自治体アプリの事例5選|自治体こそアプリを導入すべき理由とは
政府が「DX」を進めようと補助金制度などさまざまな政策を行っていますが、まずは政府自体や地方自治体などがお手本を見せられないと企業も足並みをそろえにくい側面はあるでしょう。そこで少しずつではありますが政府、そして各自治体でもデジタル化に関する改革が進んでいます。
特に自治体の場合、アプリを導入して問い合わせ業務負担軽減などを達成した事例は増えてきました。現在は小規模の自治体でも気軽にアプリを作成できるプラットフォームがあるので、ぜひ気になる方は活用してみてください。
この記事では、自治体アプリの概要やメリット、そして実際に活用へ成功している事例をご紹介します。
目次
自治体アプリとは
自治体アプリとは、各地方自治体が業務効率化や住民への提供サービスに関する質の向上などを狙いとして導入しているアプリです。
基本的には、下記のような機能を備えており、導入事例は増えています。
- 住民への速やかな日常の情報発信
- 緊急時に防災をサポートする
- 観光支援のためのルート案内や各種情報の提供
- チャットボットによる24時間365日の自動問い合わせ受付
もし現在地方自治体の担当としてアプリ導入を検討している場合は、最低限上記のような機能を備えたアプリを開発することをおすすめします。
また、自治体アプリを導入することで、各媒体で発信していた情報を一元化して提供することが可能となります。スマートフォンで情報を閲覧されるケースが多く想定される場合は、アプリを用意しておいた方が良い効果を得られるでしょう。
ちなみに、LINEの公式アカウントを作ってそこで公式情報を提供する方法も考えられますが、友達追加しているアカウントが多い方には上手く情報が伝達されないリスクもあります。自治体アプリをインストールして活用してもらうようにすることで情報の取りこぼしがなくなり、効率よく情報を伝達できるようになるでしょう。
自治体はアプリを活用すべき!その理由とは
自治体がアプリを活用すべき理由は次の通りです。
行政から公式情報を素早く発信するツールとして
以前は、回覧板や各種情報誌、フリーペーパーなどで住民に情報を伝えていました。
しかし、こういった伝達方法は縮小の流れをたどっており、そもそも受け取ってくれない、情報を見ずにそのままゴミへ出してしまうといった方も増えています。地域住民との接点が少なくなっており、従来の情報提供方法に代わる手段が求められているのがポイントです。
自治体アプリでは、次のような情報をまとめて発信することが可能です。
- 公共施設の受付時間やイベント情報
- 現在提供中の申請サービス
- FAQ
- デジタル広報誌
こういった情報は決まった時間に即時アップロードされて閲覧できるようになるため、アプリがメンテナンス中や不具合発生中でない限りはすぐに確認することが可能です。
ただ既存の情報提供方法をデジタル化できるだけでなく、自治体情報で必要とされる鮮度の高さまで確保しやすいのが自治体アプリの特徴となっています。
外国人観光客の増加
コロナ禍もある程度収まってきており、いよいよ外国人観光客の呼び込み等が本格化しようとしています。しかし、従来の紙を使った情報伝達では上手く外国人観光客の方に情報を発信しにくく、多言語対応まで考えると手間が大きいです。
自治体アプリを使えばインストールするだけですぐ情報を閲覧できますし、各所にQRコードなどを貼って宣伝をすればすぐインストールしてもらえるでしょう。
アプリで情報をまとめて提供すれば、複数の情報誌を外国人の方が読みながら観光スポットや案内所を探す手間が省けます。
また多言語対応や言語切り替えも簡単にできるので、紙の情報誌よりも読みやすく利便性が高いのもメリットです。
ただしアプリをインバウンドの方向けに用意するときは、想定される観光客の地域でどんなスマートフォンモデルが使われているのか、またOSはどれがシェアが大きいのかなどを考える必要があるので注意しましょう。
防災意識の高まり
防災専用のアプリがアプリストアで提供されるなど、年々、防災意識は高まっています。万が一地震や台風、そしてコロナウイルスのような感染症が発生した場合は自治体として速やかに正しい情報を発信しないといけません。
自治体アプリではプッシュ通知も使いながら、緊急時に重要な情報を発信することが可能です。
こういった緊急情報はたとえユーザー側でアプリのプッシュ通知機能をOFFにしていても伝達できるため、確実に情報を届けることができるでしょう。
