飲食店のリピーターを増やす方法!アプリによる集客方法とメリット
飲食店
近年、飲食業界では競争が激化する中、固定客をいかに確保し、継続して来店してもらうかが大きな課題となっています。単発の集客だけでなく、いかにリピーターを増やすかが長期的な視点では重要です。そのリピーター獲得の手段として注目されているのが「オリジナルアプリ」の活用です。
店独自のアプリを導入することで、お店と顧客との結びつきを強め、結果として売上アップやブランド力向上につながる可能性があります。本記事では、飲食店がアプリを活用して売上・リピート率を高めるための具体的なメリットや機能、導入の際に押さえておきたいポイントを、専門用語を使わずにわかりやすく紹介します。
あわせて、リピート率の計算方法と平均の目安、リピーターにならない原因、LINE公式アカウントや紙のカードとの違い、導入から運用までの進め方も取り上げます。「そもそも自店のリピート率がどのくらいなのか分からない」という方は、まずそこから確認してみてください。
飲食店にとってリピーターが重要な理由
アプリの話に入る前に、なぜリピーターを重視するのかを整理しておきます。ここが曖昧なままだと、施策の優先順位を決められません。
新規獲得よりコストが小さい
マーケティングの世界では、新規顧客の獲得には既存顧客を維持する5倍のコストがかかるという考え方が知られています。飲食店に当てはめると、グルメサイトへの掲載料や広告費をかけて新しい人を呼ぶより、一度来た人にもう一度来てもらうほうが安く済むということです。
また、離脱する顧客を5%減らせば利益が大きく改善するという考え方もあります。売上を伸ばすというと新規集客に目が向きがちですが、離れていく人を止めるほうが手をつけやすい場合も少なくありません。
リピーターは来店の理由がすでにある人です。説得の手間がかからないぶん、少ない費用で動いてもらえます。
客数が伸びない市場でこそ来店頻度が効く
外食市場の構造も、リピーター重視を後押ししています。日本フードサービス協会の集計によると、2025年の外食売上は前年を上回ったものの、その押し上げ要因は客単価の上昇(前年比104.3%)であり、客数が前年を上回れない企業も出てきています。
出典:一般社団法人 日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査 2025年年間結果」 https://www.jfnet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2026/01/nenkandata-2025.pdf
つまり、値上げで売上を保っている状態であり、来店する人そのものが増えているわけではありません。値上げには限界があるため、次に手をつけるべきは同じ人に来てもらう回数になります。
月1回来ていた人が月2回来るようになれば、新規を1人増やすのと同じ効果が得られます。しかも広告費はかかりません。
リピーターは口コミの発信源にもなる
常連客は、店のことをよく知っているぶん人に紹介しやすい立場にあります。友人を連れてくる、SNSに投稿する、レビューを書くといった行動は、そのまま新規集客の入口になります。
一度きりの来店では、店の良さを人に説明できるほどの理解は生まれません。リピーターを増やすことは、結果として新規の入口を広げることにもつながります。
リピート率・リピーター率の計算方法と平均
施策を打つ前に、自店の現在地を数値で押さえておきます。似た名前の指標が2つあり、意味が違うので分けて理解しておきましょう。
リピート率の計算式
リピート率は、新規で来店した人のうち何人が再来店したかを示す指標です。
リピート率(%)= 2回目以降に来店した人数 ÷ 初回来店した人数 × 100
たとえば新規で100人が来店し、そのうち20人が再来店していればリピート率は20%です。新規客をつかめているかを測る指標で、施策の効果検証に使います。
リピーター率の計算式
リピーター率は、ある期間の来店客のうち既存客が占める割合を示す指標です。
