
さらにアプリは、ログイン状態や会員情報を端末側に保持できます。来店のたびにIDとパスワードを入力する必要がなく、起動してすぐ会員証を提示できるという体験は、レジ前の短い時間で大きな差になります。
プッシュ通知で有益な情報をタイムリーに届けられる
Webサイトには最新情報やお得情報の配信など、ユーザーにとって有益な情報を分かりやすく知らせる機能がありません。アプリであればプッシュ通知などで注意喚起力の高い情報提供が可能になります。結果として有益な情報をユーザーが見逃さなくなり、UI/UXの向上も期待できます。このようにアプリにはWebサイトに対してUI/UXの点で多くの優位性があります。
ただし通知は、内容と頻度を誤ると一気にマイナスへ振れる機能でもあります。通知をタップした先の画面が本文と一致していない、いわゆる導線のずれが起きると、ユーザーは次から通知を開かなくなります。通知文と遷移先はセットで設計しましょう。
関連記事:プッシュ通知の効果とデメリット|開封率・許諾率を上げるコツとNG例を解説
アプリだからこそ気をつけたいUIの制約
優位性がある一方で、アプリ特有の制約もあります。1つ目は、修正のたびにストア審査が必要になる点です。Webサイトのように即日で文言を直せないため、変更されやすい情報はアプリ内で更新できる仕組みにしておく必要があります。
2つ目は、ダウンロードという壁があることです。Webサイトはリンクを踏めば閲覧できますが、アプリはインストールと初期設定を越えてもらわなければ何も始まりません。初回起動時の登録項目は必要最小限にとどめましょう。
3つ目は、端末やOSのバージョン差です。画面サイズが小さい端末では文字が折り返され、レイアウトが崩れることがあります。デザインを確定する前に、複数の実機で表示を確認する工程を必ず挟んでください。
関連記事:アプリデザインのトレンド解説|UX/UIでリピート率を高めるコツ
UI/UXの改善でアプリのダウンロード率や利用率が向上した事例
Spotify
出典:App Store
Spotifyは世界的に有名な音楽ストリーミングサービスです。日本では2016年にサービスが開始され、世界中に1億9100万人のアクティブユーザーがいるなど注目を集めています。Spotifyは当初、緑を基調にしたロゴおよびアプリデザインでしたが、リデザインにより黒をベースカラーとして追加しました。アプリでも背景画面が黒になることで可視性が増し、UI/UXの観点からもよりユーザーが使いやすいアプリになっています。毎月のように利用者が増えているSpotifyですが、最新のデザインを取り入れて使いやすいアプリデザインに進化し続けていることも人気の要因と言えるでしょう。
Lyft
出典:App Store
Uberと並ぶアメリカ発のライドシェアサービスであるLyftも、アプリデザインをユーザー視点で作りかえることにより、ダウンロード率や利用率の向上を図っています。Lyftでは開発者がユーザーにとって使いやすいアプリデザインを模索しながら、ABテスト(複数のデザインをユーザーに提示して使い勝手を比較する方法)も実施し、ユーザーからリデザインに対する意見を募りました。その結果、開発者が想定していなかった改善点も判明し、リデザインにフィードバックすることに成功しています。ユーザーが本当に分かりやすいと感じるデザインに変更されたLyftのアプリは、Uberを追いかける形で経営規模を拡大しており、アプリのリデザインもその躍進に一役買っているようです。
出典:App Store
Instagramは若者を中心に絶大な人気を誇るSNSアプリで、アプリアイコンのアップデートで大きな話題を集めました。以前はインスタントカメラをそのままイラスト化したようなデザインでしたが、線画のイラストチックなデザインへ変更し、ピンクを基調とした柔らかいデザインになっています。このデザインの変更には賛否両論ありますが、従来のスキューモーフィズムからフラットデザインへのアップデートは時代の流れとして必然だったとも言えます。実際に2018年6月には利用者数が10億人を突破しており、アプリのリデザインも成功に寄与していることが伺えます。
