2023.03.14

ビーコンを使った位置情報マーケティング。最新技術とその内容まで詳しく解説

位置情報をスマートフォンといった端末から取得してマーケティングへ活用する際、導入する方法はさまざま存在しています。取得方法の違いやメリット・デメリットを知った上で施策へ活用すると、より効果を得られやすいです。

位置情報取得方法の中でも「ビーコン」を使った方法は大規模なチェーンでも検証等が行われており、その位置情報取得精度の高さから注目を集めています。低廉化されて導入コストも削減されているので、導入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは「ビーコンによる位置情報取得」に注目して、普及してきた背景や利用事例などを詳しくご紹介します。

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ビーコンが普及した理由は?その意味と背景

 

まずはビーコンが普及した理由や背景などを解説していきます。

 

ビーコン(Beacon)とは

 

ビーコンとは英語で「Beacon」と書きます。

もともとは「信号を発する技術やその手段」などを指す言葉であり、かなり古い時代で事例を挙げると、

  • 灯台
  • のろし

といった信号を発する手段もビーコンと呼ばれます。

ただし情報技術が発達した現代では、ビーコンというのは「通信技術を用いてデジタル端末へ情報を発信する手段・機器」を指すケースが多いです。

ビーコンは消費者の間だと、

  • 経路のナビゲーション
  • 物の紛失防止
  • 緊急時の信号発信

などに用いられています。

そしてマーケティングにおいても店舗から情報を発信する手段として、ビーコンが設置されて活用される機会が増えてきました。

ビーコンおよびそれを活用したマーケティングを提供する企業は増加しており、中小企業でも導入する事例が増えています。

※今回の記事では「Bluetooth機能で通信するビーコン」について解説を行います。

 

 

ビーコンの仕組み

 

ビーコンは発信に特化している技術です。そのため通信に使われる端末には受信機能が排除されており、スマートフォンなどへ情報を発信することを主にしています。

ビーコンが機能する仕組みは次の通りです。

  1. 店舗が指定の位置へビーコンを設置する
  2. 周辺を通過したユーザーのスマートフォンがビーコン情報を検知
  3. 検知した情報はサーバーへ保存される
  4. 位置に基づいてアプリで情報を発信

ビーコン自体には受信機能がないので、情報を出し分けるには専用のアプリが必要です。ビーコンの発信情報をアプリ経由で検知して場所を記録することで、情報の発信タイミングや場所などを管理することができます。

ちなみにBluetoothビーコンは名前の通りBluetooth機能が必要です。

アプリから情報を取得する際には事前にオプトイン方式で許可を取って、Bluetooth機能をONにするよう誘導できる仕組みを作っておくと良いでしょう。プライバシーの点からも事前許可制に対応した情報取得は必須となってきているので、アプリを制作する際は気を付けてください。

 

 

ビーコンの特徴

 

ビーコンには次のような特徴があります。

  • 消費電力が低い分通信できる距離は短い
  • 電波が干渉しにくいので近くに複数台設置可能
  • 常時稼働させるのが前提

まず通信できる距離は数センチから数メートル程度とかなり短いです。Bluetooth機能を使っているので消費電力が小さい分電波の発信可能距離が狭くなり、また送信できるデータ容量も限定される点には注意しましょう。

ただし電波同士が干渉しにくいので、付近に複数台設置しても問題なく稼働します。このため機器同士をどれくらい離して設置すれば問題ないのか、といった点では特に問題を感じなくてよいでしょう。

ちなみにいつでも電波を発信する必要があるため、常時電源をONにして通信端末を稼働させておく必要があります。

 

 

ビーコンと他の通信規格との違い

 

ビーコンと他の通信規格には、次のような違いがあります。

 

GPS

GPSは衛星を利用して自身の位置を把握、送信するためのシステムです。Bluetooth機能と同じく、ほとんどのスマートフォンに搭載されている基本的な機能となっています。

GPSをONにすると、通信可能ないくつかの衛星を利用して自身の座標を特定、衛星から送信してもらうことで場所を特定できるのが特徴です。

宇宙から情報を発信しているため、地上にいればまず自身の位置を知ることができるのがメリットとなっています。このためビーコンを使わずともいつでも通信しておけるようにしておく必要性の高い、マップアプリなどへ用いられています。