リピーター率(%)= 期間内の既存顧客数 ÷ 期間内の総来店客数 × 100
11月の来店客200人のうち50人が既存客なら、リピーター率は25%になります。こちらは売上の安定度を測る指標です。数値が低ければ新規頼みの経営になっており、集客を止めた途端に売上が落ちる状態だと分かります。
目安は30%前後、まず自店の数値を出す
飲食店のリピート率は、業態や立地によって大きく変わります。一般的には30%前後がひとつの目安とされ、50%を超えれば高い水準だといわれます。
ただし、駅前の店と住宅街の店、ランチ主体の店とディナー主体の店では前提が違います。平均値と比べて一喜一憂するより、自店の数値を毎月出して推移を追うほうが実務では役に立ちます。
計測にはレジや会員システムのデータが必要です。現金のみで会員制度もない店では数値を出せないため、まずは来店を記録できる仕組みを持つところから始まります。
関連記事:継続率(リテンションレート)とは?計算方法とアプリの継続率を上げる施策を解説
リピーターにならない3つの原因
数値が低い場合、原因を切り分けておくと打ち手が決まります。飲食店でよく見られるのは次の3つです。
忘れられている
もっとも多いのがこれです。料理にも接客にも不満はないのに、次に思い出してもらえないまま時間が過ぎていくパターンです。
飲食店の選択肢は膨大にあり、良かった店でも数週間経てば記憶から薄れます。ここは店側の努力不足というより、思い出してもらう手段を持っていないことが問題です。こちらから連絡できる状態をつくれるかどうかが、対策の分かれ目になります。
再来店のきっかけがない
「また来たい」と思っていても、行動に移すきっかけがなければ来店にはつながりません。期限のあるクーポン、あと1回でスタンプが埋まる状態、季節限定メニューの案内といった、背中を押す仕掛けが必要です。
とくに来店周期が長い業態では、放っておくと間隔がどんどん空いていきます。前回の来店から一定期間が経った人に声をかける運用を、仕組みとして持っておきましょう。
期待した体験と差があった
初回の期待値が高すぎた場合も、リピートにはつながりません。写真と実物の差、待ち時間、混雑時の接客品質などが原因になりやすい部分です。
この場合は、再来店を促す前に体験そのものを直す必要があります。クーポンを配っても、体験に不満があれば戻ってきません。アンケートや口コミから、初回来店者が何に引っかかったのかを拾いましょう。
関連記事:リピート率を上げるには?アプリを使ったリピーター獲得のコツを解説します
飲食店アプリ導入のメリットとリピーター獲得への効果
まずは、アプリを導入することによって得られるメリットと、それがどのようにリピーター獲得へつながるのかについて解説します。アプリは「単にデジタル化をする」だけではなく、お店のブランドイメージを向上させたり、リピーターを定着させたりするための重要なコミュニケーションツールとなり得ます。
飲食店アプリ導入による主なメリット
飲食店がアプリを導入すると、以下のような具体的なメリットが期待できます。大切なのは、一度だけの来店ではなく、継続的に足を運んでもらうための、「お店と顧客を結ぶ新たな接点」を作るという視点です。
- 直接的な顧客コミュニケーション:プッシュ通知やメッセージ機能などを使えば、お店から直接お知らせやキャンペーン情報を届けられます。メールと比べて開封率が高い傾向にあり、タイムリーで効果的な訴求が可能です。
- 顧客データの収集・分析:アプリを通じて来店情報や注文傾向などのデータを蓄積できます。これらのデータを分析することで、どのようなメニューが人気なのか、どの曜日や時間帯に来店が多いのかなどを把握しやすくなります。
- 運営コストの削減:アプリで予約や注文を自動化することで、電話対応や手書きの注文票などにかかる人件費を削減できます。さらに予約管理やポイント管理が一元化されるため、スタッフの業務負担が減り、効率が上がります。
