インハウスアプリとは?自社専用アプリの仕組みやメリット・デメリット・開発方法・活用シーンを徹底解説
業種全般
インハウスアプリとは、企業や店舗が自社専用で開発・運用するアプリのことです。社内の業務効率化や顧客接点の強化を目的に、自社のニーズに合わせた機能を搭載できる点が特徴で、近年導入する企業が増えています。
総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、スマートフォンを保有している世帯の割合は91.8%にのぼり、テレビの保有割合を上回りました。社員も顧客も日常的にスマホを手にしている今、自社専用のアプリは情報を届ける手段として現実的な選択肢になっています。
本記事ではインハウスアプリの仕組みやメリット、開発方法の選び方、従来の情報発信手法と比較した強みまでをわかりやすく解説します。インハウスアプリの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
インハウスアプリとは
企業が自社専用で開発・運用するアプリのこと
インハウスアプリとは、企業や店舗が自社の業務効率化や顧客接点の強化を目的に、自社専用で開発・運用するアプリのことを指します。「インハウス」には「自社で」「社内で」といった意味があり、一般ユーザー向けに広く配信されるSNSや汎用アプリとは異なり、業務フローや顧客属性、自社サービスに最適化されている点が特徴です。
「専用アプリ」や「企業専用アプリ」「自社アプリ」と呼ばれることもあり、いずれも特定の企業や店舗のためだけに作られたアプリを指す点は共通しています。
なお開発の現場では、App Storeなどで一般公開せず、社内の従業員だけに配布するアプリを指して「インハウス(In-House)アプリ」と呼ぶ場合もあります。本記事では、社内配布に限ったアプリだけでなく、顧客向けに公開する自社専用アプリも含めた広い意味でインハウスアプリを扱います。
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社内向けと顧客向けの2種類に分けられる
インハウスアプリは大きく分けて、社内向けに利用される業務支援アプリと、顧客向けに提供される店舗・会員アプリの2種類があります。たとえば在庫管理や勤怠管理などを効率化する社内アプリ、来店促進やリピーター育成を目的とした店舗アプリなどが代表例です。
自社の課題や目的に合わせて機能を設計できるため業務効率の向上や顧客体験の最適化につながりやすい一方で、開発・運用には一定のコストや体制整備が求められます。そのため導入を検討する際は目的や運用体制を明確にしたうえで判断することが重要です。
社内向けアプリと顧客向けアプリの違い
社内向けと顧客向けでは、利用者も目的も異なります。どちらを作るのかによって必要な機能や配布方法が変わるため、最初に整理しておきましょう。
|
比較項目 |
社内向けアプリ |
顧客向けアプリ |
|---|---|---|
|
利用者 |
社員・アルバイト・店舗スタッフ |
来店客・会員・見込み客 |
|
主な目的 |
情報共有、業務効率化、ペーパーレス化 |
来店促進、リピーター育成、ブランディング |
|
代表的な機能 |
お知らせ配信、マニュアル閲覧、アンケート、安否確認 |
クーポン、スタンプ・ポイント、会員証、プッシュ通知 |
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配布方法 |
社内限定の非公開配布、端末管理ツール(MDM)経由 |
App StoreやGoogle Playでの一般公開 |
|
成果の指標 |
既読率、問い合わせ件数の減少、作業時間の短縮 |
ダウンロード数、来店頻度、クーポン利用率 |
既製アプリや一般公開アプリとの違い
チャットツールやグループウェアのような既製アプリは、多くの企業が共通で使えるように作られています。導入は早い反面、画面構成や機能を自社の業務に合わせて変えることはほとんどできません。
一方、インハウスアプリはメニュー構成やデザイン、掲載する情報を自社で決められます。既製アプリで足りる業務はそのまま任せ、自社ならではの情報発信や顧客対応の部分をインハウスアプリで補う、という使い分けが現実的です。
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インハウスアプリを活用するメリット
社内情報へのアクセスが簡単になる
インハウスアプリは社内ポータルサイトと同じように利用可能です。お知らせやイベント行事、社内アンケート、カタログ(製品紹介)、教育マニュアル、製品マニュアル、社内規定といったカテゴリーごとに情報を分けて提供することで、社内での情報共有を簡単に済ませられます。
