アプリのセグメント配信でリピート集客効果とロイヤリティを向上。手順やユーザー属性も解説
セグメント配信は従来メールマーケティングで使われる言葉でしたが、現在では似たような性質を持つコンテンツであるプッシュ通知が登場したことで利用機会が増えました。今ではアプリを使ったプッシュ通知のセグメント配信効果がどのくらいになっているのか、などを考える機会が増えていることでしょう。
セグメント配信は顧客属性に応じて適切な情報を届けるために必要です。ただしその分析や配信内容の調整・実際の配信などをすべて手作業でやるのは現実的ではなく、実際にはツールを導入して負担削減を行うことになります。
今回はセグメント配信のメリットや注意点などを総合的に解説していきます。
目次
セグメント配信とは?
セグメント配信とは「顧客属性に基づきパーソナライズな情報配信を行うための手法・施策」です。
顧客の属性は1つ1つ異なります。たとえば性別や年齢はもちろんのこと、住んでいる地域まで考えるとさまざまなグループを考えることができるでしょう。また他にも
- 趣味
- 来店回数
- 購入頻度の高い商品
といった項目まで考えるとそのグループパターンは一気に増加します。
こういったグループパターンを自店舗で分析したいケースに上手く分けながら、グループごとにどうやって配信内容を変更・調整して適正化するのかがセグメント配信のポイントです。
セグメント配信が広まっている理由
セグメント配信が広まっているのは、次のような理由があるからです。
競合が増えてブランド力の強化が必須になった
以前はマスメディア的に層を特に分けず、複数のターゲットユーザーへランダムに情報を送信するのが普通でした。しかし似通った製品や競合店舗が増加する中、マスメディア的なマーケティングのコスト効果や販促効果が薄くなっています。
現代で積極的に選ばれるお店にするためには、このお店だから来店したい・するというきっかけ作りが必要です。それにはロイヤリティを創出して顧客を引き込むためのブランド力強化がカギとなっています。
ブランド力を強化するためには、顧客属性に合わせて有益な情報を適切なタイミングで送信することが重要です。
このため情報を適正化するセグメント配信の重要度が上がっています。
メールだけでなくプッシュ通知でも考える必要性が出てきた
セグメント配信が必要であったのは、従来メールでした。メールにおいては到達したメールがしっかり埋もれずに読まれるように、タイトルや概要などを工夫する必要があったからです。このため一斉配信パターンとセグメント配信パターンを併用しながら販促するのが今でもメールマーケティングの基本となっています。
しかし現在では、メールに取って代わる能力があるプッシュ通知が登場しました。プッシュ通知は今や日用品となったスマートフォンへ情報を送信するための基本的なコンテンツとなっており、開封率などの平均値はメールを超えています。ただしプッシュ通知でもメールと同じく到達した後のタイトルや概要を工夫しないと、スワイプされてあっさり消されてしまうといった課題が発生しているのがポイントです。
このためメール分野だけでなくプッシュ通知の分野でもセグメント配信を検討する必要性が出てきており、その活用範囲は広まりました。
実現するツールが多様化して増加した
セグメント配信の課題は、手作業で実現するのが難しいという点です。
なぜならば顧客属性を収集するだけでなく、それをグループに分けながら分析して問題点を洗い出し、コンテンツをグループごとに制作して配信までする必要があるからです。スキルがない担当者がこれをすべてこなすのはまず無理ですし、人手をある程度用意してもスピーディーな工程を実現するのは手作業だと難しくなっています。
しかしこの課題をツールが解決してくれました。
たとえば代表的なツールであるMAはCRM機能を使った現在の顧客属性管理だけでなく顧客レベルの洗い出しや配信内容の調整・タイミングを事前設定したコンテンツの自動配信までを一気にやってくれます。他にもCRMに特化したツールなど、セグメント配信をサポートするさまざまなツールが登場しています。これによってセグメント配信を実現する煩わしさがなくなり、手法が広がるきっかけを作りました。
セグメントに応じたプロモーションの具体例
セグメントに応じたプロモーションの具体例として、次のような理由が考えられます。
業種
たとえばIT業ではPC・周辺機器は必須ですし、小売店舗ではPOSレジや看板といった製品が必要です。こういったように業種ごとにセグメントを行いプッシュする製品を決めるセグメント配信手法は、ECサイトなどでよく行われています。
上記の場合IT業ではPCやIT関連機器に絞って配信を行い、また小売店舗ではレジ関連備品や看板などの最新製品を配信することで適切な販促が可能です。