- ブランドイメージの向上:独自のアプリを持つことで「時代に合ったサービスを提供している」という印象を与え、先進的で魅力的なブランドイメージの確立につながります。店舗独自のデザインやメニュー写真などを積極的に打ち出すことで、より印象的にアピールできます。
- 顧客満足度の向上:便利な機能や特典をアプリ経由で利用できるようにすることで、顧客は無駄な待ち時間や繁雑な手続きから解放されます。結果として満足度が高まり、リピーターへと育てやすくなります。
特に工夫次第で、これらのメリットを相互に組み合わせることが重要です。たとえばアプリで集めた顧客データを元に、プッシュ通知で個別のおすすめを届けて再来店を促すなど、複数の要素を連動させることで効果を最大化できます。
これらのうち、リピーター獲得にもっとも直結するのは直接的な顧客コミュニケーションです。ほかの手段では、来店していない期間にこちらから声をかけることが難しいためです。
グルメサイトは検索されなければ表示されず、SNSは投稿がタイムラインに流れて埋もれます。アプリはホーム画面にアイコンが残り、通知で直接届けられる点が構造的に違います。
リピーター獲得におけるデジタル活用の重要性
現代の消費者、特に若い世代を中心に、スマートフォンは生活に欠かせないツールとなっています。外出先で飲食店を探すときも、口コミサイトやSNS、地図アプリを駆使するのが当たり前になりつつあります。そのため、スマートフォンを前提とした「デジタルでの顧客接点」を作ることが、リピーター獲得には不可欠な要素といえるのです。
調査によると、飲食店の公式アプリを利用している顧客は、そうでない顧客と比べて「利用頻度が高まりやすい」「客単価が上がりやすい」という傾向があります。これは、アプリを通じて個々の趣向や行動に合わせてクーポンや情報を届けられるため、より的確なアプローチが可能になるからです。さらに、アプリで便利な予約機能や注文機能を提供している店は、忙しいときでも顧客が「また行きたい」「他の店よりも便利だ」と感じやすくなります。
このようにデジタルチャネルの有無は、競合店と差別化を図るうえでも大きな要素となってきています。「お得な情報をすぐ受け取りたい」「よりスムーズに予約や注文をしたい」という消費者のニーズは高く、これに応えられるかどうかが、リピーター獲得の成否を左右するといっても過言ではありません。
もう1つ押さえておきたいのが、顧客との関係を自店で持てるかどうかです。グルメサイト経由の集客は便利ですが、そこで得た顧客の情報はサイト側にあり、掲載をやめれば接点も消えます。
自社アプリなら、来店履歴も連絡手段も自店に残ります。掲載料や送客手数料が来店数に比例して増えることもありません。長く続けるほど差が出る部分です。
LINE公式アカウント・紙のカードとの違い
リピーター施策の手段はアプリだけではありません。よく比較されるのが、紙のポイントカードとLINE公式アカウントです。それぞれ向き不向きがあります。
紙のポイントカードは、導入費用が安く誰でもすぐ使える点が強みです。一方で、発行のたびに印刷費がかかり、紛失や持ち忘れが起きます。誰が何回来たかというデータも残らないため、施策の検証ができません。
LINE公式アカウントは、多くの人がすでに使っているためインストールの手間がなく、始めやすい手段です。ただし配信通数に応じた費用がかかり、友だちが増えるほどコストも増えます。取得できる情報や機能もプラットフォーム側の仕様に左右されます。
自社アプリは、インストールしてもらうハードルがある代わりに、会員数が増えても配信コストがほとんど変わりません。来店履歴と購買履歴を自店の基準で紐づけられるため、施策の精度も上げやすくなります。
規模が小さいうちはLINE、会員数が増えてデータを活かしたくなったらアプリ、という順で移行する店舗も少なくありません。
関連記事:飲食店の集客には自社アプリを使うべき!ポータルアプリやアナログ販促にはないその効果とは
飲食店のリピーターを増やすアプリ機能7選