また書類を確認したりダウンロードしたりできるようになれば紙で資料を持ち運ぶ必要がなくなり、社外に書類を置いてきてしまった場合でもアプリ内から書類データにアクセスしてトラブルを回避できます。ポータルサイトとは違いインハウスアプリであればオフラインでも見たい情報を閲覧できるのも便利な点です。
社内の情報伝達が確実になり効率的になる
インハウスアプリではプッシュ通知が可能です。伝えたい情報があるときにメッセージを作成すればその場で送信でき、しかもスマホにポップアップ表示されるので社員が情報を見損ねてしまう可能性も減少します。メールで情報共有すると重要な情報の見忘れなどリスクが付きまといますが、プッシュ通知で確実に届くようにしておくと安心です。
またアンケート機能を使ってスマホ画面内で簡単にできるアンケートを配布・回収することもでき、紙のアンケートよりも手軽で効率よくデータを収集可能です。災害時の安否確認などもアプリ内からできるようにすれば実用性がさらに向上します。
さまざまな企業情報をまとめて発信できる
企業専用アプリを使うと、プレスリリース情報、事業紹介、カタログ、求人情報など各情報をまとめて発信できます。コーポレートサイトと同じような使い方ができるうえに、オフラインでも情報確認が可能です。オンライン状態からオフラインになっても情報閲覧を継続できるので、ユーザーの離脱を防ぐ効果も期待できます。
スマホに最適化されたデザインにできる
企業専用アプリであれば最初からスマホで操作されることを前提としているためデザインが崩れません。企業サイトの中にはスマホ最適化されず放置されているところも多いですが、Googleがモバイルファーストの理念を掲げている現状を踏まえるとスマホへのデザイン最適化は重要です。
アプリであればお知らせやイベント行事、カタログ、製品マニュアル、求人募集などの情報を効率よく整理してスマホに最適なデザインで提示できます。ユーザーのスマホをタッチポイントにして効率よく自社のブランディングを行いたい場合は、スマホに常駐してスムーズな導線を貼れるアプリがおすすめです。
自社の業務や顧客に合わせて機能を設計できる
インハウスアプリは、必要な機能だけを選んで搭載できます。たとえば多店舗展開の企業なら店舗別のお知らせ配信、飲食店なら予約とクーポン、といったように業態に合わせた構成が可能です。
使わない機能が並ばないぶん画面がすっきりし、社員や顧客が迷わず操作できるようになります。運用を続けるなかで機能を追加・変更しやすい点も、自社専用アプリならではの利点です。
利用データを自社で蓄積し改善に活かせる
アプリを通じて、プッシュ通知の開封状況やクーポンの利用回数、よく見られているページといったデータが自社に蓄積されます。SNSや外部のポータルサイトでは、こうしたデータを細かく取得することは困難です。
蓄積したデータをもとに配信の時間帯や内容を見直せば、情報発信の精度を少しずつ高められます。顧客向けアプリであれば、来店頻度に応じた特典の出し分けなど、リピーターづくりの施策にもつなげられます。
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インハウスアプリのデメリットと注意点
メリットの多いインハウスアプリですが、導入前に把握しておきたい注意点もあります。代表的な4つを見ていきましょう。
開発と運用にコストがかかる
ゼロから開発する場合、設計・開発・テストの各工程で費用が発生し、公開後もサーバー費用や保守費用がかかり続けます。初期費用だけで判断せず、数年単位の運用費まで含めて予算を見積もることが大切です。
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OSのアップデートに対応し続ける必要がある
iOSやAndroidは毎年大きなアップデートが行われます。古い仕様のままのアプリは、表示が崩れたり起動しなくなったりするおそれがあります。
アプリは作って終わりではなく、OSの更新に合わせて改修を続ける前提で体制を組んでおきましょう。プラットフォーム型のサービスであれば、OS対応は提供会社側で行われるため自社の負担を減らせます。
社員や顧客に使われなければ効果が出ない
アプリを公開しても、インストールされず開かれなければ情報は届きません。社内向けなら入社時の案内や朝礼での周知、顧客向けなら店頭POPやレジでの声かけ、初回特典の用意など、使い始めてもらうための工夫が欠かせません。
公開後の告知と、継続して開いてもらうための配信計画をセットで考えておくと定着しやすくなります。
情報管理とセキュリティの体制が求められる
社内向けアプリには社内規定やマニュアル、顧客向けアプリには会員の個人情報が含まれます。退職者のアカウント停止、閲覧権限の設定、端末紛失時の対応手順など、運用ルールをあらかじめ決めておく必要があります。