3つの事例に共通するポイント
3社の事例を並べてみると、共通点が見えてきます。1つ目は、見た目の刷新そのものが目的になっていないことです。可視性を上げる、意見を集めて改善点を見つけるなど、いずれも解決したい課題が先にあります。
2つ目は、思い込みではなく検証で判断している点です。Lyftのように複数案を比較して選ぶ進め方であれば、社内の好みではなく実際の使われ方をもとに意思決定できます。
3つ目は、一度で完成させようとしていないことです。SpotifyもInstagramも段階的に更新を重ねており、リデザインを継続的な運用として位置づけています。店舗アプリでも、年に1〜2回は画面構成を見直す前提でスケジュールを組んでおくとよいでしょう。
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良いアプリUI/UXを作るポイント5選
ここからは、実際にアプリUIを設計するときに押さえておきたい考え方を5つに整理して紹介します。どれも大がかりな開発を伴うものではなく、既存アプリの改善にもそのまま適用できる内容です。
直感的に操作できるシンプルな設計にする
良いUIを実現するためには、ユーザーが説明を読まなくても直感的に操作できる設計が重要です。ボタンの配置やアイコンの意味が分かりやすく、次に何をすればよいかが自然に理解できる構成にすることで、ユーザーのストレスを軽減できます。特に主要な機能はホーム画面からすぐにアクセスできるように設計することが効果的です。操作ステップが多いと離脱の原因になるため、できるだけ少ないタップで目的を達成できる導線設計を意識しましょう。
分かりやすさを確認する方法として、アプリを初めて見る人に触ってもらい、5秒以内に「このアプリで何ができるか」を言えるかを試す方法があります。言葉に詰まる場合は、情報量が多いか、優先順位が伝わっていない可能性が高いでしょう。
また、アイコンだけで意味を伝えようとしないことも大切です。よく使われる記号を除けば、アイコン単体で意味が正確に伝わることは多くありません。小さくてもラベル(文字)を添えておくと誤解が減ります。
視認性を高めるデザインとレイアウトを採用する
文字サイズ、配色、余白のバランスを適切に設計することで、視認性の高いUIを実現できます。情報を詰め込みすぎるとユーザーは混乱しやすくなるため、必要な情報を整理して表示することが大切です。また重要なボタンや情報は目立つ位置に配置し、ユーザーが迷わず操作できるようにします。色の使い方も重要で、ブランドカラーを活用しながら強調したい要素を明確にすることで、分かりやすく使いやすいアプリUIになります。
文字サイズの目安としては、本文は14〜16px程度を下限に置き、それ以下は補足情報に限定します。行間は文字サイズの1.5倍前後を確保すると、日本語でも読みやすい密度になります。
色については、意味を持たせる色を絞ることがポイントです。使う色を「ブランドカラー」「文字色」「背景色」「注意を促す色」の4系統程度に整理すると、画面が増えても統一感を保てます。
操作ステップを最小限にする
ユーザーが目的の操作を完了するまでのステップを減らすことで、使いやすさが大きく向上します。たとえば支払いや注文、予約などの主要な機能は、アプリ起動後すぐにアクセスできる位置に配置することが重要です。複雑な画面遷移や入力作業が多いとユーザーの離脱につながる可能性があるため、必要最低限の操作で完了できる設計にすることで、利便性が向上しアプリの利用頻度や継続率のアップにつながります。
実務では、主要な操作ごとに「起動から完了までのタップ数」を数えてみると改善点が見つかります。会員証の提示は1タップ、クーポンの利用は2タップ以内、といった基準を先に決めておくと、画面設計の判断がぶれません。
入力が必要な場面では、選択肢から選ぶ形式に置き換えられないかを検討します。キーボードでの文字入力は離脱が起きやすいため、日付や人数などはタップだけで指定できるようにしておきましょう。