ここからは、飲食店のアプリにぜひ取り入れたい機能を7つ厳選してご紹介します。これらの機能を活用することで、単なる「お知らせツール」に止まらない、リピーター獲得の手段としてのアプリが完成します。どの機能を優先的に導入するかはお店の規模や業態にもよりますが、以下のポイントを順に検討すると良いでしょう。
1. 会員制度・ポイント管理機能
リピーターを増やすうえで、もっとも効果的といわれるのがポイントシステムや会員制度です。顧客からすると、「ポイントが貯まるお店」や「ランクアップがあるお店」は、よりお得感があって次回も利用したいという心理がはたらきやすくなります。また、お店側も顧客情報を把握して個々に合わせたアプローチがしやすくなり、一石二鳥の仕組みです。
- デジタルスタンプカード:スマートフォン内でスタンプを蓄積できるので、紙のカードをなくしてしまう心配がありません。来店ごとにスタンプが押される仕組みは、顧客にとってわかりやすく、スタッフの管理負担も軽減されます。
- 段階的な会員ランク制度:来店頻度や利用金額に応じてランクを設定し、高ランクほど特典が豪華になる仕組みです。より積極的に来店してもらうインセンティブを作ることで、顧客ロイヤルティの向上につながります。
- ポイント有効期限管理:ポイントの有効期限が近づいた時点でプッシュ通知を送ると、使用を促進して再来店のきっかけを作れます。実際に「ポイントが失効する前に使おう」と思い立つ顧客は少なくありません。
- ポイント交換特典:貯まったポイントを使って無料ドリンクや人気メニューの割引が受けられるといった特典は、お店のファンを着実に増やします。さらに限定メニューやイベントへの招待など、特別感のある特典を用意すると、顧客の満足度は一層高まります。
ポイント制度を設計するうえでは、「必要以上に管理が複雑にならないか」「顧客にとって本当にお得感があるか」を入念に検討しましょう。あまりに回数や金額のハードルが高いと、使う前から諦める顧客も出てきてしまいます。敷居を下げつつ、特典を魅力的にすることが重要です。
設計で迷ったら、特典に到達するまでの回数を来店周期から逆算するとうまくいきます。月1回来店の店で10回スタンプにすると、達成まで10か月かかり途中で忘れられてしまいます。
3〜5回程度で一度特典に届く設計にして、そこから次の段階へつなげるほうが、達成感が続きます。
2. クーポン・プロモーション配信機能
リピーターを増やすには、顧客に対して定期的にお得な情報や特典を届けることが有効です。アプリを使ったクーポン配信は、一度でも利用したことのある顧客にもう一度来店してもらう強いきっかけとなります。紙のクーポンと違い、紛失のリスクや印刷・配布の手間がない点もメリットです。
- パーソナライズドクーポン:顧客の来店履歴や過去の注文内容に応じて、個別にクーポン内容を変えることで、利用率を高めることができます。たとえば「辛い料理が好きな人にはスパイシーメニューの割引」「甘いもの好きにはデザートサービス」など、きめ細やかな対応が可能です。
- 誕生日特典:事前に誕生日を登録してもらい、その月に特別なクーポンを配信すると、顧客は「祝われている」という特別感を得られます。誕生日に外食する人は多く、その機会に自店を選んでもらいやすくなります。
- プッシュ通知による時間帯別クーポン:ランチタイムが混み合わない曜日や、ディナータイムの集客が弱い日など、ピンポイントの時間帯にだけ使えるクーポンを配布すると、客足をコントロールできます。混雑分散や売上向上につながります。
- 友達紹介プログラム:既存の顧客が友達にお店を紹介すると、お互いにクーポンがもらえる仕組みも効果的です。口コミ効果が高まり、新規顧客の獲得にもつながります。
クーポンを配信する際は、配信タイミングや回数に注意が必要です。あまりにも頻繁に配信すると「しつこい」と感じられ、逆にアプリを削除されてしまう可能性があります。適度な頻度で、効果的な内容を打ち出すことが肝心です。
配信の精度を上げるなら、全員に同じクーポンを送らないことから始めましょう。しばらく来ていない人には復帰を促す内容、よく来る人には新メニューの先行案内といった打ち分けです。