また、下記のような機能をつけることで、多国籍な住民配分になっていてもより確実に必要な情報を伝達できるようになります。
- 災害発生状況の地図表示
- 避難所の検索
- 多言語での情報発信
ちなみに、スマートフォンには現在緊急時に連絡をすぐ取れたりといったさまざまな防災関連機能が追加されていますが、その流れに乗ることで防災意識の高い自治体だというアピールをすることもできるでしょう。
自治体アプリでできること、そのメリットとは
自治体アプリには次のようなメリットがあります。
最新情報をすぐに発信できる
従来のアナログな自治体情報発信は、自宅に情報誌がすぐ届かない、あるいは放置されたりして行き届かない可能性が高いのが課題でした。SNSで情報を発信する方法もありますが、現在SNSはおすすめツイートが表示されやすくなるなど表示方法のルールもそれぞれ異なり、確実に情報が届くとは限りません。そもそもタイムライン等は情報が流れやすく、閲覧されにくい状況になることも多いです。
自治体アプリを使うことで、自治体側でコントロールしながら上手く最新情報を発信することができます。
たとえばプッシュ通知には、
- リモートプッシュ通知:リアルタイムに情報を発信する
- ローカルプッシュ通知:あらかじめ通知内容を仕込んでおき指定日時に発信する
という2種類の通知方法がありますが、
- 今すぐ作って発信したい情報:リモートプッシュ通知
- 定期的に発信したい情報:ローカルプッシュ通知
のように使い分けることで、効率よく最新情報を伝達することが可能になります。
無駄なコストを削減できる
自治体の財源は無限というわけではありません。住民の税金も使っているため、無駄な情報発信等をしていると批判の対象になるリスクまであります。しかし、コストをむやみに削減して批判を買ってしまう状況も避けたいはずです。
自治体アプリで紙の媒体をデジタル化すると、発行部数削減等を達成できるので印刷代や紙代が減少します。そして情報伝達割合も増加する可能性が高いので、対比用効果から見ても大きなコスト削減効果を発揮するでしょう。さらにSNSやWebサイトなどのデジタル媒体の情報まで一元化して発信することで、情報管理や発信の手間を削減することも可能です。
こうして上手く自治体アプリを活用して提供できれば、情報発信を効率化しながらコスト削減まで同時に達成できます。
最終的には自治体アプリを活用しながら組織改革まで行い、データ基盤で行政が実行されるようにして企業DX化のお手本になれるような状況まで持っていければ言うことはありません。
チャットボット等で業務を自動化・効率化できる
すでにチャットボット機能を取り入れた自治体アプリを提供しているところもあります。チャットボットは特に問い合わせ負担削減に効果のあるツールです。
従来住民の問い合わせが多い自治体では、担当者に対して問い合わせ数が多くなってしまい大きな負担が掛かっていました。また定型的な受け答えが想定される事案も多く、そういった定型的な質問が重要な質問に掛ける時間を圧迫してしまうリスクまであります。こういった事象は企業でもよく見受けられます。
チャットボットでは、あらかじめ決まっているシナリオ、あるいはAIによる応答といった方法に沿って受け答えを自動化してくれるのがメリットです。
一次問い合わせで定型的な質問があった場合はその場で情報を表示して解決できるので、無駄な問い合わせへ対応する必要がなくなります。また二次以降の問い合わせが必要な場合はそのまま担当者へつないで受け答えを続けることも可能なので、担当者は質問内容をある程度理解した上でスムーズに問い合わせ業務へ専念することが可能です。
自治体用の受け答えに関するデータがすでに蓄積されている場合は、チャットボットに取り込むことで大きな効果を得られるでしょう。またAIチャットボットであれば、複雑な問い合わせまで将来的に自動化できる可能性があります。
住民がいつでも問い合わせできる
自治体アプリの中でFAQやチャットボットなどを導入すると、住民がいつでも問い合わせできるようになります。
たとえば、会社帰りに自宅で自治体情報を閲覧したい人がいると想定しましょう。その情報は紙で手元を見ながら確認できるものではないとした場合、インターネット上から情報を確認する必要がありますが、SNSやWebサイトで検索して調べるのは少々面倒です。また問い合わせを電話でしたくてもすでに役所が閉まっていたら問い合わせられません。
スマートフォンに常駐している自治体アプリを活用することで、住民は好きなタイミングですぐに必要な情報を閲覧することができます。