個人情報を扱う場合は、プライバシーポリシーの整備や取得する情報の範囲の明示も必要です。
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インハウスアプリの活用シーン
多店舗・チェーン企業での本部と店舗の情報共有
本部からの販促指示や売場づくりのマニュアル、キャンペーン情報を全店舗に一斉配信できます。紙の通達やFAXと比べて伝達の抜け漏れが減り、店舗ごとの対応のばらつきを抑えられます。パート・アルバイトを含むスタッフ全員のスマホに届けられる点も強みです。
営業や現場スタッフの資料閲覧
製品カタログや価格表、施工マニュアルなどをアプリにまとめておけば、外出先や電波の届きにくい現場でもすぐに確認できます。資料を差し替えるだけで全員の手元の情報が最新になるため、古い資料を使ってしまうミスも防げます。
店舗の会員証・クーポン・ポイントカード
顧客向けでは、紙のポイントカードや会員証をアプリに置き換える使い方が広がっています。来店時にアプリを開く習慣ができれば、クーポンや新商品のお知らせも自然と目に入るようになります。店舗アプリで利用できる機能は機能一覧で紹介しています。
採用活動や企業ブランディング
会社紹介や社員インタビュー、求人情報をアプリにまとめ、説明会の参加者や内定者に案内する活用方法もあります。選考の案内をプッシュ通知で届けられるため、メールの見落としによる連絡漏れを減らせます。業種ごとの実際の活用例は導入事例もあわせてご覧ください。
インハウスアプリの開発方法
自社内で開発する方法
社内にエンジニアやデザイナーが在籍している場合は、要件定義から開発、リリース後の運用・改善までをすべて内製で進められます。ノウハウが社内に蓄積されやすく細かな仕様変更にも柔軟に対応できる点は大きなメリットです。
一方で人件費や運用負荷が高くなりやすく、継続的なリソース確保が前提となるため体制が整っていない企業にとってはハードルが高い選択肢と言えるでしょう。
外部の開発プラットフォームを活用する方法
エンジニアリソースが限られている場合やスピーディーにアプリを導入したい場合には、アプリ開発プラットフォームの活用も有効です。あらかじめ必要な機能が用意されているため開発期間やコストを抑えながら自社主導での運用が可能になります。
たとえば「店舗アプリ」はクーポン配信や会員管理、プッシュ通知など店舗運営に必要な機能を備えたアプリを自社で管理・運用できるサービスです。外注開発と比較して初期費用を抑えやすく改善や施策をスピーディーに実行できる点は、インハウスアプリを検討する企業にとって現実的な選択肢と言えるでしょう。
開発会社に外注する方法
社内に開発体制がない場合は、アプリ開発会社に依頼する方法もあります。要件に合わせて一から設計できるため、独自性の高い機能や既存の基幹システムとの連携にも対応しやすい方法です。
ただし費用は高額になりやすく、公開後の改修のたびに見積もりと発注が必要になります。依頼先を選ぶ際は、実績だけでなく公開後の保守体制まで確認しておきましょう。
関連記事:アプリ開発会社の選び方とは?依頼できることや費用相場・失敗しない発注のコツを解説
開発方法ごとの特徴を比較
3つの開発方法の特徴を表にまとめました。自社の人員や予算、公開までに使える期間を基準に選ぶと判断しやすくなります。
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比較項目 |
自社内で開発 |
開発会社に外注 |
プラットフォームを活用 |
|---|---|---|---|
|
初期費用 |
人件費が中心で高くなりやすい |
高くなりやすい |
抑えやすい |
|
公開までの期間 |
長い |
長い |
短い |
|
機能の自由度 |
高い |
高い |
用意された機能の範囲内 |
|
OS更新への対応 |
自社で対応 |
保守契約で対応 |
提供会社が対応 |
|
向いている企業 |
開発チームを継続して確保できる企業 |
独自機能やシステム連携が必要な企業 |
早く低コストで始めたい企業・店舗 |
インハウスアプリの配布方法
アプリは作るだけでなく、利用者の端末に届ける方法も決めなければなりません。社内向けと顧客向けでは配布の仕組みが異なります。
社内向けアプリは非公開で配布する
社内向けアプリは、関係者以外がインストールできないよう非公開で配布するのが基本です。iOSの場合、Apple Developer Programで作成したアプリを自社だけに限定して配布する「カスタムApp」と、Apple Developer Enterprise Programを利用した社内配布の2つの方法があります。
後者は従業員100名以上の法人であることや審査の通過が条件となっており、Appleも多くの組織にはカスタムAppの利用を案内しています。Androidの場合は、managed Google Playの限定公開アプリとして配布する方法が一般的です。