同じ原資でも、届ける相手を絞るだけで利用率は変わります。値引き幅を広げる前に、配信先の設計を見直してみてください。
3. 予約管理機能
予約管理をアプリで完結できるようにすると、顧客の利便性が格段に向上します。電話予約と違って営業時間外でも予約可能な点や、予約状況をリアルタイムで把握できる点が大きな魅力です。また、店舗スタッフの予約受付対応が減ることで負担が軽くなり、接客の質の向上につなげることもできます。
- リアルタイム空席確認:現在の空席状況や予約可能な日時を自動的に更新しておき、顧客がアプリ上でひと目で確認できる仕組み。
- 予約変更・キャンセル機能:顧客が自身で予定を調整しやすくなるため、予約のダブルブッキングを防げます。また、無断キャンセルへの対策や予約キャンセル料の扱いなども明確にしておくと良いでしょう。
- 予約リマインダー:予約日の前日や当日に自動的に通知が届くため、「うっかり忘れ」や「二重予約」を減らすことができます。
- テーブル・席種の指定:カウンター席や個室、眺めの良い席など、顧客の希望に合わせて指定できるようにすると満足度が高まります。
アプリに予約機能を組み込む際には、お客様が入力しやすい画面レイアウトや、ステップ数の少ない操作方法を意識しましょう。複雑すぎると途中で離脱されてしまうこともあるため、使いやすさを重視することが大切です。
予約機能を入れる場合は、無断キャンセルへの対策もあわせて設計しておきましょう。前日と当日のリマインド通知を自動化するだけでも、発生率は下がります。
予約時にアプリ会員として登録してもらえれば、来店後の接点づくりにもつながります。
4. モバイルオーダー・決済機能
モバイルオーダーやアプリ決済を導入すると、店内のオペレーションが大幅に効率化し、顧客の待ち時間も短縮できます。最近では大手チェーン店を中心に普及が進み、利用者から好評を得ています。「レジに並ぶ手間がない」「クレジットカードを出さなくてもいい」などの便利さは、リピーターを増やす強力な要因の一つです。
- 事前注文・事前決済:来店前に料理を注文し、先に支払いを済ませておくことで、混雑時でもスムーズに受け取れます。特にテイクアウト需要の増加に対応する際に強みを発揮します。
- テーブルオーダー:店内のテーブルに設置したQRコードなどを読み取って注文画面を表示し、追加オーダーもアプリ上で完結できます。人件費の削減だけでなく、注文ミスを防ぐ効果も期待できます。
- スプリット決済:グループ利用時に、各自が自分の分だけ支払いたいケースも珍しくありません。アプリで割り勘決済の対応ができるようにすれば、お客同士の支払いトラブルを防ぎやすくなります。
- 多様な決済方法:クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、複数の支払い手段に対応することで、幅広い顧客層をカバーできます。特に若年層はキャッシュレス志向が強いため、スムーズな支払い環境を求める声が高まっています。
この機能を導入するとスタッフの負担が軽減され、顧客とのコミュニケーションが「余裕のある接客」に変わりやすくなります。注文や会計処理ばかりに追われていた時間を、サービス品質向上につなげられるのは大きなメリットでしょう。
モバイルオーダーは、注文データがそのまま顧客情報として残る点も見逃せません。誰が何を頼んだかが記録されるため、次回のおすすめやクーポンの内容を決める材料になります。
レジ待ちの短縮という直接的な効果に加えて、データが貯まる仕組みとしても機能します。
5. 顧客フィードバック収集機能
飲食店経営では、顧客がどのようにお店を評価しているのかを知ることが欠かせません。アプリにフィードバック機能を組み込むと、利用直後にリアルタイムで意見を収集できるため、お店の改善にすぐ活かすことが可能になります。
- 来店後アンケート:食事を終えたタイミングで、アンケート通知を自動配信する仕組みが考えられます。料理の味や接客態度、雰囲気など、シンプルな質問項目にすることで回答率を高められます。