BtoBなどを意識する場合は一度商品が購入されるとその価格が大きい・あるいは大量購入が起きやすいので、こういった販促すべき商品をセグメント配信で変更するのが重要になってきます。
購買情報
BtoBでなくても、BtoCといった通常顧客をターゲットにしたマーケティングでもセグメント配信は重要です。
たとえば週に1回買い物を最近している顧客に対して、次週以降も継続して買い物してもらえるようによく購入しているジャンルの値引クーポンをプレゼントする配信を行う事例などが考えられます。また購買行動においてカートに入れたままの状態が続いている場合は、リマインドメールを送信するようにセグメント設定することで買い忘れといった機会損失を防止することが可能です。
このように通常顧客の定着にもセグメント配信が重要になってきます。
アプリのセグメント配信で期待できるメリット
アプリのセグメント配信では、次のようなメリットを得られます。
コンバージョン率アップ
コンバージョン率とは成約率のことであり、マーケティング目標によってその基準は異なります。一番わかりやすいのは購入完了ですが、それだけでなく
- 指定ページへの到達率
- 一定期間の来店回数
- 資料のダウンロード達成
といったさまざまな状況にコンバージョンが割り振られ数値測定されるのがポイントです。
セグメント配信を行うことで、効率よくターゲットを指定のコンバージョンへと誘導することが可能です。
たとえば指定EC商品ページを見せたいときは、そのターゲットになっている顧客層を絞り出して商品内容や特徴、なぜその層へおすすめなのかなどを入れ込んだコンテンツをURLリンク付きで作成して配信を行います。そうすることで無理なくコンバージョンを達成することができるようになるでしょう。
リピーターの確保
単に一斉に伝えたい内容を送信するだけだと、顧客は離脱していきます。たとえば「20代男性におすすめの化粧品」を40代の男性や30代の女性などターゲットではない層にまで届けてしまうと、適正な配信ができないお店だと判断されてしまうでしょう。これで競合がパーソナライズ配信に成功していたら、そちらに顧客を取られる恐れまであります。
ブランド力を向上させてリピーターを確保するためには、「お店が自分の趣味や購入傾向・今欲しいものなどを適切に理解している」という評価を受けられるように施策を行う必要があるでしょう。
それには顧客を事前に属性ごとに分析して配信内容を適正化するセグメント配信が必要不可欠です。そうすることで顧客ロイヤリティが向上して積極的に選んでもらえるお店作りができるようになりますし、ブランド価値が上がっていきます。
セグメント配信によって適切な内容を都度届けるだけでも、ブランド力向上につながるのでぜひ配信を怠らないようにしてみてください。
アプリからの離脱・アンインストール率の低下
セグメント配信によってブランド力を向上させて顧客ロイヤリティをアップするだけで、プッシュ通知の利用率低下やアプリ離脱などの課題も解決することができます。
今やスマートフォンユーザーは複数のアプリを使い分けて行動しています。スマートフォン内部の容量は限られており、アプリの場合オンラインストレージにいったん移動させて容量確保することもできないので使わないアプリはすぐに消去されてしまいます。いったん消去されると再インストールさせるのにはかなりの手間が掛かるでしょう。またアンインストールされなくてもアプリをしばらく使わなくなりホーム画面からショートカットを削除される、といった課題が発生することもあります。さらにプッシュ通知の内容が間違っていると、設定画面からOFFにされて不達になるリスクもあるでしょう。
こういった状況を防ぐためには、適切な配信をセグメントにて行うとよいでしょう。
高ランクのリピーターほど配信内容を増やしたり、今からリピーターになりそうな顧客には配信内容を絞って情報を伝えるなどの工夫をすることで利便性の高いアプリとして認識されやすくなります。
そうすると当然アンインストールなどの問題を回避できます。
アプリにおけるセグメント配信の手順
アプリにおいては次のような手順でセグメント配信を行いましょう。
1.顧客の情報を収集する
まずは配信のグループ分けをするために、必要な情報を収集していきます。
たとえばアプリに初回登録機能があれば、後ほどアプリサービスのCRM機能から登録情報を確認することができます。性別や年齢、住んでいる地域やお気に入り店舗などの情報はここから取得できるでしょう。
また購入関連の情報は、POSレジとポイントカードサービスなどを連携させることで収集できます。ユーザーが店内で提示したポイントカードのバーコードを読み取って購買履歴を記録、何を購入したのかなどを収集することで購入傾向などでのセグメント分けが簡単になります。
