商業施設こそアプリを活用|競合モールに差をつけてテナントの売上最大化できる方法
チラシやDMなど、アナログ中心の集客手法は終わりを迎え、WebサイトやSNSなどを活用したデジタルの集客手法が一般的になりました。特にアパレルや飲食などの店舗では「OtoO(オンラインで情報発信を行い、オフラインの店舗の集客へつなげる手法)」を狙った自店舗アプリの活用が増えています。自店舗アプリを活用するとプッシュ通知や「ビーコン(備え付けの情報発信機)」などを活用して、効果的な販促が可能です。
しかし、店舗では自店舗アプリ導入が増加しているのにも関わらず、複数のテナントが集まって構成されている商業施設ではそこまで自商業施設用のアプリを作る流れが広まっていません。自商業施設でもアプリをしっかり活用すれば、従来の手法よりさらに効果的な販促が可能になり、売上向上につながります。そして商業施設でアプリを作る流れが大きくなっていない今のうちに自商業アプリを活用したマーケティングを取り入れれば、他競合商業施設に集客面で大きな差を付けられます。
そこで今回は商業施設にとって効果的な情報発信とは何かひも解きつつ、アプリ導入によって商業施設の集客に起こる変化や、実際に売上向上に成功している商業施設のアプリ活用事例も3つご紹介。
「自商業施設にアプリを導入すると、集客面でどのような効果があるのか」、「自商業施設アプリ導入を検討しているが、効果的な活用方法を知っておきたい」という商業施設担当者の方はぜひご覧ください。
目次
商業施設にとって効果的な情報発信とは
チラシやDMなどアナログ手法だけで集客を行っている場合、情報の発信スピードが遅く、「来店したらたまたまセールをやっていた」というお客様も多くいらっしゃいます。これではせっかく大規模な集客効果を挙げられるかもしれないセールやキャンペーンなどお得なイベントが開催されているのに、ターゲットユーザーにリーチするのが難しくなってしまいます。
どうせセールやキャンペーンなどを開催するならば、リアルタイムで情報を発信して最大限の効果を作り出したいはずですよね。またクーポンやスタンプなどの「ロイヤルティプログラム」もリアルタイムで発信したほうが大きな集客効果を狙えます。
このように商業施設が効果的な情報発信を行うには、「セールをやっているから来た、またお得なクーポンやスタンプがあるから来た」と思ってもらえるような情報発信ができるツールを用意しておく必要があります。
現状の情報発信方法
さきほど商業施設が効果的な情報発信を行うには、こちらの意図した通りにお客様が来店してくれるようなツールの用意が必須になる、とご紹介しました。それでは現状の情報発信方法はどうなっているのでしょうか。
チラシやDMなどのアナログでの情報発信
一昔前まで一般的な集客方法だったチラシやDMなどアナログでの情報発信ですが、現在はデメリットの方が目立つ状況になっています。
例えば前述したとおり、チラシやDMなどは発行に時間がかかり、リアルタイムで情報を発信しにくいのがネックです。また紙代や印刷費など各コストもかかり、特に複数のテナントで構成されている商業施設ではたくさんの数が必要でしょうから、コストがかさみやすくなります。
さらにチラシやDMなどはそもそもお客様の目に入らないこともあり、せっかく刷っても対費用効果がしっかり挙げられるか疑わしい部分もあります。
自社サイトでの情報発信
今では自社サイトやポータルサイトでの情報発信も一般的になり、ジャンルを問わず多くの企業や店舗が情報発信を行っています。
しかし自社サイトの場合「SEO(検索エンジン最適化)」対策を行わないと、情報を発信してもお客様が自商業施設の情報を受け取ってくれる可能性が低くなってしまいます。またそれには自社ブログなど「オウンドメディア」なども活用した施策を考えなければいけないので、膨大な時間がかかってしまうデメリットもあります。
ITに関する詳しいノウハウがなければ、自社サイトで集客効果を上げるのは難しいでしょう。
また自社サイトではターゲットユーザーへ対してプッシュ通知ができないので、ユーザーが自社サイトへ訪問してくれるのを待つしかありません。ですからせっかくリアルタイムで情報発信をしたくてもやりにくいのがもどかしいところです。
SNSでの情報発信
