2024.07.02

ECサイトアプリ化にかかる費用は?制作フローやメリット・デメリットも解説

現在ECサイトをわざわざアプリとして提供する事例が増えています。すでに大企業を代表としてさまざまな企業がECサイトをアプリ化してきていますが、これにはオンラインコンテンツの変遷といった原因があります。

ただしどの企業でもECサイトをアプリ化したほうがよいというわけではなく、ECサイトの活用具合や利用者層といった状況によっては今のままでよいケースもあるので注意しましょう。

今回はECサイトのアプリ化で掛かる費用や制作フローなどをご紹介していきます。

 

ECサイトのアプリ化とは

 

ECサイトのアプリ化とは、そのままの意味で従来からあったECサイトをアプリ化することです。

主にECサイトが古くてスマートフォンに対応しにくかったり、アプリ独自のメリットを受けたい企業が行っています。

たとえば次のような企業がECサイトをアプリ化して提供しているのがポイントです。

 

ユニクロ

 

ユニクロは、ECサイトのアプリ化により大きな成功を収めています。ユーザーはアプリにログインすると、年齢や性別に基づいてカスタマイズされた商品一覧が表示され、個別に最適化されたショッピング体験が可能です。

アプリにはバーコード読み取り機能があり、実店舗で商品のバーコードをスキャンすると、詳しい在庫状況やレビューを即座に確認できます。さらに、希望のサイズが在庫切れの場合でも、アプリ上から取り寄せることができます。

また、オンライン限定商品を提供することで、ECサイトの利用を促進しています。アプリで購入した商品はユニクロ店舗で受け取ることができ、送料を節約しながら来店機会を増やし、クロスセルやリピーターを促進しています。

 

 

ビックカメラ

 

ビックカメラは、ECサイトのアプリ化により利便性の高い買い物体験を提供しています。特に「アプリでタッチ」機能が特徴で、店舗の「電子棚札」をアプリでタッチすると、商品の在庫や詳細、レビューをリアルタイムで確認できます。これにより、オンラインと店舗の連携が強化され、シームレスなショッピングが実現しています。

また、ビックカメラアプリは「My カテゴリ」機能を搭載し、ユーザーの好みに合わせた商品をレコメンドすることで、パーソナライズされたショッピング体験を提供しています。さらに「欲しいものリスト」や「バーコードスキャン履歴」などの機能も充実しており、気になる商品の価格変動や過去にスキャンした商品の情報を簡単に確認できます。

これらの機能により、ビックカメラはECサイトと実店舗を効果的に連携させ、継続的に機能拡充を図りながら、ユーザビリティの向上・オンラインショッピングの促進に成功しています。 

上記2つの事例ではどちらもWebサイト版と同じような見た目をしていながら細かい変更を行っており、動作の速さや情報伝達速度といった点ではWebサイトと比較してみると直感的に分かる程度の違いがあるので気になる方は一度比較してみると分かりやすいです。

Webサイトをアプリ化することで得られるメリットについては、詳しく後で解説していきます。

 

 

ECサイトのアプリ化とは

 

 

ECサイトを今からアプリ化する場合は、準備や実行で次のような費用が発生します。

 

ネイティブアプリ

 

ネイティブアプリはGoogle PlayやApp Storeなどアプリストアで公開して提供するためのアプリです。

各アプリストアの利用想定OSであるAndroid、iOSにパーソナライズした機能や速度を提供できるのが特徴であり、動作性を各OSへ合わせたい、利用ユーザーはどちらかのOSだけで構わないといった方におすすめするアプリタイプです。

ただし両OS用にそれぞれ適正化してネイティブアプリを作る場合は、2つ分のアプリ費用が掛かる場合も多く費用感では開発が最も難しいと言える点に注意してみてください。また改善の手間も両OSで別々にアプリを配布している場合は負担が増加します。ちなみにOSを1つ増加させると、費用が1つごとに数百万円程度増加するというケースもあるので注意しましょう。

iOSアプリ開発費用:150万円~、300万円など
Androidアプリ開発費用:100万円、~200万円以上

 

 

ハイブリッドアプリ

 

ハイブリッドアプリは、ネイティブアプリと同じようにアプリストアで配布できるアプリです。これだけだと違いが分かりませんが、中身の構造を確認すると違いがあることに気付きます。

具体的にはネイティブアプリの場合はSwiftといった専用のアプリ言語を使いますが、ハイブリッドアプリの場合はWebサイトと同じようにHTMLやCSS、JavaScriptなどをベースにアプリを構築していきます。

上記の特徴からハイブリッドアプリの開発期間は、Webサイトの構造にもよりますがネイティブアプリよりは短いです。

そのため見た目や機能を違うレベルで変えなくてよい方、すぐにアプリを提供する必要がある方にはおすすめになっています。また費用的にもWebサイトから引っ張ってこれる情報が多いので、ネイティブアプリよりはかなり安くなるでしょう。