いずれも端末管理ツール(MDM)と組み合わせると、社用端末への一斉インストールや更新がしやすくなります。
参考:Apple Developer Enterprise Program(Apple Developer)
顧客向けアプリはアプリストアで公開する
顧客向けアプリは、App StoreとGoogle Playで公開する方法が一般的です。公開にはそれぞれのストアの審査を通過する必要があり、申請から公開まで一定の日数がかかります。
キャンペーンや店舗のオープン日に合わせて公開したい場合は、審査期間を見込んで余裕のあるスケジュールを組んでおきましょう。
関連記事:ネイティブアプリ開発とは?Webアプリとの違い・メリットとデメリット・費用相場を解説
企業が行っている従来の情報発信方法との比較
お客様向けの情報発信方法
お客様向けの情報発信には、ホームページへの情報掲載、プレスリリースサイトの活用、SNSでの投稿、メルマガ配信といった方法があります。ホームページは企業の顔として信頼度向上に寄与しますが、競合が多い中でSEO対策を行いながら流入数を増やすには大きな労力がかかります。
プレスリリースサイトはメディア関係者への情報共有に有効ですが、掲載されるかどうかは自社側ではコントロールできません。SNSは拡散力がある一方で炎上リスクへの配慮が必要です。
メルマガは歴史のある手法ですが、他のメールに埋もれてクリックすらされない可能性もあり、開封率の低下が課題となっています。インハウスアプリであればプッシュ通知で確実に情報を届けられるうえ、スマホに常駐するため継続的な顧客接点を確保できます。
社内向けの情報発信方法
社内向けの情報発信には、社員専用サイトの活用、メール送信、チャットワークやSlackなどのビジネスチャットツールの利用といった方法があります。社員専用サイトは情報を統合して掲載できますが管理が行き届かないと情報が錯綜する恐れがあります。
メールはその場で送信できますが大人数への発信では手間がかかり、宛先間違いのリスクもあります。ビジネスチャットツールは掲示板形式で時系列の確認が容易ですが、重要な情報がチャット欄に埋もれやすいデメリットがあります。
インハウスアプリであればプッシュ通知で確実に情報を届けられるほか、オフラインでも閲覧可能な点やアンケート機能による効率的なデータ収集など、従来の手法にはない強みを発揮します。
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インハウスアプリ導入の進め方
目的と利用者を明確にする
まず「誰に」「何のために」使ってもらうアプリなのかを決めます。社内の連絡漏れをなくしたいのか、来店頻度を上げたいのかで、必要な機能も成果の測り方も変わります。目的を1〜2個に絞ると、その後の機能選定や予算の判断がぶれにくくなります。
必要な機能を絞り込む
目的が決まったら、実現に必要な機能を洗い出します。最初から多機能にすると費用がふくらみ、利用者も使い方に迷いがちです。公開時は最低限の機能にとどめ、利用状況を見ながら追加していく進め方が失敗しにくい方法です。
開発方法と配布方法を選ぶ
予算・期間・社内の人員をもとに、内製・外注・プラットフォーム活用のいずれかを選びます。あわせて、非公開配布にするのかストアで公開するのかも決めておきましょう。開発の全体像を把握しておくと、発注先とのやり取りもスムーズに進みます。
関連記事:アプリ開発の流れとは?企画から公開までの8工程と発注側がやることを解説
運用担当者を決めて改善を続ける
公開後は、お知らせの配信や掲載情報の更新を担当する人を決めておきます。担当が曖昧なままだと更新が止まり、利用者が離れる原因になります。配信の頻度や内容を月単位で振り返り、反応のよかった施策を残していく運用が成果につながります。
関連記事:アプリ運用とは?保守との違い・業務内容・費用相場と成果を出す体制づくりを解説
まとめ
今回はインハウスアプリの仕組みやメリット、開発方法、従来の情報発信手法との比較などをご紹介しました。インハウスアプリには集客用の企業専用アプリと業務効率化用の社内アプリの2種類があり、それぞれの特性を理解し活用できれば集客や業務効率化が大きく改善されるでしょう。
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導入にあたっては、開発や運用のコスト、OSアップデートへの対応、配布方法といった注意点も事前に確認しておきましょう。目的と利用者を明確にし、自社の体制に合った開発方法を選ぶことが、インハウスアプリを定着させる近道です。
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