ただし、GPSは通信状況によって精度が左右されてしまうデメリットがあります。このため店舗付近にいると表示されても数メートルといった誤差が起きる可能性があるので、誤差のより小さい、細かいターゲティングが必要とされるケースでは利用が難しいでしょう。

 

Wi-Fi

Wi-Fiは無線通信規格の1つであり、今ではほとんど「Wi-Fi=インターネット無線」と捉えられているほど普及している技術です。こちらもビーコン・GPSと同じく基本的にスマートフォンへ通信機能が搭載されています。

データ通信容量節約といった用途で用いられているWi-Fiですが、位置情報をある程度取得できる手段としても活用されています。機能がONになっているスマートフォンのアクセスポイントを特定することで、位置情報取得および情報の発信へ活用可能です。

GPSより精度は高めでアクセスポイント自体も無料のサービスが複数普及しているため、インターネットユーザーの位置情報を特定しやすくなっています。

ただし通信場所を限定されないGPSと比較するとWi-Fiのない屋外などでは通信ができないので、アクセスポイントを把握しにくいです。また精度はビーコンのほうが高いので、よく比較・検討してからどの方法で位置情報を取得するか決定したほうがよいでしょう。

 

 

ビーコンが普及した背景

 

ビーコンが普及したのには、次のような背景があります。

 

ビーコンのコスト・精度の課題が解消した

ビーコンはGPSの届かない場所で位置情報を取得する手段としても使われています。ただし自店舗で設置するには従来膨大なコストが掛かっていました。

こういったコスト面の課題は、ビーコン自体が普及し続けており多くのプラットフォームが登場したことで解決しています。

中にはビーコンを自店舗で用意せずとも共有されているビーコンを使い位置情報を取得できるプラットフォームも存在しており、ビーコン活用の低コスト化を促進しています。

またビーコン自体の数が増加して連携できるようになったことで、複数の場所ポイントで情報を取得・発信できるようになりマーケティングで活用する際の精度まで向上しているのもポイントです。

 

スマートフォンと連携がしやすくなった

ビーコンの普及は、スマートフォンの連携とも大きく関係しています。

ビーコンは発信へ特化しているので、受信できる機器・サービスがないと活用はできません。従来は一部の用途でしか使われておらず、一般消費者へ普及していませんでした。

しかしスマートフォンが普及するにつれて内部へ搭載されているBluetooth機能の活用も増加し、ビーコンと連携するケースが増加しています。

タッチポイントを限定せずリアルタイムでユーザーのいる場所が特定できるようになるので、マーケティングへの活用のためビーコンを設置する店舗は増えました。

 

もともと低消費電力で小型化も実現されている

ビーコンはBluetooth機能を使うので、電力をあまり消費しません。

そのため情報発信の手段に電力コストを掛けたくない店舗にもおすすめとなっています。電池式で動くビーコンも多く、設置しておけば後は起動させたまま使うことが可能です。

またビーコンは小型化されてきており、目に見えるぎりぎりの大きさ程度のビーコンまで登場しています。

設置場所を取られないメリットがさらに活かせるようになってきており、今まで設置できなかった場所にも気軽に設置して宣伝等に使えるようになったのも普及の背景にあります。

 

IoTの普及

あらゆるモノがインターネットへ接続するというIoTの概念は、近年急速に普及してきています。

IoTはスマートフォン・PCといった機器だけでなく、さまざまなモノが連携して情報を伝達します。そしてIoTの普及に伴い、連携手段としてビーコンを設置しようとする取組も増えてきました。

今後もIoTの普及に伴い、ビーコンの設置数は増えることが予想されます。

 

 

ビーコンを活用したマーケティング手法

 

ここからは、ビーコンを活用したマーケティング方法をご紹介していきます。

 

店舗でのクーポン配信

 

店舗でのクーポン配信プラットフォームとして、「LINEビーコン」は代表的なサービスです。大型チェーン店ではLINEビーコンを使ってクーポンの配信を行っている事例が多いです。

ユーザーはLINE内の設定からビーコンで情報取得を行う項目をONにするだけで、店舗内へ入ったとき自動でお得な情報が取得できます。

そしてクーポンを獲得し、そのまま来店したお店で使うことが可能です。中には限定動画といったコンテンツをビーコン経由で表示する事例まであり、工夫次第でいろいろな施策が打てることが事例を調査してみると分かります。

