2019.07.25

軽減税率とは?飲食店舗は軽減税率を利用して集客できる?

私たちの生活で身近なものと言えば消費税。歴史ではまず3%の消費税が商品に付与され、次いで5%、今では8%と、徐々に上昇する傾向にあります。少子高齢化や人手不足などで政府が十分な資金を用意できず、消費税に国の予算を頼る状況は仕方のないことかもしれません。

しかし2019年10月には、さらに商品の基本税率が現在の8%から10%に引き上げられます。日々の暮らしにも大きな打撃があるでしょう。そして特に打撃を受ける可能性があるのが、飲食店です。

消費増税には特例があり、食料品などの一部商品の税率を8%に据え置く「軽減税率」が摘要されます。ですから「飲食店は食料品を提供しているわけだから、全てのメニューが軽減税率対象だろう」と思いたいですが、残念ながらそうではありません。

メニューの提供形態によって税率が変わってきます。そして税率10%と軽減税率8%が会計で混ざっている場合は、それが分かるように計算をしなくてはなりません。ですからレジを含めた、税に関するシステムの根本的なアップデートが必要です。

税率上昇後も飲食店が売上を維持していくためには、新メニューの開発など各対策を実施しないといけません。特に軽減税率が摘要されるテイクアウトメニューの充実は急務と言ってもよいでしょう。

そこで今回は軽減税率の概要について分かりやすく説明しながら、飲食店が軽減税率で受ける影響、軽減税率対応に向けての準備や効果的な施策などを幅広く解説していきます。

「税率上昇後に軽減税率を上手く利用して売上維持と拡大を図りたい」、「そもそも税率上昇や軽減税率にしっかり対応するにはどうしたらよいか分からない」という方はぜひご覧ください。

 

 

軽減税率ってなに?

 

軽減税率とは、2019年10月から実施される消費税10%への引き上げに関係した制度です。対象品目は税率が現時点での標準税率8%に据え置かれるので、新標準税率の10%がかかる品目に対して価格上昇を抑えられます。

軽減税率の対象となるのは、

  • 飲食料品(酒類などを除く)
  • 定期購読契約で提供される新聞(一般的社会事実を掲載する週2回以上発行されるもの)

の2品目です。ほとんどの商品は新標準税率の10%が摘要されるので、今までより販売価格が高くなってしまいますが、上記2品目に関しては税率が据え置かれるので、他商品に対して税率上昇による価格高騰を防げます。

ただし軽減税率は条件が複雑で、特に飲食料品の場合軽減税率が摘要されるものと、そうでないものが細かく分かれています。

例えば販売している飲食料品に対し、ドライアイスや商品包装などで別途サービス料金を取る場合、サービス料金としてのドライアイスや商品包装などは軽減税率の対象とはならず、税率が10%になります。ただしドライアイスや包装がすでに飲食料品の一部として組み込まれている場合(すでにパッケージングされて販売されている飲食料品など)、ドライアイスや包装も飲食料品といっしょに軽減税率が適用されます(「一体資産」としての飲食料品扱いになる)。

これはネットショッピングでも同じです。例えばネットショッピングで肉を販売している場合、送料を別途請求するスタイルの場合、送料はサービス扱いになるので軽減税率が摘要されません。しかし最初から肉の料金に送料が含まれている場合、送料も肉の一体資産とみなされ、軽減税率が摘要されます。

正直これだけでも十分区別がややこしいですね。そして飲食店の場合は店内飲食か、テイクアウトかで軽減税率の対象となるかならないかが分かれます。

 

 

飲食店には軽減税率適用でどのような影響があるのか?