ユーザーの行動に合わせたパーソナライズを行う
ユーザーごとの利用履歴や行動データを活用し、最適な情報を表示することでUXを向上させることができます。たとえばよく利用する機能を優先的に表示したり、購入履歴に基づいたおすすめ情報を表示したりすることで、ユーザーにとって便利なアプリになります。パーソナライズされたUIはユーザーの満足度を高めるだけでなく、利用頻度や購買意欲の向上にも効果的です。
店舗アプリで始めやすいのは、来店頻度や前回来店日を使った出し分けです。しばらく来店のないユーザーには再来店を促す特典を、常連には新商品の案内を表示するといった形であれば、複雑な仕組みがなくても実装できます。
ただし、パーソナライズは度が過ぎると監視されている印象を与えます。表示する情報は、ユーザーが自分で入力したり選んだりした内容を起点にすると、受け入れられやすくなります。
継続的に改善とテストを行う
アプリのUI/UXは一度作って終わりではなく、継続的に改善していくことが重要です。ユーザーの利用状況や離脱ポイントを分析し、使いにくい部分を改善することでより良いUIを実現できます。また複数のデザインパターンを比較するA/Bテストを行うことで、最も効果的なUIを見つけることも可能です。ユーザーのフィードバックを反映しながら改善を繰り返すことで、長期的に利用されるアプリを構築できます。
改善の起点として見るべき数値は、起動回数、画面ごとの離脱率、主要機能の利用率の3つです。数値が落ち込んでいる画面を特定してから改善に着手すると、限られた工数でも効果を出しやすくなります。
数値だけで原因が分からない場合は、少人数でも実際に触ってもらう場を設けましょう。5人程度に使ってもらうだけでも、主要な問題の多くは見つかるといわれています。
関連記事:MAUとは?アプリのアクティブユーザー数の計算方法と増やし方を解説
アクセシビリティに配慮する
5つのポイントに加えて、近年重要度が増しているのがアクセシビリティへの配慮です。年齢や視力、身体の状態にかかわらず使える設計にしておくことで、対象となる利用者の幅が広がります。
デジタル庁は行政官や事業者向けに「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」を公開しており、代替テキストの付与、キーボード操作への対応、文字と背景の十分なコントラスト確保といった具体的な観点を挙げています(参考:ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック|デジタル庁)。
配色の具体的な基準も公開されています。デジタル庁デザインシステムでは、テキストは背景色に対してコントラスト比4.5:1以上、大きなテキストや文字画像は3:1以上を確保するとされています(参考:カラー(アクセシビリティ)|デジタル庁デザインシステム)。淡いグレーの文字を背景に重ねる表現は、この基準を下回りやすいので注意しましょう。
なお2024年4月の改正障害者差別解消法の施行により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました。アプリのアクセシビリティ対応も、デザインの好みではなく事業者として取り組むべき課題になりつつあります。
アプリUIデザインを進める4つのステップ
1.目的とターゲット、主要導線を決める
最初に決めるのは、「誰の、どんな行動を、どれだけ楽にするアプリなのか」です。ここが曖昧なまま画面を作り始めると、後から機能が増え続けて収拾がつかなくなります。
店舗アプリであれば、来店頻度を上げたいのか、レジのオペレーションを短縮したいのかで、最優先で置くべき機能が変わります。目的を1つに絞り、それを支える主要導線を3つ程度に決めてから次に進みましょう。
2.ワイヤーフレームで画面構成を固める
次に、色や画像を使わない状態で画面の骨組みを作ります。これがワイヤーフレームです。ボックスと文字だけで構成するため、レイアウトと情報の優先順位に議論を集中できます。