住民への情報提供に関する利便性を向上させるためにも、自治体アプリは役立つでしょう。
自治体アプリの事例5選をご紹介
ここからは自治体アプリの事例を5つほどご紹介します。多くのユーザーに使われて、高評価を受けているアプリもあるため、ぜひ参考にしてみてください。
埼玉県公式アプリ「ポケットブック まいたま」
埼玉県に関する、
- イベント
- グルメ
- スポーツ
といった情報を収集できるアプリです。
県内の博物館や公園などでアプリを切り替えながら使えるのことに加え、お得な特典を受けることができます。
ダウンロード数はGoogle Playで10万を突破していることからも、かなりの方が利用していることがわかります。
また防犯ツールとして防犯ブザーや安心ライトといった機能を使うこともできるので、利便性も高いアプリです。
京都府公式アプリ「京都なび」
観光客の多い京都では、観光機能の充実した「京都なび」を提供しています。
- 飲食
- 体験
- お土産
などから好きなメニューを選んで、観光スポットやおすすめの食品などを探すことが可能です。
また、地元の方のレビューを参考にしながら観光スポットを確認して回れるので、穴場のスポットを見つけたりといった用途としても使えます。
GPSでの探索機能といった基本的な観光機能もそろっており、充実度の高いアプリです。
目黒区防災アプリ「目黒区防災地図アプリ」
「目黒区防災地図アプリ」では、
- 区内の避難所
- AED設置場所
- 給水施設の場所
といった防災に関係する情報をすぐに調べられます。
また、コンパスを使いながら目的地に案内してもらえる便利な機能もあり、災害時に活躍することができるでしょう。
さらに雨雲レーダーといった情報を地図に重ね合わせて状況を確認できるので、災害が起きそうな際も事前対応がしやすいです。
その他にも、防災知識の情報まで簡単に仕入れられるので、地図機能以外も活用できる防災アプリとして役立ちます。
鳥取県防災アプリ「あんしんトリピーなび」
「あんしんトリピーなび」は目黒区防災地図アプリと同じく、防災に関する情報を提供するアプリです。
- 気象注意報
- 道路規制情報
- 防犯情報
といった防災・防犯に関する各情報をリアルタイムで発信しています。
また、最寄りの避難所をリストアップしてから現在地から赴いた場合のルートを表示できるので、防災時に役立つこと間違いなしです。
リアルタイムで河川・道路の状況に関する画像を確認できる機能もあり、フェイクニュースで騙される事態を防ぐこともできます。さらに多言語対応まで行っているので、外国籍の方でも気軽に使うことが可能です。
仙台市公式アプリ「まちくる仙台ライフ」
仙台市住民の毎日に関する情報を提供しているアプリです。
- 今日の天気
- 仙台でのニュース・話題
- ごみの収集日
- 街のおすすめスポット
などを気軽に確認できるので普段使いしやすいです。
また機能限定版としてWebアプリが提供されています。試用版としてWebアプリ上である程度機能を確かめてからアプリをインストールするか決められるのも、面白い取り組みです。
自治体アプリを作るなら「店舗アプリDX版 raiten」
自治体アプリを制作する上でネックとなっていたのが予算です。企業へ外注してアプリを制作してもらうと数百万円といった予算が必要なケースもあり、小規模の自治体では対応しきれない面もありました。
しかし、現在ではアプリプラットフォームによってそのデメリットが解消されています。
アプリプラットフォームでは自治体内でのアプリを作ることができ、月額2万円といった運用費で継続してアプリをアップデート・提供することが可能です。
弊社が提供している「店舗アプリDX版 raiten」もその1つであり、防災情報発信や観光情報の提供など好きな機能を自分で好きなだけ搭載した便利な自治体アプリを作ることできます。制作が初めての方にも、充実したサポートを行っているので、ご興味のある方はぜひご連絡くださいませ。
お問い合わせフォームはこちら
まとめ
この記事では、自治体アプリの概要やメリット、事例などをご紹介しました。
自治体にもDXの必要性が出てくる中、既存の情報をデジタル化しながらまとめて配信できる自治体アプリは改革のベースにできるツールです。アプリプラットフォームを使えば格安で自治体アプリを用意することも可能なので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、今回のアプリ事例以外にもさまざまな成功ケースが公表されているので、気になる方はそういった情報も定期的に調査しておくことをおすすめします。