 

飲食店の場合、店内での飲食は軽減税率の対象とはならず、税率が10%になります。ただし飲食店でテイクアウトメニューを提供している場合、テイクアウトメニューに対しては軽減税率の8%が摘要されます。

例えば焼肉弁当などを売り出している食堂があるとします。お客さんは食堂内に座ってご飯を食べる場合、税率10%分も含めて料金を支払わなければなりません(「ケータリング」サービスを使って、自宅で調理をしてもらい提供された料理も同じ)。

しかし食堂に入らず店頭でテイクアウトして焼肉弁当を購入した場合は、軽減税率8%を含んだ料金を支払えば済みます。またレジ周りで販売されている飲料なども軽減税率の対象です。(「ドギーバッグ(アメリカでは文化として根付いている、飲食の残りを持ち帰れるサービス)」を利用した場合はテイクアウト対象外)。

このように店内で食べるか、持ち帰って食べるかで税率が変わってきます。そして飲食店にとって悩みの種は、税率の違いについてもしっかり請求書に反映させなければならないことです。

2019年10月から軽減税率摘要に合わせて、飲食店などの事業者は請求書に、

  • 軽減税率の対象品目を明示
  • 新標準税率と軽減税率ごとに一旦料金合計を小計して表示

する必要があります(区分記載請求書等保存方式)。

このように仕入れなど、経営で発生するお金に関して税率ごとに区別して計算を行わなければならないのが飲食店の課題です。紙ベースで請求書などの記録をしている飲食店はかなり困るのではないでしょうか。そして2023年10月には、「インボイス制度」が始まります。

インボイス制度摘要後は、

  • 軽減税率の対象品目を明示
  • 新標準税率と軽減税率ごとに一旦料金合計を小計して表示
  • 税率ごとの消費税額なども入力
  • 課税事業者としての登録番号を入力

上記4つをクリアした請求書などを保存すれば、課税事業者は仕入税額控除の対象になります。

課税事業者としてコストを抑えるためにも、税率をしっかり区分できる環境を今のうちに整えておきましょう。

 

 

軽減税率対応に向けての準備

 

軽減税率に対応するために、飲食店はどのような準備を行えばよいのでしょうか。すでに説明したように、軽減税率摘要後は軽減税率対象品目と、そうでない品目を分けて請求書などを作成する必要があります。現在POSレジを導入している飲食店では、お会計時に軽減税率が摘要されるようにはなっていないところが多いはずです。

また受発注システムも軽減税率対応のアップデートが完了していない限り、そのまま使うわけにはいきません。ですから飲食店ではレジ周りなど、請求書に関係するシステムを軽減税率に対応できるようにアップデートする必要があります。大規模の飲食チェーンならば未だしも、中小規模の飲食店は費用がバカにならないので頭が痛いですよね。政府ではそんな飲食店のために、「軽減税率対策補助金」制度を設けています。

軽減税率対策補助金制度では、

  • A型:複数税率対応レジの導入等支援
  • B型:受発注システムの改修等支援
  • C型:請求書管理システムの改修等支援

の3タイプで中小規模の飲食店をサポートしています。

 

A型:複数税率対応レジの導入等支援

軽減税率に対応したPOSレジなどの導入や改修などに対して補助金が摘要されます。POSレジだけでなくPOS非対応レジ、券売機の新規導入や改修も含まれます。

 

B型:受発注システムの改修等支援

受発注システムの入れ替えや改修などを提供先のベンダーに発注・実施する際、かかる費用に補助金が摘要されます。システムのリースや、パッケージ製品を購入して自社運営している場合も対象です。

 

C型:請求書管理システムの改修等支援

請求書を管理するシステムの改修などに対して補助金が支払われるタイプです。指定のベンダーにシステムの改修や導入などを依頼する場合や、パッケージソフトウェアを購入し自社で請求書管理システムを運営している場合も対象です。またハードウエアと請求書管理システムが一体化している場合も補助金申請が可能。

 

「軽減税率に対応しないといけないのは分かっているけど、費用がかかるのでいまいち積極的に導入を進められない・・・」というケースに当てはまる飲食店の方は、軽減税率対策補助金制度を利用すれば、コストを抑えて複数税率に対応したシステムを構築することが可能です。

ただし各システムの改修や導入などは2019年9月30日まで終わらせ、2019年12月16日までに補助金を申請しないといけません。どちらにせよ軽減税率に対応したシステムを構築しなければいけないのですから、補助金が受け取れる今の内にシステム導入・改修を実行した方が得策です。

 

 

軽減税率対策に向けての施策

 