「Facebook」や「Twitter」など、SNSを活用した情報発信では自商業施設へのファンを増やすことで「ブランディング(自商業施設の認知度や信頼度向上)」も狙えます。また「シェア」や「リツイート」など自商業施設投稿の拡散が多数あれば、さらに複数のSNSユーザーにリーチして集客につなげられます。
ただし、今やSNSを利用した情報発信はどこの商業施設でも行っているので、他競合施設に対して自商業施設の投稿が埋もれて、集客効果が薄くなってしまう危険性も抱えています。またFacebookであれば中高齢者向け、Twitterは若者向けと、各SNSごとにメインユーザーが違うので、商業施設のターゲットユーザーに合わせてSNSを使い分ける必要性も出てきます。
このように各デジタルツールにはメリット・デメリットがあり、特にユーザーにリアルタイムで確実に情報を伝えられるかという点では、どのツールにも課題が残ります。そこで自商業施設のアプリを導入して集客に活用すれば、上記の課題を解決できるだけではなくさまざまなメリットが受けられます。
アプリ導入により起こる変化
自商業施設アプリを導入すれば、次のようなメリットで大きな集客効果を挙げられます。
プッシュ通知などを活用して有益な情報を発信できる
自商業施設アプリを導入すれば、プッシュ通知で情報発信が可能です。プッシュ通知はユーザーのスマホに発信されるとホーム画面に目立つように表示され、またバイブレーションなどで通知が分かりやすくなっています。
さらにホーム画面アイコンでも新着情報数が表示されるので、注意喚起力に優れています。これによりユーザーがお得な情報を見逃す可能性が減り、こちらの意図したタイミングで適した集客が可能です。
プッシュ通知のメリットはこれだけではありません。「2時間だけセールを行いたい」といった時間が限定された情報発信にも柔軟に対応できます。
GPSやビーコンなどを利用した効果的な販促が可能になる
お客様が自商業施設近くにいる場合すぐ来店できる位置にいるので、集客へつなげる大きなチャンスです。自商業施設付近にいるお客様を集客するには、「GPS(位置情報システム)」を活用したプッシュ通知が効果を発揮します。
GPSを活用すれば、例えば自商業施設周囲20mにいるお客様に「来店でポイントゲット」などのインセンティブ付きプッシュ通知を簡単に発信できます。位置情報まで考えた情報発信ができるのも、アプリ活用のメリットです。
またビーコンを活用すれば、例えば1階の食料品売り場のお客様には10%お会計OFFクーポン、2階のアパレルやレストランコーナーにいるお客様には指定アパレルやメニューなどの割引クーポンなど、商業施設内のお客様の現在位置まで考えたピンポイントの情報発信が可能です。
スタンプカードやポイントカード機能で優良顧客の創出を行いやすくなる
ロイヤルティプログラムの一環として、紙のスタンプカードやポイントカードなどをお客様に配布し、優良顧客を創出しようと努力している商業施設もあります。しかし日本人は財布に平均10枚前後カードを入れているというデータが発表されていたりと、紙のカード管理に困っている方が日本にはたくさんいらっしゃいます。
ですから商業施設の各テナントでスタンプカードやポイントカードを出そうとして、「財布から出すのが面倒くさいからやっぱりやめた」と思うお客様もいらっしゃるので、その場合発行したカードが無駄になってしまいます。さらに紙のスタンプカードやポイントカードでリピーターを増やそうとしても、そもそも財布の中でカードが埋もれ、忘れ去られてしまう可能性もあります。
自商業施設アプリを制作して、その中にデジタルスタンプカードやポイントカード機能を搭載すれば、普段お客様が持っているスマホから簡単にスタンプカードやポイントカードが出せるので、使ってくれる方が増えます。
例えばスタンプラリーやポイント還元率増加キャンペーンなど、各集客施策と組み合わせれば、紙よりも多くの参加者が見込めて集客効果が高まります。
スタンプカードやポイントカード機能で優良顧客の創出を行いやすくなるのも、自商業施設の外せないメリットです。
ちなみに自商業施設アプリには、WebサイトやSNSなど他集客ツールとの連携機能や、施設内マップ表示機能も搭載できたりと、さまざまな機能を活用してお客様の利便性をアップできます。
必要と思われるさまざまな機能を搭載して、お客様に満足いくお買い物を体験してもらえれば、それだけ自商業施設のリピーターも増えるでしょう。