- レビュー・口コミ投稿:アプリ内で自由にコメントを投稿できるようにしておくと、生の声が集まりやすくなります。SNSに流れてしまう声も、お店の公式アプリ内で集約できるため、素早い対応が可能になります。
- フィードバックに対するインセンティブ:アンケートに回答してくれた顧客にポイントを付与したり、次回利用できるクーポンをプレゼントしたりすると、意見を集めやすくなります。
- 改善事例の公開:顧客から寄せられた意見をもとに改善を行い、その内容をアプリ内で紹介すると「自分の声がきちんと届いている」という印象を与えられます。改善が見える化されることで、顧客満足度の向上が期待できます。
重要なのは、集めたフィードバックをきちんと分析し、適切なタイミングでアクションを起こすことです。投稿された口コミや低評価に対して即座に回答する、改善策を提示するなど、素早い対応で顧客の信頼度が高まります。
アンケートを取る際は、設問を3つ以内に絞ると回答率が上がります。食事を終えた直後に長い質問が届いても、答えてもらえません。
低評価をつけた人にだけ個別のお詫びとクーポンを届ける運用にすると、離脱しかけた人を引き止められる場合があります。
6. パーソナライズされた推奨機能
アプリを通じて顧客データを蓄積していくと、それぞれの嗜好や注文履歴をもとにした「パーソナライズされたレコメンド機能」が実現可能になります。一人ひとりに合わせた情報提供は「自分のことをわかってくれている」と感じてもらい、顧客との距離を縮める効果があります。
- 注文履歴ベースの推奨:以前に注文したメニューから、相性の良い別のメニューや新商品を提案すると、「試してみようかな」という気持ちになりやすくなります。
- 好みのテイスト分析:辛い食べ物が好きなのか、甘いデザートをよく注文するのかといった味の好みに合わせたおすすめをアプリ上で表示することで、メニュー探しの手間が省けます。
- シーズナルメニューの優先表示:季節限定の商品やイベント情報をトップに表示しておけば、来店を迷っている顧客の興味をひきやすくなります。
- アレルギー・食事制限対応:あらかじめアレルギー情報や苦手な食材を登録しておくことで、それらを除いたメニューだけを表示できるようにすると、顧客は安心して注文できます。
パーソナライズのポイントは、適度な距離感を保つことです。あまりに踏み込みすぎると、かえって「個人情報を把握されすぎていて気持ち悪い」と感じる人もいます。過去の注文履歴や好みを参考にしつつも、押しつけがましくならない表現を心がけましょう。
データが少ないうちは、来店回数と時間帯で分けるだけでも十分です。ランチによく来る人と夜に来る人では、届けるべき情報が違います。細かく分けようとして配信が止まるより、大きなくくりで運用を続けるほうが結果につながります。
7. テイクアウト・デリバリー機能
以前より需要が高まっていたテイクアウトやデリバリーは、コロナ禍を経てさらに重要な売上チャネルとなりました。アプリから簡単に注文できる仕組みを整えておくと、「外出が難しい」「家で食事したい」といった顧客のニーズに応えやすくなり、収益拡大につながります。
- 事前注文・決済:混雑する時間帯でもスムーズに商品を受け取れるよう、事前注文と事前決済をアプリ上で完結できるようにしておくと、顧客の利便性が高まります。
- 配達状況トラッキング:デリバリーを行っている場合、現在の配達状況や到着予定時刻をリアルタイムで確認できる機能があると、安心感を提供できます。遅延があってもこまめに状況を知らせれば、クレームを防ぎやすくなります。
- テイクアウト専用メニュー:持ち帰ることを前提としたメニューを作ると、調理効率が良くなり、品質管理もしやすくなるため、お店も顧客もメリットがあります。適切な容器を使う、温度管理に気を配るなどの工夫も大切です。
- リピートオーダー:過去に注文したセットや好きなメニューをボタンひとつで再注文できる機能をつけることで、リピーターが増えやすくなります。迷う手間が省けて顧客にとっても便利です。