 

 

特定エリアでの広告配信

 

特定エリアでの広告配信の事例としては、「JR東」が挙げられます。JR東では他企業とタイアップして、ビーコンによって電車内や改札口などで位置情報を取得する仕組みを作り出しました。

このプラットフォームは、ユーザーの位置情報をJR東以外の企業も利用できるようにすることで、各企業が位置情報に応じた最適な広告配信をできるようになっているのが特徴です。

さらに広告を見たユーザーが来店や来場を実行したのかも把握できるようになっており、ブランド調査といった多様な分析にも対応できます。駅内に複数ビーコンを設置することで、ピンポイントな広告配信ができるビーコンの強みが効果的に働いている事例です。

 

 

オフラインのデータ収集

 

位置情報を基に、オフラインでデータ収集を行えるプラットフォームも増えています。

「株式会社ACCESS」が開発した「ABF(ACCESS Beacon Framework)」では、商品購入が実施されなくても顧客の来店を検知してデータ収集することが可能です

そして来店回数に応じてスタンプやクーポンなどを適宜発行することで、アプリのアクティブ率を高めながら効果的に測定・分析を実行できるのがポイントとなっています。

ある企業では、ECサービスのおすすめ提示機能にも来店データを活用できるようになり、オンライン売上規模の増加にまで成功したという事例もあります。

 

 

ビーコンを使った最新技術をご紹介

 

ここからは最新の事例として、ビーコンを使ったサービスをご紹介します。

 

LINE POP Media

 

LINEの提供するビーコンサービスの新しい形態が、「LINE POP Media」です。

このサービスではビーコン設置できるのが小売店舗限定となっていますが、すでに

  • ウェルシア
  • ヤマダ電機
  • ミニストップ

といった有名店舗が試験的に導入をしており注目されています。

LINE POP Mediaでは店舗内でお買い物をしている顧客に限定して、ビーコンで情報を送信して広告を表示することが可能です。

掲載箇所は、

  • LINEのトークリスト最上部広告枠
  • LINEの店舗公式アカウント

となっており、LINEユーザーであればすぐ気付きやすい位置に広告を掲載できるのが特徴となっています。

アナログなPOP広告をデジタルで代替することで、リアルタイムに購買段階直前にある顧客を誘導して商品棚への移動や購買促進などを実現できるのがメリットです。

アナログPOPを見ない顧客にもリーチできますし、スマートフォンユーザーであれば新着通知を受け取ってくれる可能性が高いので購買への高い効果が見込めるでしょう。

公式サイトからページリンクを通して申込を行うことで、ビーコンの配置準備を行えます。配信実績に応じてレベニューシェアも獲得して利益を得られるので、小売店舗を経営している方はぜひ導入を検討してみてください。

 

 

楽天チェック

 

楽天グループサービスは、スマポの技術を活用した「楽天チェック」アプリを開発して提供しています。

この楽天チェックアプリには複数の企業・店舗が登録しており、店舗の指定ポイントに近づいてチェックインボタンを押せば来店が認識され「チェックイン」となります。

チェックイン完了後はカードが4枚ほど表示されるので、めくるとそこへ表示された楽天スーパーポイントがプレゼントされるというサービスです。

楽天チェックアプリではお得なキャンペーン・チェックイン情報も配信しており、また楽天ポイントカードのバーコードまで提示できます。単なるチェックインアプリにとどまらないサービスだと言えるでしょう。全国に1億人以上いると言われている楽天商圏のユーザーを、登録している店舗は集客できる点もメリットです。

 

 

まとめ

 

今回はビーコンを使ったマーケティングの特徴や事例等をご紹介しました。

ビーコンはどんな場所にでも設置できる便利な発信機であり、低消費電力でいつでも稼働しているため情報を好きなタイミングで届けることができます。現在では共有ビーコンを借りて位置情報を取得できるようなプラットフォームも登場しており、今後はより低コスト化が進んでいくでしょう。

ビーコンを導入する際はGPSやWi-Fiといった他の位置情報取得手段とメリット・デメリットを比較・選定するのが重要です。ぜひビーコンを活用して、店舗付近や特定エリアへいるユーザーへ情報を発信してブランド力向上や来店などへつなげてみましょう。

 

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