この段階では、画面遷移図もあわせて作成しておきましょう。どの画面からどの画面へ移動できるのかを一覧にしておくと、行き止まりになる画面や、戻る手段のない画面を早い段階で発見できます。
3.デザインとプロトタイプで操作感を確認する
骨組みが固まったら、配色やフォント、アイコンを当てて実際の画面デザインに落とし込みます。同時に、タップすると画面が切り替わる簡易的なプロトタイプを用意すると、実装前に操作感を確認できます。
プロトタイプの段階で関係者に触ってもらうことが重要です。実装後の修正はコストが大きくなるため、指摘は早いほど費用面でも有利になります。
4.リリース後にテストと改善を回す
リリースはゴールではなく起点です。実際の利用データが集まったら、想定した導線どおりに使われているかを確認し、ずれている箇所から順に手を入れていきます。
改善は一度に多くを変えず、変更点を絞って効果を確かめる進め方が確実です。変更した日付と内容を記録しておくと、数値の変化と施策の関係を後から検証できます。
関連記事:アプリマーケティングのKPIとは?ダウンロード数など主要指標の見方と設定のコツを解説
アプリUI/UXでよくある失敗と対策
機能を詰め込みすぎて何のアプリか分からなくなる
もっとも多い失敗が、社内の要望を積み上げた結果、ホーム画面にボタンが並びすぎて主要機能が埋もれるパターンです。機能が多いことと使いやすいことは別だと考えましょう。
対策としては、ホーム画面に置く機能を最初は3〜5個までに制限することです。利用データを見ながら追加を判断すれば、必要とされていない機能を増やさずに済みます。
社内用語や専門用語をそのまま画面に使う
メニュー名に社内でしか通じない呼称を使ってしまうと、ユーザーはどこに何があるのか判断できません。「マイページ」「特典」といった表現も、店舗によって指す内容が異なるため注意が必要です。
迷ったら、ユーザーが実際に口にする言葉を選びます。「クーポン」「ポイント」「会員証」のように、日常的に使われている言葉のほうが迷いは少なくなります。
画面ごとにデザインルールがそろっていない
ボタンの色や角の丸み、余白の取り方が画面ごとに違うと、ユーザーは押せる場所を毎回判断し直すことになります。細かい違いの積み重ねが、使いにくさとして体感されます。
対策は、色・文字サイズ・余白・ボタン形状のルールを一覧にまとめ、その範囲内でデザインすることです。ルールを先に決めておけば、後から画面を追加するときも判断に迷いません。
関連記事:店舗アプリの主要機能と導入事例|集客・売上アップにつながる活用術を解説
自社で対応するか外部に依頼するかを決めておく
UIの見直しは、文言やボタン配置の調整であれば管理画面から自社で対応できる範囲です。一方で画面構成そのものを組み替える場合は、設計から実装まで一定の工数が発生します。
外部に依頼する場合は、対応範囲が「デザイン制作まで」なのか「実装と運用改善まで」なのかを最初に確認しておきましょう。範囲が曖昧なまま進めると、追加費用が積み重なる原因になります。
関連記事:アプリ開発を依頼するには?依頼の流れや開発費用、事前に決めておくべきこと
2026年最新アプリデザイントレンド
ここからは、実際に使われているアプリの画面設計から、いま評価されているUIの傾向を見ていきます。いずれも規模の大きなサービスですが、考え方自体は店舗アプリにも応用できます。
PayPay
キャッシュレス決済アプリの代表例であるPayPayは、最短操作で決済できるUI設計を徹底している点が特徴です。アプリを起動するとすぐに支払い用バーコードが表示されるため、ユーザーは画面遷移をせずに即座に決済が可能です。またホーム画面には残高やポイント、キャンペーン情報などが整理された状態で表示されており、必要な情報へワンタップでアクセスできます。視認性の高い配色と余白を活かしたミニマルなデザインにより、情報量が多くても直感的に理解できるUIとなっています。金融・決済アプリに求められる「速さ」「分かりやすさ」「安心感」を高いレベルで実現した代表的なUI事例と言えます。