テイクアウトやデリバリーは、客席数の制限や営業時間の短縮が続く状況でも売上を確保する有力な手段です。アプリによる注文受付をしっかり運用すれば、電話対応を減らせ、ミスやトラブルも軽減できます。
テイクアウトは、来店できない日の受け皿としても機能します。天候が悪い日や忙しい日に選んでもらえれば、来店の習慣が途切れずに済みます。店内利用とポイントを共通にしておくと、どちらを使っても会員としての関係が続きます。
業態別に優先したい機能の組み合わせ
7つすべてを最初から入れる必要はありません。業態によって効く機能は変わります。
カフェやラーメン店など来店頻度の高い業態では、スタンプカードとクーポンの組み合わせが基本になります。来店周期が短いぶん達成までの回数を積み上げやすく、効果が早く出ます。
居酒屋やディナー主体の業態では、予約機能と会員ランクが軸になります。予約段階で会員になってもらい、利用金額に応じたランクで特別感をつくる流れです。
チェーン展開している飲食店では、店舗をまたいでポイントを共通化できるかが鍵になります。よく行く店舗を登録してもらい、その店舗の情報だけを届ける仕組みにすると通知の精度が上がります。
テイクアウト比率の高い業態では、事前注文と決済を優先します。受け取り時間を指定できるようにすれば、ピーク時の混雑も分散できます。
関連記事:飲食店の売上アップにつながるアイデア10選!ポイントカードや自社アプリ導入など
関連記事:飲食チェーン店のアプリ活用法|店舗アプリの成功事例と導入のコツ
関連記事:会員ランクの成功事例5選|リピート率を高める特典設計とランクアップの仕組み
関連記事:プッシュ通知の開封率の平均は?開封率を上げる方法と配信時の注意点を解説
アプリ導入から運用までの進め方
導入を検討する段階で押さえておきたい流れと費用感を整理しておきます。
導入までの4ステップ
1つ目が目的の決定です。「来店頻度を月1回から月2回に上げる」といった具体的な状態まで落とし込むと、必要な機能が絞れます。
2つ目が機能の選定です。前の章を参考に、自店の業態に効くものから選びます。最初から全部載せると運用しきれません。
3つ目がデザインと初期設定、そしてテストです。レジでの読み取りやポイント付与が実際の店舗オペレーションで問題なく動くかを、公開前に確認します。
4つ目が公開と会員の獲得です。スタッフ向けの案内手順を用意し、店頭での声かけを揃えてから公開すると、初動の登録数が伸びます。
費用相場と回収の考え方
アプリを用意する方法は大きく3つあります。ゼロから開発するフルスクラッチは初期費用が数百万円から、開発会社へのパッケージ開発は数十万円から数百万円、アプリプラットフォームの利用は初期費用数十万円程度、月額数万円前後からが目安です。
飲食店の場合、月に何回の追加来店で回収できるかで判断すると分かりやすくなります。年間の費用を客単価の粗利で割れば、必要な追加来店数が出ます。
会員数が数百人規模でも、1人あたり年数回の来店増で回収できるケースは珍しくありません。
関連記事:飲食店のアプリ開発方法を徹底解説|導入メリット・手順・おすすめサービス5選
来店客にインストールしてもらう導線
アプリは入れてもらって初めて機能します。飲食店の場合、注文後の待ち時間と会計時が案内のタイミングになります。どちらも席に座っていて、スマホを手に取りやすい状態だからです。
卓上に二次元コードのPOPを置く、会計時にスタッフが一言添える、初回登録で使えるドリンク券をその場で渡す、といった導線を複数用意しましょう。
登録項目は最小限に絞ります。氏名や住所を求めると、その場で入力が止まってしまいます。
効果を測るために見ておきたい指標
導入後は、数値を見ながら改善を続けます。見るべき指標を先に決めておきましょう。
リピート率と来店頻度
まず追いたいのが、冒頭で説明したリピート率と、会員1人あたりの月間来店回数です。アプリ導入前の数値を記録しておくと、後から効果を比較できます。
来店頻度は、施策の効果がもっとも分かりやすく表れる指標です。クーポンを配った月とそうでない月を並べると、反応の差が見えてきます。