また専用言語ではないので速度はネイティブアプリより遅いですが、クロスプラットフォームに対応しておりさまざまなOSで利用可能です。

アプリ開発費用:10万円~、 200万円~など

 

 

Webアプリ(特にPWA)

 

WebアプリはWebサイトにアプリのような機能や見た目を追加する概念・技術であり、仕組みとしてはWebサイトと同じです。また同じように検索エンジンで提供するのでアプリストアで申請を受けて配布する必要性はありません。

そもそも今までのWebサイトがWebアプリである場合はECアプリ化する必要性が少ないケースもあり、もし機能改善等を行うにしても手間は少なくなるはずです。ただしPCにしかデザインが対応していないような場合では抜本的なアプリ化が必要となってきます。

こちらもハイブリッドアプリと同じくクロスプラットフォームへ対応しており、1つ構築してしまえばすべてのプラットフォームに対応可能です。ECアプリの運用負担・コストを両方削減したい、検索エンジンでコンテンツを提供できれば十分と思っている方にはおすすめです。

PWAといった最新技術を利用するような場合でも、費用は安くなりやすいので導入がしやすいコンテンツタイプになっています。

アプリ開発費用:10万円~、50万円など

 

 

 

ECサイトアプリ化の制作フロー

 

ここではECサイトをアプリ化する際の基本的な制作フローをご紹介していきます。

 

1.企画・要求定義

 

まずは既存のECサイトの課題やアプリ化によって改善したいことなどを明確にしていきます。開発者側は顧客の希望に沿ってアプリの仕様や機能、開発期間などを要件定義してくれますが、外注する場合はクライアントとして事前にこちらの要求を紙にまとめて提出できるようにすると安心です。

つまりクライアントとして要求定義を行うことを忘れないようにしましょう。

アプリ開発初心者としては分からないことが多いでしょうが、具体性は後でよいので

・ECサイトで発生している課題に解決の優先順位を付ける
・アプリ化で付けたい機能へ優先順位を付ける
・どのくらいまでに用意したいか目安を記載する
・予算の上限がどのくらいか、希望開発費用はどれくらいか記載する

といったことは事前にしておきましょう。

 

 

2.設計・デザイン

 

続いてはECサイトをアプリ化する際の設計・デザインを行っていきます。ここでは画面構成をフレームワークとして共有したり、欲しいデザインイラストなどを個別に作成したりして基本の金型を作っていきます。

といっても既存のECサイトがありますから、1からECアプリを構築するよりも設計・デザイン面では楽ができるはずです。ECサイトとどこを変更するのかを明確にしながら作業することで、短期間の設計・デザインができるでしょう。

ただしPCやスマートフォンといった想定利用機器ごとに見た目をどう変更するのかは細かく検討してみましょう。

 

 

3.開発

 

設計やデザインが完成したら、次はその通りの見た目・機能になるように開発を行っていきます。

外注している場合は開発は基本的に外部へ委託しているのでこちらからすることはあまりありませんが、途中でどんな開発状況になっているかは確認できると安心です。またアプリプラットフォームを使って自社開発をする際は、必要なデザイン等を業者から受け取ってからスムーズにノーコード開発等ができるように準備しておきましょう。

ちなみに開発期間のスケジュール通りに作業を終わらせられるよう、デザインや機能の開発作業量に合わせたスタッフを確保しておくことも忘れないようにしてみてください。

 

 

4.テスト

 

一度ECアプリが完成したら、目標通りの挙動になっているか検証で確認してみます。

いろいろな検証方法がありますが、なるべく想定されているすべての機種で動作を実際に確認して、デザインの崩れや機能不全などが発生していないか確認するのがポイントです。

すべての環境を用意するのが難しい場合はそういった検証を代行してくれるサービスがあるので利用してみてください。また外注している場合は環境動作確認もいっしょに委託してしまいましょう。

 

 

5.リリース

 

動作が確認できたらいよいよリリース段階になります。ここではECアプリをネイティブアプリ・ハイブリッドアプリで提供するかWebアプリで提供するかで対応方法が変わってきます。

ネイティブアプリ・ハイブリッドアプリで提供する場合は、各アプリストアへ申請する準備をしてから提供できるようになるのを待つのがポイントです。既存のECサイトについては残しておいてもよいでしょう。そちらのほうが相乗効果を得られます。

Webアプリを提供する場合は、アプリストアへ申請する必要はなく検索エンジンへ掲載されれば作業は終了です。ただし既存のECサイトが残っていると重複コンテンツと判断されて評価が下がるので、既存のECサイトとは別にWebアプリを構築した場合はECサイト側を検索エンジンへ掲載されないように削除する必要性が出てきます。