TikTok
TikTokはコンテンツ中心の没入型UIを代表するアプリです。アプリを起動するとすぐに動画が全画面表示され、ユーザーはスワイプするだけで次々とコンテンツを閲覧できます。メニューやボタンは最小限に抑えられ、動画視聴を妨げない設計になっています。またいいね・コメント・共有などの機能は画面端に整理されて配置されており、片手操作でもスムーズに利用可能です。ユーザーの操作を最小限にしながらコンテンツ消費を最大化するUI設計は、多くのアプリ開発に影響を与えています。
Starbucks(スターバックス公式アプリ)
スターバックス公式アプリは、店舗体験とデジタル体験を融合したUIが特徴です。ホーム画面からモバイルオーダー、ポイント確認、支払い機能へ直感的にアクセスできる設計となっています。特にモバイルオーダー機能では商品選択から注文完了までの操作がシンプルに設計されており、ユーザーの負担を軽減しています。また購入履歴やおすすめ商品が表示されるパーソナライズUIにより、利便性と購買促進を両立しています。実店舗を持つ企業のアプリUIとして、顧客体験の向上と売上促進を同時に実現している優れた事例です。
店舗アプリが取り入れやすいUIの工夫
3つの事例から店舗アプリに応用しやすいのは、まず起動直後に「今すぐ使うもの」を出すという考え方です。PayPayのバーコードにあたるのは、店舗アプリでは会員証やその日使えるクーポンでしょう。
次に、TikTokのように操作を最小限にする発想です。トップ画面をスクロールするだけで新着情報とクーポンが確認できる構成にしておけば、目的がなくても開いてもらいやすくなります。
そしてスターバックスの例のように、アプリ内の操作と店舗での行動をつなげておくことも大切です。モバイルオーダーや取り置き、来店予約など、来店時の行動が楽になる機能はアプリを開く理由そのものになります。
いずれも大がかりな機能追加を伴うものではありません。既存の機能をどう並べ替えるかという視点でも、体感的な使いやすさは十分に改善できます。
関連記事:アプリのインストール数を増加させる方法|ダウンロード促進の準備・事例・ASO対策まで解説
まとめ
今回は2026年最新のアプリデザインのトレンドについて、UI/UXを絡めながら解説しました。ユーザーがアプリに慣れた影響もあり、現在ではフラットデザイン系のアプリデザインが主流となっています。ただし今後はVR(仮想現実)の普及も進んでいるため、アプリメニューや画面が宙に表示されたり、ユーザーが3Dでお店の内観を確認できたりと、新しいデザインや機能が登場する可能性もあります。アプリデザインの変遷に常に気を配り、トレンドに合わせたアプリ制作ができるよう準備を怠らないことが重要です。
弊社自店舗アプリ制作サービス「店舗アプリ」では、アプリのカスタマイズなど、トレンドに合わせたアプリデザインの実装が簡単にできます。コストも安く抑えられるので、気になる方はぜひお問い合わせください。
あらためて整理すると、アプリUIで押さえるべきなのは「迷わせない」「待たせない」「そろえる」の3点です。導線を短くし、表示を分かりやすくし、画面ごとのルールを統一するだけでも、体感的な使いやすさは大きく変わります。
そして、トレンドを追いかけること自体が目的にならないよう注意しましょう。判断に迷ったときは「この変更でユーザーの目的達成が早くなるか」に立ち返れば、流行に左右されずに済みます。
デザインの見直しには当然コストもかかります。全面的な作り替えを検討する前に、費用の相場と自社で対応できる範囲を把握しておくと、判断がしやすくなるでしょう。
関連記事:アプリ開発の費用相場はいくら?内訳・人月の計算方法とコストを抑える方法を解説
この記事を監修した人
店舗アプリ公式。累計1,000社以上の導入実績を誇る店舗アプリ構築プラットフォーム。 単なる集客に留まらず、リピーター創出による売上最大化を得意としている。
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