複数税率摘要後は、経営スタイルを全く変えない飲食店は売上が落ちる危険性もあります。ただしそういった飲食店に差をつけられるように各対策を打っておけば、むしろ今までよりも売上がアップするチャンスです。そこでここからは、税率引き上げ後も軽減税率を利用して飲食店の売上を安定・拡大させるための3つの施策をご紹介したいと思います。

 

テイクアウトメニューの新規導入、拡大

これから飲食店でまず実施したいのが、テイクアウトメニューの新規導入、拡大です。税率引き上げ後、店内飲食は軽減税率の対象となりませんが、テイクアウトメニューはスーパーの飲食料品と同じように軽減税率が摘要されます。ですから税率引き上げ後は、飲食店の売上におけるテイクアウトメニューの割合が増えると「商工会議所」などでも予想しています。

今までテイクアウトメニューを提供していなかった飲食店では、メニューを弁当にして売るなどテイクアウトメニューの提供を行えば、税率引き上げ後もテイクアウトメニューによる売上維持・向上を狙えます。またすでにテイクアウトメニューを提供していた飲食店でも、新しいテイクアウトメニューを出して充実させれば、今まで以上に売上が伸びる可能性がありますただしやみくもにテイクアウトメニューを提供しても売上は伸びません。

もう一度自店舗のターゲットユーザーを確認し、ターゲットユーザーにきちんと提供できるメニューを考える必要があります。

 

POSレジと自店舗アプリの連動により、各メニューの税率を分かりやすくする

現在大手チェーンを中心に、自店舗アプリを制作してリピート集客などにつなげるマーケティング手法が流行っています。またコストを抑えて自店舗アプリを提供するサービスも増えてきており、中小規模の店舗でも自店舗アプリを導入しているところが増えています。

POSレジと自店舗アプリを連携させ、どのメニューが税率10%なのか、そして軽減税率が摘要されるメニューはどれなのかお客様にはっきり分かる仕組みになっていれば、お客様の方でも各メニューの税率が一目で確認でき、「この店舗は親切なところだな」とブランディングにもつなげられます。そして一目でメニューの税率が分かれば、税率を考えるのがややこしくて離脱してしまうお客様の数を減らせます。

 

アプリのお持ち帰り機能を利用する

「テイクアウトメニューを出せば確かに店内飲食にこだわらず収益を出せるけど、行列などでお客様を待たせたら結局顧客損失につながるのでは」、「テイクアウトメニューは出したいが、事前に用意しておいておくと食材が痛みそうで衛生的にも心配・・・」そういった飲食店におすすめなのが、自店舗アプリの持ち帰り機能を利用する方法です。

自店舗アプリの持ち帰り機能は「スターバックスコーヒージャパン」など大手チェーンでは実装済みで、店舗側ではアプリでお客様が注文した内容に応じて、事前にメニューを用意できます。お客様側からも来店したらすぐ注文したメニューが受け取れるので評判です。

ですから行列などの受け取り待ちによる利益損失も防げますし、ちょうどお客様が来店したころにメニューを完成させて用意することもできるので、「熱々のホットコーヒーをテイクアウトメニューで提供したい」といった店舗にもピッタリの機能です。

 

 

まとめ

 

今回は軽減税率の概要や店舗が行うべき対策、そして軽減税率を上手く利用して税率引き上げ後も売上を維持・拡大させていく方法までご紹介してきました。消費増税により、私たちの身の回りは慌ただしくなるでしょう。飲食店では今の内に複数税率に対応したシステムを構築しておきましょう。そうすれば軽減税率対策補助金制度でコストを抑えてシステム刷新が可能ですし、社員に対する複数税率の教育に時間を割けます。

ここでご紹介したテイクアウトメニューの開始や拡大など、売上維持・拡大のコツもしっかり理解して、税率引き上げ後も元気に飲食店を経営できるようにしましょう。

ちなみに弊社自店舗アプリサービス「店舗アプリ」ではテイクアウトメニューの事前予約機能など軽減税率を利用した対策に対応できる機能をカスタマイズにて導入できます。気になる方はぜひ下記リンクからお問い合わせしてみてください。

店舗アプリお問い合わせURL:https://tenpoapp.com/inquiry-apps/

 

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