 

 

6.運用・保守

 

アプリを提供し終わっても、想定外の不具合や対応が発生することが多いです。そのため運用・保守のためにスタッフのリソース等を事前用意しておいてください。

特にアプリのアップデート対応や機能改善などは技術力がないとスムーズに対応できません。対応が難しい場合はサポートを受ける必要があるので、業者選定の際にどこまでサポートが受けられるのか確認してからサービスを導入しておいてください。

 

 

 

ECサイトアプリ化のメリット

 

ECサイトをアプリ化すると次のようなメリットがあります。

 

独自機能を提供できる

 

ECサイトでは提供できない機能を、ECアプリの場合は提供できます。たとえば前述したようにカメラを使った商品スキャン・検索機能がそうですし、それだけでなくBluetoothといった接続機能を活用した機能も提供できるようになります。

このようにスマートフォンの搭載機能へ直接アクセスしないと提供するのが難しい機能が欲しい場合は、ECサイトをアプリ化することでメリットを得やすくなるでしょう。

 

 

リピーター獲得で有利

 

ECサイトの場合いちいちWebブラウザーから立ち上げる必要があり、継続的に顧客へアプローチするのには向いていないケースが多かったです。

しかしECアプリの場合はECサイトと比較するとより顧客にアプローチができます。

たとえばプッシュ通知を使って定期的に情報を発信して立ち上げてもらう・認知の機会を増やすといったことができるようになります。プッシュ通知送信はネイティブアプリ・ハイブリッドアプリだけでなくPWA化されたWebアプリでも可能になっており、汎用性の面でぜひ利用してほしい機能です。

 

 

動作速度面で有利

 

ECサイトは動作面で限界があります。というのも登録される商品は増えていきますがそれに応じて読み込む必要のあるデータが増加するので、いちいちWebブラウザーから全データを読み込み直していると処理負荷が大きくなり速度が低下するからです。

ECアプリの場合は事前に基本データがスマートフォン内に残った状態で立ち上がるので、商品登録数が増加したりしてもすぐに速度が低下することは考えにくく、安定した動作速度を確保できます。

 

 

 

ECサイトアプリ化のデメリット

 

ECサイトをアプリ化する際は、次の点に注意しましょう。

 

状況によっては効果が出ない

 

たとえばすでにある程度ECアプリ化が進んでいる場合は、別にネイティブアプリ・ハイブリッドアプリを用意しても顧客がそちらを利用してくれる可能性が低くなります。

このようにECサイトの提供状況では、アプリ化を行っても効果が出ないことを頭に入れておくべきです。

またECアプリを別に用意した結果工数だけが増加してしまい利益が低下するような事態は防げるようにしておくべきです。

 

 

アプリ化したことを認知させる必要がある

 

ECアプリ化を行っても、それを認知させるにはECサイトとは別に認知施策を行う必要があります。

認知がされないとECアプリの制作費用が無駄になるケースもあります。

ただし認知させる場合には別途宣伝費用が発生するので、その点も含めてどのくらい提供や定着までに時間やコストが発生するのか検討しておきましょう。

 

 

 

ECサイトアプリ化を成功させるには

 

ECサイトアプリ化を成功させるために、次の点に注意しましょう。

 

アプリ化の目的や機能などを明確にする

 

まずはアプリ化する際の目標や機能などを明確化しておきましょう。

そうすることで適切なコスト設定もできるようになります。またターゲットユーザーのニーズや行動を把握して目標に反映させることで、ユーザビリティを確保したアプリの制作が簡単にできます。

さらにそういった基本情報を基に機能を絞り込むことも重要です。

多機能がよいというわけではなく、ユーザーが使わない機能が多いとそれだけユーザビリティが低下するからです。また開発費用も抑えにくくなるので、機能に優先順位を付けて必要な機能が過不足なく搭載されているアプリを制作するようにすると安心です。

 

 

継続的に運用・保守をしっかりと行う

 

アプリリリース後も、継続的に運用・保守を行わないと陳腐なアプリになる危険性があります。また古臭いと思われると利用率が低下する問題もあります。

OSアップデートやトレンド機能の搭載も含めて、継続的な運用・保守ができる体制を整備するのが重要です。

 

 

まとめ

 

今回はECサイトのアプリ化で掛かる費用や制作フローなどをご紹介してきました。

ECサイトをアプリ化する際は、そもそもアプリ化する必要性やメリットがあるのかなどを検討してから準備を行いましょう。またアプリ化する際は適切なサービスを導入して作業を行ってみてください。

ECサイトをアプリ化する際は、店舗アプリDX版 raitenがおすすめです。PWAとネイティブアプリを並列開発できる環境を提供していますし、ノーコードで自社だけで運用・保守ができる仕組みも整備しているので安心です。

 

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