2.顧客情報と行動データを紐づけて分類(セグメンテーション)する
続いては収集できた顧客情報と行動データを紐づけていきます。
たとえば20代男性が12時~13時ごろにアプリを開いて情報をチェックしている場合は、仕事の昼休み中などにアプリから情報を収集している可能性があります。この時間帯が狙い目だと分かれば、新商品情報などを12時~13時に定期配信すれば高い開封率や購買促進力を維持することができるでしょう。
また30代女性がEC機能で化粧品をよく16時ごろに確認していれば、夕方ごろに休みを取って情報収集していると判断して16時ごろにターゲットに合いそうな化粧品情報を提示することが可能です。このように顧客データをもとにセグメンテーションする際は、分析ツールが導入されていると楽です。
3.セグメント配信を行う
続いては実際のセグメント配信を行っていきます。
内容を検討する際は、
- プッシュ通知の内容がくどくて面倒なものになっていないか
- ターゲットユーザーが自分あてのメッセージだと見てすぐ分かる内容になっているか
- ターゲットユーザーにとって有益な情報だと認識される内容を紹介できているか
といった点で文面やリンク先などを見直してみるとよいでしょう。
プッシュ通知はすぐに消せますし、ホーム画面を占有するので表示された際に煩わしいと思われるリスクがあります。そこで直感的に有益で自分あてとわかるメッセージにすることで、閲覧直後に詳細が開かれるようなプロセスを作り出せるように工夫するとよいです。
4.配信の効果を測定する
セグメント配信は行って終わりではありません。今後も継続して配信するものなので、コンバージョン率や開封率などの測定を配信後にデータ収集して行うのが重要です。
効果測定の結果、
- 思ったよりプッシュ通知のタップ率がよくない
- タップした後のリンクページの滞在率・購入率が目標に行っていない
といった課題が発見できた時は、グループ分けや配信内容の改善を行う必要があります。それによってより効果の高い配信ができるようになるでしょう。
また試したい文面等のパターンが複数ある際は、異なる部分以外の状況(配信タイミングやターゲットユーザーなど)はいっしょにしてABテストで検証するのが基本です。
セグメント配信を行えるプラットフォームは?
セグメント配信では、次のようなプラットフォームが有名です。
LINE公式アカウント(プロ)
LINE公式アカウントではセグメント配信を、「絞り込み機能」を使うことで実行できます。
- 属性:友達登録日数などでセグメント
- オーディエンス:LINE IDなどでセグメント
の2種類を使うことで、指定のターゲットユーザーへ配信を行うことが可能です。
ただしLINE公式アカウントへ友達登録する必要があり、有料プランでないと機能が利用できない弱点があります。また友達の人数が100~10万人でないと利用不可といった制限もあるので柔軟性が低い点もネックとなるでしょう。
アプリ開発サービス
アプリプラットフォームという、アプリを1からノーコードで制作できるサービスを使う手もあります。アプリプラットフォームにセグメント配信機能が利用できると書いているか確認する必要はありますが、基本的にはどのプラットフォームにも標準装備されていると思ってよいです。
アプリプラットフォームでセグメント配信を行うと、友達人数に関係なく利用ができますし、取得して分析可能なデータもカスタマイズできます。
搭載までに少し手間が掛かるかもしれませんが、手法をなるべく確実に成功させたい場合は柔軟性の高いアプリプラットフォームにてセグメント配信を利用するのがおすすめです。
セグメント配信にも対応できるアプリ作成プラットフォームなら「店舗アプリDXraiten」
店舗アプリDX版 raitenでは、手軽に、
- マーケティングオートメーション
- プッシュ通知
- CRM
といった顧客データ活用に関する機能を利用可能です。
集まったデータを時間軸といった基準で分かりやすくビジュアル表示してくれます。またそういった分析結果をプッシュ通知へ反映させて素早くメッセージを送るのも簡単です。
気になる方はこちらを参考にしてみてください。
まとめ
今回はセグメント配信のメリットや注意点などを総合的に解説してきました。
セグメント配信を活用すると、確実にアプリを利用してもらえるような状況を作ってアプリマーケティングを成功させられます。ただし手作業で実現するのは難しいので、必ずMAやCRMといった機能が搭載されているツールを導入してみましょう。
セグメント配信のカスタマイズが重要な場合は、ノーコードでアプリを自作できるアプリプラットフォームがおすすめです。