商業施設アプリ活用事例3選
ここからは、実際に集客に成功している商業施設のアプリを3つ、活用事例としてご紹介していきます。
「自商業施設では、どうすればアプリを活用して集客効果を上げられるか知っておきたい」という方はぜひ読んでくださいね。
みなとみらい スタンプラリーアプリ
「みなとみらい スタンプラリーアプリ」は、神奈川県横浜市西区の「みなとみらい」内の商業施設で利用できるスタンプラリーアプリです。具体的には「ランドマークプラザ・クイーンズタワーAショップ&レストラン」と「MARK IS みなとみらい」内のスタンプスポットに近づくと、スタンプラリー形式でスタンプが貯まり、スタンプが一定数集まると特典交換が可能でした。また各テナントで使えるクーポンを配布したりと、スタンプラリー以外の機能もあります。
このアプリはビーコン経由で施設内お客様の購買行動を把握し、データ分析や購買促進の改善などを行うプロジェクトの一環として開発されており、現在は残念ながら情報発信機能以外は提供がストップしています。しかしながら現在でもアプリストアで配布が続いており、復活が待ち遠しいアプリとなっています。
あなたの商業施設でもスタンプカードをアプリ内に搭載すれば、スタンプラリー目当てのお客様などを集客へ導けます。またお客様の行動履歴をビーコンで追跡すれば、「どの階のどのテナントの、どの商品がどのようなステップで売れているか」など、細かいレベルでの情報分析と改善点洗い出しが可能となります。
大丸・松坂屋アプリ
「大丸・松坂屋アプリ」は、「株式会社大丸松坂屋百貨店」が運営している「大丸」と「松坂屋」対象店舗で利用できます。商業施設アプリとしてベーシックな機能を搭載しており、デジタルポイントカード機能や最新情報のチェック、そしてプッシュ通知での情報発信など必要な機能が一通りそろっています。
また「Rank Up Program(ランクアッププログラム)」というロイヤルティプログラムも搭載されており、お買い物や対象店舗のチェックインで「カラット」が貯まります。カラットは一定数貯めると各特典と交換が可能です。
他にも広大な大丸や松坂屋内のフロアマップ表示機能なども搭載しており、ユーザーが百貨店に求めていることがアプリに凝縮されています。あなたの商業施設でもポイントカードなどのロイヤルティプログラムを利用すれば、アプリで効率よくリピーター増加や優良顧客の創出を見込めます。
またフロアマップ表示機能など、商業施設内でお客様が迷わないような機能もアプリに搭載しておけば、使ってくれるお客様が増えるでしょう。
アリオアプリ
「アリオアプリ」は、「セブン&アイ・ホールディングス」グループのショッピングセンター、「アリオ」で使えるアプリです。「セブンイレブン」に導入されている「Wi-Fi」機器、「セブンスポット」がアリオにも設置されており、アリオ内セブンスポットにアリオアプリを接続させれば、アリオ独自の「ありぽ」が貯まります。
またクリップ機能があり、アリオ内お気に入り店舗をクリップすると、ショップからの新着情報を簡単に確認できるようになります。他にもミニゲームがあったりと、楽しんで使ってもらえるような工夫が凝らされています。
あなたの商業施設でもアプリにWi-Fiと連携したロイヤルティプログラムを用意すれば、お客様が来店してくれる確率が増えるでしょう。またクリップ機能のようにお気に入りテナントをお客様がフォローできるような仕組みがあると喜ばれるのではないでしょうか。
予算によっては難しいかもしれませんが、ミニゲームなどのコンテンツもあると、アプリのアクティブ率が高くなり、リピーター数を増やしやすくなります。
まとめ
今回は商業施設にとって効果的な情報発信とは何か説明しながら、アプリ導入によって商業施設の集客に起こる変化や、実際に売上向上に成功している商業施設のアプリ活用事例もご紹介してきました。
プッシュ通知や位置情報との連携、デジタルのロイヤルティプログラム提供など、各機能を搭載した利便性の高いアプリは、お客様の集客へ必ず一役買ってくれるはずです。この記事でアプリのメリットを感じ取った場合は、ぜひ自商業施設のアプリ導入を検討してみてくださいね。
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