アプリ会員と非会員の比較
社内でアプリの効果を説明する際、もっとも説得力があるのがアプリ会員とそうでない顧客の来店頻度・客単価の比較です。
会員のほうが数値が高ければ、アプリが貢献していると示せます。この差額に会員数を掛ければ、アプリが生んだ売上の概算も出せます。
施策単位で見る数値
個々の施策を評価するには、クーポンの利用率、プッシュ通知の開封率、スタンプの達成率を見ます。
利用率が低いクーポンは内容か配信先に問題があり、開封率が低い通知はタイミングか文面に問題があります。数値ごとに原因が絞れるため、改善の手が打ちやすくなります。
関連記事:飲食・小売業のCRM活用術とメリット|店舗顧客管理アプリで売上アップを実現
まとめ:飲食店アプリでリピーターを増やすための実践ポイント
本記事では、飲食店がアプリを導入することで得られるメリットや、リピーターを増やすために検討すべき重要なアプリ機能のポイントを紹介しました。アプリ導入は決して小さな投資ではありませんが、それ以上に大きなリターンを得る可能性を秘めています。最後に、導入や運用に取り組む際に押さえておきたいポイントを改めてまとめます。
- アプリ導入は単に「デジタル化」するだけではなく、長期的な観点で顧客体験の向上とリピーター獲得を狙う戦略的取り組みであると位置づける。
- 導入する機能は多岐にわたるが、まずは会員制度・ポイント管理やクーポン配信、予約管理など、リピーター促進に直結する機能から優先的に検討する。
- 蓄積される顧客データを元にパーソナライズしたサービスを提供することで、一人ひとりが満足しやすい体験を実現できる。これが結果的に来店回数や客単価のアップにつながる。
- 導入効果を正しく測定するために、「アプリ経由の予約件数」「ポイント使用率」「来店頻度の変化」などのKPI(重要指標)を設定し、継続的に改善サイクルを回す。
- 最新の動向や機能を常にチェックしながらも、「自店舗に合った機能」を選択して導入することが重要。あれもこれもと詰め込みすぎると、結局うまく運用できずに失敗するケースもある。
- 最終的には、提供する料理の味や接客の質、店舗の雰囲気といった「本質的なサービスの良さ」があってこそアプリが活きる。デジタルツールはあくまでも顧客体験を補強する手段だということを忘れない。
飲食店アプリを導入することは、顧客とのコミュニケーションを密にし、自店のファンを増やす大きなチャンスです。初期費用や運用の手間はかかりますが、長期的に見れば来店頻度の向上や売上増加といった恩恵を得やすくなります。特にスマートフォンが日常に溶け込んでいる今の時代、自店の魅力やサービスをより効果的に発信できるアプリは、リピーターを獲得する強力な味方になるでしょう。
これからアプリの導入を検討する方は、まずはどの機能を最優先にするか、そしてどのように運用して成果を測定し、改善していくかを総合的に考えることが必要です。ポイント制度やクーポン、予約・注文機能といった導入のハードルが比較的低い機能から始め、徐々にパーソナライズ機能やテイクアウト、デリバリー機能の拡充を図っていくとスムーズでしょう。
ぜひ本記事で得た情報を参考に、アプリ導入による新たな顧客体験を提供し、お店のファンを増やしていってください。特典やサービス内容を充実させるほど、繰り返し足を運んでくれるリピーターは増え、あなたのお店ならではの強固なコミュニティが形成されるはずです。
あわせて、リピート率の計算方法と目安、リピーターにならない原因、LINE公式アカウントや紙のカードとの違い、導入から運用までの流れも取り上げました。施策を選ぶ前に、まず自店のリピート率を出すことが出発点になります。数値が分かれば、どこに手を打つべきかも自然と見えてきます。
関連記事:飲食店のリピート率がアップする!アプリでできる“今日からの集客施策”とは?(カフェ版)
この記事を監修した人
店舗アプリ公式。累計1,000社以上の導入実績を誇る店舗アプリ構築プラットフォーム。 単なる集客に留まらず、リピーター創出による売上最大化を得意としている。
>>運営メディアトップへ